華麗なる一族(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104140

感想・レビュー・書評

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  • 始終タヌキの化かし合い、脂ぎったオジサン達の小競合いは面白くもあるけれど疲れる。
    この作家は女である割りに女の描き方が味気ない。はつらつ?としてるオジサン達に比べて女はいずれも存在感薄い。本妻の寧子さんに至っては気の毒とは思うけど、同情はできない。
    唯一存在感のある愛人の相子も非常にわかりやすい典型的な悪女。

  • 鉄平さん、あっぱれでした

  • 鉄平が万俵一族の中で一番人の気持ちもわかる、熱意のある人なのに、猟銃自殺してしまう。しかし、それによって、残された家族は少し普通の人間らしい生き方を手に入れたかもしれないが、なんともいたたまれない終わり方で、読後感はよいとはいえない。一方で、政界、銀行界の裏側を垣間見たようで、空恐ろしくなった。

  • 「あー、超金持ちに生まれてたらなぁ」とボヤく全ての人々に、この本を読ませたい。人間の野心や欲望は、それを一度満たしたところで、決して満ち足りる事は無く、黒々とした渦を巻きながら再現無く大きくなってゆく。行き過ぎた野心が万俵家を蝕み、やがて崩壊していくストーリーを追いながら、自分の持たざる幸せを実感した気がする。山崎豊子の構成と物語の緻密さは、兎に角見事。不毛地帯から続けて読んだせいか、もうお腹一杯です・・・。

  • 人生は困難ばかりで、それを打ち破ることが当たり前という風潮があるが、実際には打ち破れないことの方が多い。それも人生で、それでも真剣にぶつかったのであれば残るものもある。山崎豊子作品は必ずしもhappy endでなく、厳しい現実から目を逸らさないところが逆に心地よいい。
    それにしても、自分が生まれる前からこんな作品が存在したとは。良書は時代を生き抜くのだなあ。

  • 何とも読後感の良くない本だ。人間関係も人間そのものもぎすぎすしているのだ。サラリーマンも本能的な不安を持っているのだが、それをすべて突かれて、やるせない気持ちになってくる。山崎豊子もそこを伝えたかったのであろうが、偽善は取り繕えるものではない。銀行合併も大同と阪神になったが、本当に効果あったのであろうか?企業は育成するのだろうか?すべて空中分解して終わっている。現実もこれに近いことがあるのだろうがそれを小説で学べた点は良かった。悪が栄え善が滅ぶ、正直者は損をする。そういう庶民にとって反面教師にとればよいのではないか?

  • 小が大を食うにかけて、悪が善を食う話だった。
    最後はなんとも切なくて、不気味な空気を流して終わる…。
    勧善懲悪なストーリーが好きだけど、それはエンタメでありフィクションであり、華麗なる一族のような話は現代のリアルなんだと思う。
    栄華を極めるには綺麗事を吐き捨てなければならない。雲泥の空の下をずっと進まなければならない。
    リアルはホラーだな。

  • 途中で銀行内部の画策の嫌らしさに、吐き気が来て、読み飛ばした。
    こんな男たち、いっぱい現実にもいる。小心で自分のポジションしか頭になくて、画策する奴ら。
    高度成長期で、宴会接待が普通だった時代、正直に努力する者はなかなか日が当たらない。あるいは足を掬われる。
    イラッとするけど、現実に体験したことがある。人間は悲しいものだ。
    山崎先生の人間描写が凄い。心の機微の表現に、読む方がドキドキしてしまう。

  • 上・中・下を一気読み。
    自分が銀行員なのもあり話も入ってきやすかった。
    個人的には大介VS鉄平をもっと徹底的に書いてほしかったかな。
    裁判も告訴取り下げではなく、実際の法廷で争いそれにより合併話が無くなるというのが理想でした。
    鉄平に肩入れして読んでしまったので少し残念…

  • 初めての上中下の三部作にチャレンジしたのがこの作品。上巻を読んで、この作品なら読んでみたいと思わせてくれた。

    本作は1960年代を舞台に描かれており、現代とは時代背景が異なりお硬い家柄や世襲が根っこにある作品となっている。
    題名に通り、財閥系の一族が資本力と人脈を駆使して、その地位を強化なものにしていくストーリー。
    ところが、その地位に満足せず、時代特有の高度成長期ということもあり、イケイケドンドンのウルトラCを画策する。そこに家柄と世襲が絡み泥沼にハマっていく様がリアルで読み応えたっぷり。
    決して昼ドラでは表せない深さのドップリ感が味わえる。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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