華麗なる一族(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (560ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101104140

感想・レビュー・書評

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  • 中巻は相子にムカついたけど、下巻は本当に大介に腹が立った。あんなに熱い思いを持って何が何でも高炉の完成をやり遂げようとした実の息子に対して、超冷たく扱って利用するだけして、自殺にまで追い込むなんて非道すぎるなほんと。大介も小が大を喰う銀行の合併という大事業をやり遂げたかったんだけど、あまりにも心がなさすぎる。鉄平が死んだときに大蔵官僚の美馬も、人の死に対して「迷惑なことを。。。」とか言ってるのとか、どいつもこいつも打算的過ぎて心がなさすぎて、腹が立つわ~。美馬とか大介みたいな人間ってたくさんいると思うけど、そこまでして地位や名誉を得たいと思う人間の心理がまったくわからん。社会派の小説はかなりおもしろいんだけど、文学の方がディープということが改めてわかったし、文学が本当に好きな人はこういった社会派の本は好きじゃないんだろうなと思った。
    それにしても大介とか美馬のような悪的な考え方の持ち主をさらに上回った悪い考え方をしていた大蔵大臣は大悪党だなと思った(笑)
    まぁ文学と新書の合間にまた社会派の小説を読んでみようと思う。

  • 今から50年以上も前の小説とは思えない程時代背景を気にせず、面白く読み終えた。
    評価も星5つまでだが7つにしてもいいのではないかと思う。
    社会派ってことで池井戸潤の小説っぽい逆転劇を期待してたけど、良い意味で期待は裏切られた。
    リアルで所謂都市銀行って凄い競争社会の先端にいるんだね。
    もう死んでしまったけど、第一勧銀重役だったらしい親戚は接待漬けで体を何度も壊し、出世街道から外れて結局ヤナセに常務で出向になったことを思い出したよ。
    小椋佳と同期って言ってたな。

  • 圧倒的としか言いようがない読後感、、、。
    万俵家自体が愛人の相子まで含めた大所帯なのにもかかわらず、万俵家を取り巻く海千山千の怪物達の全てが無駄なく、物語のプロットを崩すことなく描かれている。
    上巻、中巻のあからさまな伏線がなかなか回収されないことに疑問を覚えていたが下巻でその全てが漏れなく回収されていて、この筆力たるや、、。
    自らの子が命を捧げた会社とついには我が子の命そのものさえも生贄に野望の実現にこぎつけた万俵大介が鉄平が血を分けた実子であることを知ったあのシーンの衝撃は全てを読み終わった後でもずっしりとのしかかり続けている。

    こんな小説読んだ後で社会派小説書こうとか思う人いるのかな、、?

  • すごい、筆圧が。

  • 作品としては「白い巨塔」などと同じく初期の長編。従って、主人公万俵大介が自己の野望のため策略をめぐらすなど、「白い巨塔」の設定と近しいところもある。
    個人的には、万俵鉄平が祖父の子かもしれないとの疑惑から大介は鉄平に冷酷な対応をするという設定になっているが、大介の銀行家としての冷酷さをより現すためには、自分の実子だろうが側近だろうが必要ならば切り捨てるという意味で、そういう設定にしなかった方がよいと思う。

  • 相変わらず悲惨なラストだが、山崎豊子にハズレなし

  • 物語の中核、都市銀行としては小さな阪神銀行が、自分より上位の大同銀行を呑み込む策動が動き出す辺りから物語は俄然面白くなる。
    阪神銀行頭取の万俵大介が権謀術数で家族を不幸に巻き込みながらも己の欲望を満たして行く様に嫌悪感を抱きながらもストーリーに引き込まれて行く。
    「自らの欲望を遂げるためには、冷然と金の力で自分に都合のよい正義を作り変えることの出来る男」
    万俵大介を表す的確な言葉だろう。

    物語のいたるところに出てくる馴染みある土地。
    神戸を舞台にしたストーリー展開も嬉しい。
    阪神銀行があるのは元町栄町通であるし、南京町、北野坂、六甲山など地名もさることながらドンクやオリエンタルホテルなど固有名詞で登場する場所が嬉しい。

    息が詰まりそうなドロドロとしたドラマだったが重厚感はさすが山崎豊子だ。

  • 2019年5月3日読了。

    言わずと知れた山崎豊子の小説。

    昭和40年代にこんな暮らしをしている人たちがいたのだろうか?多分、いたのであろう。

    ネットの情報によると、銀行も鉄鋼会社もモデルが合ったそうだが、こんな家に生まれるより、普通の家に生まれたことを幸せだと思いたい。

  • 経済界・金融界、そして万俵家のドロドロとした関係を精緻にかつドラマティックに描いており、改めてとんでもない作家だと圧倒された。

    上巻冒頭の華やかな万俵家の食事の風景が、最後にはもの寂しい風景に変わっており、この華麗なる一族が終焉を迎えたことを深く印象付ける。
    銀行家としての野心や名声のために、家族や周囲の人間を意のままに操ろうとし、時に突き放し陥れ、そして失い、それでもなお自らの方針を覆さない万俵大介の姿は病的でもあり、恐ろしかった。自らの野心を達成するためにあらゆる手段を講じてきた万俵大介だったが、今後彼の野望が崩壊されていくことがラストで示唆され、痛快な読後感があった。

    ドラマ(観ていないが)ではキムタクが鉄平を演じていたそうだが、キムタクに鉄平感はあまりないように感じた。もう少しキムタクが歳を取ったら、むしろ大介役がハマるのでは。

  • 名作。本音を言うと、巻末の展開の続き、つまり阪神銀行のその後、万俵大介のその後が見たかった。高須相子も。

    3つの本で下巻が1番面白い。ハラハラドキドキするのが止まらなかった。

    この本では悪人が勝つようなストーリーだが、最後の最後でそのどんでん返しの兆しを残して終わっている。

    1人の人間の死をきっかけに、家族に変化が見られるのも見もの。どんなに悪党も所詮は人間。

    また時間が経ってしばらくしてから読み直そうと思える本。

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著者プロフィール

山崎 豊子(やまざき とよこ)
1924年1月2日 - 2013年9月29日
大阪府生まれの小説家。本名、杉本豊子(すぎもと とよこ)。 旧制女専を卒業後、毎日新聞社入社、学芸部で井上靖の薫陶を受けた。入社後に小説も書き、『暖簾』を刊行し作家デビュー。映画・ドラマ化され、大人気に。そして『花のれん』で第39回直木賞受賞し、新聞社を退職し専業作家となる。代表作に『白い巨塔』『華麗なる一族』『沈まぬ太陽』など。多くの作品が映画化・ドラマ化されており、2019年5月にも『白い巨塔』が岡田准一主演で連続TVドラマ化が決まった。

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