つぎはぎプラネット (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (448ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101098531

感想・レビュー・書評

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  • 未公開作品と有難がって発行したが、公開しなかった理由が明確にわかります。

  • 最近手塚治虫を読むせいか、どこか未来への想像力が薄い感じがしてしまう。でも、2000年にはこうなってたらいいなという夢を読むのは楽しい。

  • いろいろなお話があり、いろいろな内容があって、面白かったです。

  • 民間のSF大会パンフへの寄稿などまで収録した「これでもか」の未収録作品集。
    「もう、新作は読めない。」と思っていたところに棚ぼたのように降ってわいた、初めてなのに懐かしい感じがするショートショート集です。初期作品が多く、真正面から意外性があるひねりの利いたショートショートに大満足です。
    星マリナとともに当文庫の作品収集に取り組んだ高井信の後書きもグッドです。コアなファンを極めればここまでになるのか。とライフワークとしての星新一ファンの姿勢がうらやましくも思えた解説でした。

  •  ヤナーチェクの評論において、ミラン・クンデラが、「作者のあとに残された一切のものを掻き集めるという情熱の形で表れる」「忠実さ」について、批判しているのを思い出す。例えば、《棍棒体操のための音楽》のような重要でないものを「ヤナーチェク・ピアノ曲全集」に収録する「忠実さ」である。
     クンデラはひとりの創作者として、創作者ヤナーチェクに同情している。しかし私は愚かな享受者である。ヤナーチェクの作曲したものなら、《棍棒体操のための音楽》でもありがたがって聴く。面白くないけれども。

     そして神様には忠実にならざるを得まい。相手は「ショートショートの神様」だ。ということでできたのが『よせあつめプラネット』、もとい、『つぎはぎプラネット』、単行本未収録作全集に近いもの、である。改作されて複数ヴァージョンあるものをすべて収録まではされていないから「近いもの」である。
     星新一のご息女とここに解説を書いている高井信らが、「あとに残された一切のものを掻き集める」作業をしたわけだが、その成り行きについて書かれた解説が苦労を偲ばせてなかなか面白い。まさに「情熱」。
     冒頭に収められているのは「SF川柳・都々逸 101句」。星新一はこういうナンセンスが好きだったらしいが、当時の世相を反映していて、解説なしではわけのわからないものもある。作品が古びないように、時事的なことは書かないようにして作品を作っていたという星新一にとって、こういうのを収録されるのは不本意だと思うが、それをまた冒頭に持ってくるあたりに、編者たちの確信犯的自覚を読み取ることもできるだろう。どのみちいくら「神様」でも死んでいたら文句は言えないのだ。クンデラはまさにそのままならなさを怒っているのだが。

     あとの作品は発表年代順に並べられている。1957年の同人誌『宇宙塵』収録作から始まるので、習作といえなくもないのだが、未熟な作品というわけでもない。アマノジャクなクイズが流行る話を新聞社への投書のみで描いた「ミラー・ボール」は、かなり長く、後の作風とはいささか異なるものの、アマノジャクにこだわるあたり、いかにも星新一らしくて面白かった。
     しかし、である、その後、少年誌への寄稿作品が結構な数、続く。これはちょっとなあ……
     そのうちエフ博士とかエヌ氏とかが出てきて、「二○○○年の優雅なお正月」。ボタンひとつで朝食が出てくるというのは冷凍食品のチン、テレビのチャンネルの数が50ほどもあって、だが、あまりおもしろいのはやってなかったとはなんたる慧眼。映画は4ミリフィルムになっていて、安く借りられる、欲しい商品があればテレビについているダイヤルで商品番号を回せばいい……、35年前の予測は結構実現されている。
     1965年のソニーのPR誌に掲載された「ビデオコーダ−がいっぱい」。これも「YouTubeと監視カメラがいっぱい」にかえたらだいたい予測どおりだ。いやいやSF作家の仕事は未来予測ではないなどと、かつてさかんにいわれたものだが。

     少年誌の収録作のほか、だいたい1970年初頭くらいまでの企業のPR誌用の「明るい未来」的な作品が多く、残念ながら全体的には《棍棒体操》といわざるを得ない。星新一未経験者は『ボッコちゃん』とか『エヌ氏の遊園地』とかから読むべきである。

  • 都々逸のスタートで、よくこんなに面白いものを延々と作れるなと、じんわりとした笑いが止まらない。

  • 本を読むのは面白いって教えてくれた、星新一さん。5ベージのSF。シニカルな笑い。いい意味でスッキリできない読後感。

    この本に収められている話は、星新一さんの中でも特に短いものが多い。本の後ろには、読破の証明書。星新一さんのサイン。

    最近、雑貨なんかを置いてるオサレ本屋に『つぎはぎプラネット』置いてるの見るけど、星新一デビューには向かないかなぁ...
    小学生向けの小説に違和感を感じるかも。
    デビューはやっぱり『ボッコちゃん』だと思う❗️

  • 企業にも文章寄せていたんだなあ、というのは新しい発見だった。
    あまのじゃくゲームの話が一番面白かった。

  • 読了日 2015/1/22

    星新一未収録ショートショート集。
    SFが多く、宇宙人関係やタイムトラベル関連が非常に多く。星新一の面白さであるどんでん返しは多くなかったか。

    お気に入りは「命名」。たった二行のショートショート。

  • 同人誌、PR誌に書かれて以来、書籍に収録されないままとなっていた知られざる名ショートショート。日本人 火星へ行けば 火星人…… 「笑兎」の雅号で作られた、奇想天外でシニカルなSF川柳・都々逸。子供のために書かれた、理系出身ならではのセンスが光る短編。入手困難な作品や書籍、文庫未収録の作品を集めた、ショートショートの神様のすべてが分かる、幻の作品集。(裏表紙より)

    過去に演劇で見たことがある「穴」の話を除けば、初めて読んだ星新一さんの作品です。
    大きな夢がつまった小さな話が、スーパーボールが跳ねるようにポンポン飛んでくるような印象でした。
    あと、この人の想像力ってすごい。まだまともな計算機さえ世間に出回っていなかった時代の人が、夢を織り込みつつもここまで現実的に未来を思い描くことができるものかと感心しました。願わくば、朝スッキリ起きられる薬が入った霧を顔に吹きかける装置が早く発明されることを願います。

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著者プロフィール

1926 - 1997。SF作家。生涯にわたり膨大な量の質の高い掌編小説を書き続けたことから「ショートショートの神様」とも称された。日本SFの草創期から執筆活動を行っており、日本SF作家クラブの初代会長を務めた。1968年に『妄想銀行』で日本推理作家協会賞を受賞。また、1998年には日本SF大賞特別賞を受賞している。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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