箱男 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101121161

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  • 段ボール箱の中を頭からすっぽり被り、街を徘徊する箱男。

    ラジオを箱の中に持ち込んで、ニュースを聴いて、外界との接点を保ちつつ。
    次第にニュース中毒になっていく。
    『昨夜B52による本年度最大の北爆が行われました、でもあなたは生きています。ガス工事中引火して八人重軽傷、でもあなたは無事に生きています。物価上昇率記録更新、でもあなたは生き続けています…』
    初読は15年前なんだけど、それ以来オイラもニュースはこういう風にしか聞こえなくなっちゃったよ…
    でもこれって、本当のところを突いているよね??
    自分の身の安全の再確認でしかないんだよ、結局ニュースなんて。

    特にオイラより上の世代なんてテレビっ子なはずだから、皆ニュースを見て育ったのでは。
    きっと若年層では、それがケータイメールなんだろうな。
    友達にメールして、返事が返ってくれば、(まだ独りじゃない)ってことなんだろう…

    安部公房の小説が難解だとかアバンギャルドだってよく聞くけれど、そんなこと言う人に限って、本質なんかちっとも捉えていないんだろうな。
    確かに解りやすいとは言わないが、とにかく凄まじいパワーに圧倒されるので、一度その中にどっぷりはまるのも割と心地よかったり。

  • 受験国語の小説問題に出てきそうな感覚に陥った。
    というのは、とにかく読解力を要されている気がしたから。
    昔っから国語が苦手な私にとっては、最後の解説文を読んで、それでも何となく理解。

    時間が経ってからもう一度チャレンジたい。

    これは、身体と精神のことを言っているのですかね。段ボール箱の中に記されたメモこそ、その人が確かに何かを感じた証拠、つまり確かに生きていたという証拠なのかと感じた。
    そして、肉体が精神と近すぎるから、人が苦しみやすくなるのか。その適度な距離感として箱(この場合肉体が精神の入れ物と捉えている)を選んだ箱男。生きること、身体を傷つけること=刻むこと。
    と言ったことを考えさせられた。

    にしても、もう一度クリアに読みたい!

  • 読み進めていけばいくほど訳が分からなくなる。だからこそ先が気になってしょうがない。一度や二度再読したところで理解などできまい。

    久しぶりに興奮した。
    あぁ、箱に入りたい。

  • 一番初めに読んだ安部公房作品。導入もおもしろく一気に読める。内容は難解。何度も読んでその度楽しむことができる。
    私も箱に入ってみようかな。

  • 世にも奇妙な箱男の生態。

    彼らは誰に気にされるでもなくそっと街角にいる。

    何が想像で、何が妄想で、何が創作で、何が事実なのか、読んでいるうちにわからなくなってくる。いろんな視点が混ざる文体は最後まで慣れなかった。
    ちょっと気持ち悪い。ちょっと怖い。ちょっとよくわかんない。
    すごく面白いとも思わなかったけれど、つまらなくはない。
    なかなか考えさせられるけれど、もう一度読もうとは思わない。
    登場人物たちが、それぞれみんなちょっと気持ち悪い。

    変な構図の絵を見ているような感じ。

  • お昼休みにご飯を食べながら読むとご飯が不味くなる。お風呂で読むとあまり疲れがとれない。かといって電車で読むと働く元気が出なくなる…!とにかく不快になるのに続きが気になるのはそれでも共感出来ちゃうところがあるからなのかあまりにも真正面から言い当てられてしまっているからなのか。

    奥まで理解するには「見る」ことと「見られる」ことがやっぱり重要なキーワードなのか…なぁ。というわけでもう1回読むことにします。

    この本を紹介してくれた人が「私が1番好きな本」って言っておすすめしてくれたけどそれってどうなの…。

    何やら危ない世界を知ってしまった。
    この一言に尽きます。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「とにかく不快になるのに続きが気になる」
      安部公房を読むのは、早朝日が昇り始めた頃をお薦めです。特に理由はありませんが、日中だと雑念に負けて...
      「とにかく不快になるのに続きが気になる」
      安部公房を読むのは、早朝日が昇り始めた頃をお薦めです。特に理由はありませんが、日中だと雑念に負けてしまうし、夜中だと深く沈み浮かび上がってこれなくなりそうだから、、、
      2013/05/16
  • イメージで絵を描きました。

    http://surikomi.blogspot.com/2011/09/blog-post_12.html

  • 軽い気持ちで手にとってすいませんでした。

  • 「ダンボール箱を頭からすっぽりとかぶり、都市を彷徨する箱男は、覗き窓から何を見つめるのだろう。一切の帰属を捨て去り、存在証明を放棄することで彼が求め、そして得たものは? 贋箱男との錯綜した関係、看護婦との絶望的な愛。輝かしいイメージの連鎖と目まぐるしく転換する場面(シーン)。読者を幻惑する幾つものトリックを仕掛けながら記述されてゆく、実験的精神溢れる書下ろし長編。」

    「生きることに疲れたら、とりあえず箱をかぶってみませんか?すっぽり被れば、あら不思議、あなた自信は存在し世界を見続けられるのに、世間から消えることができちゃいます!」
    (未来屋書店 本屋従業員によるおススメ本の紹介 2023 の紹介より)

  • 混乱して何度も返り読みした

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著者プロフィール

安部公房
大正十三(一九二四)年、東京に生まれる。少年期を旧満州の奉天(現在の藩陽)で過ごす。昭和二十三(一九四八)年、東京大学医学部卒業。同二十六年『壁』で芥川賞受賞。『砂の女』で読売文学賞、戯曲『友達』で谷崎賞受賞。その他の主著に『燃えつきた地図』『内なる辺境』『箱男』『方舟さくら丸』など。平成五(一九九三)年没。

「2019年 『内なる辺境/都市への回路』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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