マキアヴェッリ語録 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181066

感想・レビュー・書評

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  • 「君主」に「トップ」、「貴族」に「管理職」と括弧書きがされたり、現代人に役立ちそうな文章が選ばれたりと、実用書として考えられているようだ。しかし箴言集として役立つか、と言うと、正直疑問がある。

  •  マキャベリはその境遇から、書くことが自己の存在証明と密接に繋がっていた。したがって、彼の遺した文献は「生の証」そのものである。マキャベリの思想に対しては賛否両論ある。

      よくあるタイプの非難は、人倫の道に反するものであるというものだ。しかし、政治とは場合によって、目的のために手段が正当化されるものである。(目的以外に手段が正当化されることなど果たしてあるだろうか)マキャベリ的な政治は方法の選択であって、否と唱えるひとと彼の違いは、ある意味ではポリシーの相違でしかなく、正しいかあるいは正しくないかといったものではない。
     
     他方、弁護する人はどうか、それは彼の生きた時代が政治的混乱状態にあった時代情況を反映したものであることを考慮すべきだという主張をする。しかし、当時の時代状況という特殊性を強調すればするほど、彼の政治思想を普遍性を損なうことになる。擁護するつもりが、むしろマキャベリの否定になるという皮肉なことが起こっているのだ。
     
     『君主論』にも書かれてあるように、彼の望みと目的は、自分の書いた本が実際に役に立つということである。だからこそ、弁護派のようにある種のフィルターを通すことなく直接マキャベリの思想に相対し、人間活動の普遍性を抽出することこそ、読み手に必要な作業なのである。だからこそ著者は解説あるいは要約ではなく、本質をよく表しているような文章の抜粋というたかちを採ったのだ。
     
     人間というのは、幸い数千年に渡って進化していない。だからこそ、そのパターンが歴史から学ぶことができる。人間がどういう情況でどういう行動にでてしまうのかは決して変わらないのである。
     つまり、マキャベリの慧眼は現代を生きる我々にも非常に役に立つ。普遍性がなく応用しにくいビジネス書よりよほど古典のほうが役に立つと有能な人間ほど強調する理由の一端もここにある。

  • 今の日本の状況を踏まえて読むと、痛い、痛すぎる。

    民主主義じゃなかったとか、そういうこと抜きにしても悪い見本に見えてくる。

  • 塩野七生によるマキアヴェッリの抜粋。
    ちょっと評しずらい(´Д` )

  • 組織のリーダーになる人向けの書籍です。組織の存続・成長のためには明確なビジョンや戦略、コミュニケーションが重要と言われますが、この本では君主として民衆をまとめ国家として存続させるために実際に必要なことが書かれています。たとえば、君主たる者、もしも偉大なことを為したいと思うならば、人をたぶらかす技、つまり権謀術数を習得する必要がある、とか。君主にとって、術策など弄せず公正明大に生きることがどれほど賞賛に値するかは誰もがわかっている。しかし、我々の経験では、信義を守ることなど気にしなかった君主のほうが、偉大な事業を成し遂げていることを教えてくれる、等々。国家=企業と置き換えて読むことができます。要するにきれいごとだけではでは国家(企業)を守りきれないということですね。

  • 河内のおっさん さんから紹介本。
    凄い本です、とても為になりました。 
    管理職を経験した人は、必ず読むべき本だと思います。
    管理職成り立てや、これからの人が読むと少し危険な気もしますが。。 

    <響いた言葉>
    ー君主(指導者)たらんとする者は、種々の良き性質をすべて持ち合わせる必要はない。しかし持ち合わせていると、人々に思わせる事は必要だ。
    ー人間というものは、自分を守ってくれなかったり、誤りを質す力もない者にたいして、忠誠であることはできない。
    ー君主にとって、愛されるよりも怖がられるほうが安全な選択である。
    人間は、怖れている者よりも愛している者のほうを容赦なく傷つける性向がある。
    ー人を率いいくほどの者ならば、常に考慮しておくべきのとの一つは、人間の恨みは悪行からでなく善行からも生まれるということ。
    ー結果さえ良ければ手段は常に正当化される。
    ー中立を保つことは、あまり有効な選択ではない。中立でいると、勝者にとっては敵になるだけでなく、敗者にとっても、助けてくれなかったという事で敵視されるのがオチである。
    ー運命は、冷たいほど冷静に対してくる者よりも、征服したいという欲望をあらわにした者のほうになびくようである。
    ー好機いうものは、すぐさま捕まえないと逃げ去ってしまうものである。
    ー謙譲の美徳をもってすれば、相手の尊大さに勝てると信じる者は、誤りを犯すはめになる。
    ー長期にわたって支配下におかれ、その下で生きるのに慣れてしまった人民は何かの偶然で転がり込んできた自由を手にしても、それを活用することが出来ない。
    ー人間というものは、往々にして小さな鳥と同じように行動するものである。つまり眼前の獲物にだけ注意を奪われて、鷹や鷲が頭上から襲いかかろうとしているのに気がつかない。
    ー人間というものは、困難が少しでも予想される事業には、常に反対する者である。
    ーある人物を評価する際して最も簡単で確実な方法は、その人物がどのような人々とつき合っているかを見ることである。
    ー中ぐらいの勝利で満足する者は、常に勝者でありつづけられるであろう。反対に圧勝することしか考えないものは、しばしばおとし穴にはまってしまう。
    ーやった後で後悔する方が、やらなくて後悔するよりずっとましだ。
    ---
    奥が深いなぁ~ 

  • ニコロ・マキアヴェッリの思想の抜粋と言う珍しい形の文章。
    抜粋、だったので一つ一つがとてもわかりやすい。
    なんだか納得してしまった。(君主になったり戦略練ってるわけじゃないけど!)

    「天国へ行くのに最も有効な方法は地獄へ行く道を熟知することである」

    「いかなる手段もその目的にとって有効ならば正当化される」

    「愛されるよりも怖れられるほうが、君主にとって安全な選択である」


    マキアヴェッリの言葉は実に簡潔でそれでいて淡々としている。
    客観的であり自分の主観を絶対に入れていない。
    しかもやたらとその言葉は裏付けがされていてとても科学的。
    16世紀以降の歴史を辿って行っても彼の思想はことごとく通用する。
    ここまで君主や戦略の事をわかってる人もすごいなぁ。
    そんな彼が居た国も滅びてしまったんだからやっぱりどんな知識を持ったとしても永遠って言うのはないんだな、と思った。

  • 現代の(特に日本の)“民主主義”は、単なる群集政治、果ては衆愚政治に陥っているように見受けられる。国家が危機が迫っているような状況ではマキアヴェッリの唱えるような真のリーダーシップが本来求められるはずだが、一旦“民主主義”を手にした我々にそのような事柄は望むべくもないのだろうか。
    読み物として楽しむというより、政治を考え、あるいはビジネスにおけるリーダーシップを考えときにふさわしい本だと思う。

  • 塩野七生さんによるマキアヴェッリ思想の抜粋。

    現実的であり具体的、しかもキレイゴトなし。

  • 人間の本質を突く言葉ばかりで勉強になった。政治形態は変わっても人間の性質は何ら変化していないことも改めて確認できた。

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