ゼロの焦点 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 438
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  • Amazon.co.jp ・本 (496ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101109169

感想・レビュー・書評

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  • 古い作品なのでもっと読みにくいかと思っていたけど、意外とそうでもなかった。社会派ミステリーとして凄く完成されている作品だと思う。
    戦後の間も無くの米軍中心の華やかな社会とその代償について描かれていて、近代史の勉強にもなった。
    昔の女性は大変やったんやろうな〜パンパンという言葉自体知らなかった。今じゃ考えられないような時代背景が物珍しくて引き込まれた。
    また読みたい作品の一つ。

  • 登場人物:①鵜原禎子(主人公),②鵜原憲一(夫),③鵜原宗太郎(憲一の兄),④宗太郎の妻(”嫂”で通している),⑤本多(憲一の同僚,①に好意をよせる),⑥曾根益三郎(②と同一人物),⑦田沼久子(⑥=②と内縁関係),⑧室田儀作(金沢の実業家,②の後援者―ということだったが..),⑨室田佐知子(⑧の夫人.上流階級の知的で非の打ち所がない女性として登場するが,それが却ってうさんくさい.けっきょくいちばんのワル)
    「松本清張の”ゼロの焦点”」といえばけっこう有名で,じぶんも期待して初めて読んだ. が, わるいが内容はTVの「火曜サスペンス」なみ.→と こき下ろしてはイケナイのだろう.何しろこのミステリーノベルが世に出たのが1971年,”火サス”が始まる10年前..だから,それはこの時代(S46=1971)ではそうとう斬新だったのかも(=だったのだろう)
    まあ,面白いことはおもしろかったが,
    「いったいケーサツはこの話の中で,なにをやっとったんじゃ?!」と言いたくなるほど無能でしたね,それがいちばん気になったぞ.

  • 6月9日
    言わずと知れた名作。
    サスペンスドラマの原点、断崖絶壁と犯人、素人探偵など。
    北陸=日本海側の陰鬱な雰囲気、灰色の空、失踪する鵜原の表情など、筆者でしか書けない表現の数々は、推理小説というよりも文学作品として楽しめる。

  • いい作品は色褪せない。見本ですね♪
    偶然、見合い結婚した主人公の女性(序章から登場)から物語は始まる。
    新婚の夫が戻るはずの赴任先で失踪、訳知りの実兄、、
    終戦敗戦で仕方なくパンパンとならざるがために悲劇が。。

  • 松本清張氏は誰もが知ってる社会派の巨匠であるが、長編は未読であった。(短編は何作か既読である)近頃映像化されたこともあり、初長編として今作を選んだ。

    氏が社会派と呼ばれる所以として、犯罪の根底にあるもの、一般的には犯行の動機やら、隠蔽せざるを得ない理由やら、単純なモノが複雑化してしまう社会背景などをふんだんに盛り込んでいることであろう。今作もその要素はある、しかしながらそれ以上に男女の愛憎劇、メロドラマ要素が、普遍的名作として半世紀以上の年月を超えて読者を惹きつけることに疑いはないと思う。

    序盤は人探しから始まる、消え去った人物の足跡を辿る…ミステリの定石ともいえる出だしから、追い求める人物の隠れた顔が明らかになってくる。女を捜す、男を捜す、そして訪ねてさ迷うのは異性である。いずれもドラマを盛り上げるに差異はないように思えるが、波濤逆巻く日本海を舞台にした時、失踪した主人を探し求める美貌の若妻が圧倒的に、読者の想像を掻き立てるのだ。

    やがて連続して発生する殺人に、徐々に真実を隠すヴェールが剥がされていくのだが、そこには戦後間もない市井の人々の哀しい過去が秘められている。ヒロインは少ない手がかりを元にたどり着けるのか?やがてクライマックスシーンとなるのだが、そこは荒れ狂う冬の日本海断崖絶壁であり、いわゆる2時間ドラマの原形となった舞台設定が施されていた。

    今日においても創り続けられているドラマの原風景を、半世紀前に実現していた清張氏の創作力は、ただただ賞賛されるしかないものであろう。やはり他の長編も読むべきと実感した。

  • あっという間に読了。3時間から4時間くらいか。宮部みゆき著「火車」好きなひとなら好きなんじゃないか、この展開。飽きさせず、面白かった。最後やや雑な気もするが…それにしても面白かった。え、そう結びつけます? という時もあるけれど、まあ、よしとする。

    • ドリーさん
      相変わらず速読ですねえ~。
      しかも、☆5つとは意外…!火車は挫折本の筆頭ですが、気になります!
      相変わらず速読ですねえ~。
      しかも、☆5つとは意外…!火車は挫折本の筆頭ですが、気になります!
      2013/02/12
  • うーーん。思っていた展開と違っていた!もっと大どんでん返しみたいなのを想像していただけにあれよあれよと主人公禎子が自らの行動で真相を明かしていく。劇中、禎子の中での見解が繰り返し出てきてそれを読むのに疲れました。映画がテレビで放送されていたのをきっかけに読んだので勝手な私の先入観が良くなかったのかも。期待しすぎました。

  • 時代を感じさせる作品。当時はあんなに個人情報保護の意識がない時代だったのか。他は特に印象に残っていない。

  • 昔は個人情報なんかヘでもない時代だったのねということがよくわかる。
    犯人の告白は一切無し。青酸カリはどこから手に入れたのか?
    謎解きはすべて想像ってどうよ等々、つっこみどころも満載です。
    この奥さん超名探偵じゃん!

  • 戦後間もない悲劇を鋭く描いたミステリー小説。

    お見合い結婚で、新婚旅行後すぐに失踪してしまった亭主を、金沢まで捜しに行くヒロイン禎子。
    必死の捜索は、足掛け二ヶ月にも及ぶ。
    お互い理解し合う時間さえもなかった亭主の為に、何が彼女を駆り立てたのか?
    理解できないのは、現代人とは結婚の価値観が違ったからかなあ~、と思う。

    女性の強さと、哀しさを感じました。

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著者プロフィール

1909年、福岡県生まれ。92年没。印刷工を経て朝日新聞九州支社広告部に入社。52年、「或る『小倉日記』伝」で芥川賞を受賞。以降、社会派推理、昭和史、古代史など様々な分野で旺盛な作家活動を続ける。代表作に「砂の器」「昭和史発掘」など多数。

「2023年 『内海の輪 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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