- Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101167602
感想・レビュー・書評
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恋や愛に決まった形なんてなくて、目にも見えないし触れることもできないのにどうして人は感情の昂りを感じた時、それを恋や愛だと呼ぶのか。本当は名前なんて付けたくない、この世でたった2人だけにしか答えが見つけられない特別な感情。好きで何が悪い、理由なんて要らない。何があっても決して揺るがない唯一無二の存在、きみはわたしのポラリス。
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正確に書くと星3.5。
恋愛小説の短編集だが、王道の話はひとつもなかったように思う。
私にはすごく理解できる話の方が少なかったが、歳をとったらまた読み返してみたいなと思う作品だった。 -
三浦しをんさんの言葉の紡ぎかたがものすんごく好きだなあと感じた。
どのお話の登場人物も一途で、人物間の深い愛情に心が温められた。
好きな人のために、好きな人の目の前で人を殺せばいいのだというフレーズが忘れられない。その話が一番深い愛情を感じられて好きかもしれない。
どれだけ見ようとしても全容が明らかになることはない心の底にたまった感情を、気づかぬうちに掬い取ってくれるのが、本の中の文章にあると思う。 -
三浦しをんさん、「舟を編む」ですごく優しい文章を書く方だなぁと思い今回の「きみはポラリス」。
たくさんの愛の形が文章になっていて、クール?冷めてる?卑屈?な人たちの目線で書かれている物語も、三浦さんの優しさマジックで穏やかな読了感でした。
「どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう」
このフレーズの【確かに感】すごい。
落ちると堕ちるの違いを調べたら、
『恋に堕ちる→良くない方向に向かう、禁断の恋のように本来はやってはいけないこいをしてしまう』と。
三浦さんは、形にとらわれない恋に『落ちる』を使ってる。好き。
「素敵な不毛」っていうフレーズも素敵。 -
英題は、something brilliant in my heart 心の中に、というのがミソで、他人には覗けない場所、自分の心の中にひっそりと輝く存在。 君はポラリス(北極星)というのは、人それぞれ心の中に自分だけの道標のような輝く星があって、迷いそうな時にはいつも導いてくれる存在、と言う意味なのかなと思う。 そしてこの本は10人それぞれの心の中の光を覗くことができる。彼らはみんな秘密を抱えている。 もしかしたら自分も彼も彼女も、ひっそりと誰かのポラリスなのかもしれない。
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・どうして恋に落ちたとき、ひとはそれを恋だとちゃんと把握できるのだろう。
確かに!たしかにそうだ、なんでだろう?と思わされた一文です。
人を好きになった時ってよくわからないです。
いつから好きなの?と聞かれてもはっきりした日を覚えている人なんているのだろうか。
一目惚れだったら、会った瞬間なのだろうからわかりやすいと思うけど。
自分の気持ちを自覚するというのはなかなか難しいものです。
どの話もちょっとした怖さみたいなものがありました。ホラーとかじゃなくて、なんかヒヤッとした感じ。
「春太の毎日」はそんなことなかったですけど。
恋愛とは片思いでも両思いでもこのヒヤッとした怖さを含むものなのかもしれない。 -
恋愛の形は様々で、何を幸せとするかも人それぞれ。今もなお、幸せな恋愛に絶対の正解があると思っている人は多い。そんないわゆる普通の恋愛に馴染めないことに、劣等感を感じたり傷ついたりもするのだけど、それでもいいと言ってくれるような短編集だった。
どの話も好きだけれど、「森を歩く」「骨片」が特に好き。前者では適齢期で結婚していく友人と、後者では結婚し子どもを産んだ祖母と、対立するような恋愛をする主人公が自らの恋愛の形を、私にはこれが幸せなのだと掴み取っていくようなところがよかった。 -
短編集だけど、読んでいくごとになるほど、となる一冊。そして最後の解説でカチっと収まって終わる。好きな人を星に例えるのはありきたりかもしれないけど、愛のかたちは本当に色々だよ。しかも大抵キラキラしてない話の集まりなのが逆に良かったかも。幸せの詰め合わせお弁当箱って食べ終わった後に逆に悲しくなるときあるから。
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『春太の毎日』が狂おしいほど好きです。文字だからこそ楽しめるお話で何度でも読みたい。