- Amazon.co.jp ・本 (181ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101139517
感想・レビュー・書評
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素直に面白い。
読んだ後に題名にもどるとどこかずっしりと来るものがある。
「ずっと誰かに甘えたかったんだ」という所は切なくなった。
知らなかったことを知って、ショックを受けて、わからなくて落ち込んで、解決したわけではないのだけれど、いい意味で今まで気づかなかったことにも気づけて、なんとか前を向いて、生きていけるような気がする。こうして大人になっていくんだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
海辺の田舎町に暮らす中学3年生の主人公。
年の離れた姉兄に”女の子”と思い込まされ幼少期を過ごしたせいで、自分は歪みのある人間だと思っている。
頭がよく落ち着いていて、人が嫌がることでも進んで引き受ける誰もが一目置く優等生。
そんな彼の世界を壊す者として、東京からの転校生が登場する。
田舎になじまず、同級生に反発する転校生のせいで穏やかだった日常は不均衡となり、修学旅行で様々な事件が起こる。
異分子に虚構の世界を壊されることで主人公が成長を遂げるというありがちな筋ながら、使われる語彙と独特の文章表現でなんだかファンタジックである。
思春期の自意識過剰なキャラクタたちがリアルで鮮明。伏線も綺麗にはられている。
同性愛の要素が物語を支配しているので、これが受け入れられないなら読む必要はないなと思う。やっぱり耽美。
ふと、中高生を主人公にした物語って、魔法か同性愛の要素でもなければ物語のテンションを保てないのかも、といまさらに思う。 -
主人公が好きすぎてどうしていいのか。ストイックだけど脆いというのはずるい。
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長野まゆみさんの書く世界は透明。水のようだと思います。
透明過ぎて、見たことのないような言葉の数々に戸惑い私は何滴か溢してしまった気がします。今読み直せば、全部掬って飲み干せるかもしれない。
その中で「ぼくはこうして大人になる」は最後まで溢さず読めた方です。メインの二人のもだもだ感と、何気に亜細亜との絡みが好きでした(笑) -
長野まゆみさんの文章と雰囲気が好きで、その中でもこの作品は傑作だと思います。
図書館では最初と最後の数ページを読んで本を選ぶことが多いのですが、最後の数ページだけであんなに惹き込まれる作品は初めてでした。
電子書籍はありますが、古い作品ということもあり、紙媒体として書店でなかなか見かけないのが悔やまれます…。 -
思春期の男の子のすばらしさよ・・・
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好みに合わないと感じました。
同性愛は嫌いじゃないが、舞台に靄がかかったようでうまく入り込めませんでした。修業がたりないだけだろうか。
数年後読み返して感想が変わるかもしれません。 -
おおお・・・おお!
と言うのが、感想です。(どんだけ)
家族の話。嗜好の話。
「中学生」という限られた時間、空間の話。
「繊細にして傲慢、冷静にして感情的」というあらすじのコメントが一番しっくりきます。
主人公イッくんがイッくんであるための多くが語られている。
要領がいいというより、そうならざるを得ないという心理。
私には想像することしかできないけれど、男の子はこういう思考をしているのか!ととても新鮮でした。
この話、全員の性別が逆だったら全く違うものになるんだろうな。
中学生ってそういえばこんな雰囲気だったなあと思い出されます。
「こうなりたい!」という像がたとえあったとしても、持って生まれたものは仕方なく。
その頃はといえば、血ではなく家に由来するものが多いのだな、と。
ところで、私の中で七月はめちゃめちゃかっこいいんですが。実際のところどうなんだろう。
(女子に人気がありそうという描写があるから、あながち間違いではないのだろうけど)
彼らが大人になったら、きっとまた変わってしまうでしょう。
若気の至り、となるかもしれない。
それでも、脆くて強くて綺麗な一瞬を忘れたくない。 -
鼻息が荒くなる展開…!
優等生な一が精神的にぐらつくのが読んでいてたまらなかった。
でも、クラスの皆の一への対応が冷酷だったけど凄い現実感があった。
仕掛けた健もショックだったろうな、誰も庇わなかったから。
だけど、皆の前でぶん殴った七月はちょっと後先考えなさすぎじゃないか? -
結局文庫本も買っちゃった。いい。
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海辺の田舎町に暮らすぼくは、中学三年生。優秀でまともな少年に見せるだて眼鏡をかけ、人に云えない不安を抱えつつ、級友たちの過分な信望を得て平穏な学校生活を送っている。ところがある日、クラスに七月という少年が転入してきた。なかなかみんなに馴染もうとしない彼とかかわるうち、修学旅行中に騒動が起きて……。繊細にして傲慢、冷静にして感情的な、少年たちの夏を描く。
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最後らへんの七月の態度に驚いた。
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思ってたよりもBLっぽくて、びくびくしながら読んでた。
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「家族」「転校生」「雨」。初めて手に取った長野さんの本がこれだった。長野さんの書く少年たちに出会ったおかげで、小説好きになったといっても過言ではない。
ラストシーンでの七月のセリフですべて持っていかれました…。可愛すぎるだろ。 -
いい!すき!
亜細亜がとってもすきです
思春期にありがちな勘違いって気付いたときとってもはずかしいよね… -
おもしろかったです!
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亜細亜と一の関係をもっと知りたい。
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繊細にして傲慢、冷静にして感情的な、少年たちの夏を描く。ということでしたが、読んでいてこの主人公のありがちな傲慢さに触れているうちに、もの凄く自己嫌悪に陥った。透明で綺麗。相変わらず、こんな中学生男子いないよ、っていうところがすき。そして亜細亜がちょういい男。すき。
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あじあ
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優秀でまともな少年に見せようと頑張っている主人公、一は人に言えない不安を抱えつつ、級友たちの過分な信望を得て平穏な学校生活を送っていた。ところがある日、七月という少年
が転校してきて、なかなか周りと馴染もうとしない彼に関わるうち、騒動がおきる…。
面白かった~!
なんか風呂で読んでて、つい長風呂しちゃって最後暑い!!って駆け足でよんだからちゃんともう一回よみたい笑
最初は、BLと聞いてガタッ!って感じで手にとったんだけど、キャラクターがみんな魅力的でそんでもって良い話だったわよ
家族友達自分自身でさえ、「こういうものだ」とか定義して捉えるのは出来てるつもりでも不可能なことだ、て感じました。
私は亜細亜と、健が好きだなあ!
しかし主人公は、いがいにビッチだねww亜細亜とできてんのかとおもいきや、令哉が好きだったり、最後は七月かい!みたいな笑
なんか独特の雰囲気に、斬新な設定、はじめて長野さんの作品を読んだので多分まだあんまり理解できてない!
しばらくしたらもう一回よみたい。 -
最後に作者が趣味に走ったら駄目だと思うのですが。なんでああいうおちになるのかわからない。
大人になるということは、「自分が目を逸らしていたこと、知ったかぶっていたこと、取り繕っていたこと」に気付き、それに打ちのめされ、そこから回生するということ。
主人公が何かに気付き、打ちのめされる度に「ああ、自分にもこういうことがあった、こんな部分がある」と思わされます。主人公がメッキを剥がされていく描写や構成はリアリティがあって良いと思うのですが、そこから回生する時、彼の周囲の態度が甘い感じがする。もう少し這いずるように努力する様が見たかった。終始ただの優等生だったように感じる。
また、主人公は「自分は何に置いても自立していなくてはならない」と言いつつ、「なぜ誰も頼ることを許してくれないのか」と嘆いているが、恐らく、これこそが彼が自立しきれなかったポイントなんだろうと思う。 -
主人公が修学旅行で直面する孤立感や自分の価値への疑問・葛藤の描写は思春期の少年をとてもリアルに描いていたけど、やはり長野まゆみお得意の、あの浮世離れした感じというか、こんな子いないだろ!って感じの非現実感も強かった。そこが良いのだけど。
亜細亜にべったりしつつ、好きな子は他にもいて、更に新しい登場人物にも惹かれる…という主人公で、1人に絞れよ!という気はさらさらないけど、どうも亜細亜と主人公のあの関係があまり好きにはなれず。 -
すごく懐かしい気持ちを思い出された気分。自分の少年期はこうであったかもしれないし違った。
大人になりきれない彼らはすごくもどかしい。また素敵な長野作品に出会ってしまったな・・・。^^ -
学校生活の中特有の子供たちだけにあるルールや力の差。
一の器用さや不器用さが読んでいてなんだか切なくなった。
一みたいなどこかすかしていて、一人大人びてる男の子って居たなぁ~と思った。 -
初めての長野まゆみが多分これだった。
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テレビジョン・シティを読んだ直後だからだろうか。主人公の内側で沸々と揺らめく心情が見事に描写されていて、読了感がとても良かった。不完全なのに完成されたかのような人間を演じる主人公。七月が現れて、主人公を取り巻く環境が変化していく。都合良く解釈し、あるいは忘れていた記憶が蘇る。頭で考えているほど現実が容易くないことを知り、「ぼく」は大人になっていく。
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揺れ動く10代半ばの心情が、若干の刺々しさとともに描かれている。