- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181325
感想・レビュー・書評
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ベネツィアの誕生から、第四次十字軍まで。
一気に「読ませる」文章力は相変わらず。イタリアに対する贔屓っぷりも相変わらず。
第四次十字軍に対する擁護は滑稽ですらある。「モラリストぶる」(235頁)必要がないならここまで必死に擁護しなくてもよいのでは、と思ってしまうが。 -
中世においてさえ、キリスト教の教義よりも自国の利益を優先させていたヴェネツィアだが、トランプ大統領の“アメリカ・ファースト”みたいな傲慢さが感じられないのは、資源に乏しく人口も十分でない中、生き残る為には大国相手の外交努力を怠らず、いざ戦争となったら、国を挙げて戦わざるを得なかったから、か。
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ローマ人の物語を読み、この本と並走する十字軍を読んだら
やっぱりもう一度最初から読みたくなってしまいました、海の都の物語。
ローマ滅亡や十字軍の背景があるとより一層、リアルにヴェネツィアの歴史を感じ取る事ができます。
また、塩野七生独特の語り口が
では現代の我々はここから何を学びとる?
と常に問いかけます。
ロシアのウクライナ侵攻、台頭する中国。
通商国家として生きたヴェネツィアの末期に、似ています。
読み直すとしたら、、
やっぱり全部読んでください。
前回、印象に残らなかった箇所も、今回は響くところが多いはずです。 -
本書はヴェネツィアの歴史を紐解いた書籍の第1巻に当たりますが、おもにヴェネツィアの生い立ちから第四次十字軍遠征でのヴェネツィアの役割までが明確に記載されています。塩野氏の本はいつも思うのですが物語的トーンと叙述的トーンがうまい具合に合わさっていて、どちらかのウェイトが大きいと退屈すぎるか、胡散臭くなってしまうのだが、そうならず読者を飽きさせない記述になっています。下手なガイドブックを読むよりはこの本を読んでからヴェネツィア観光したほうがよっぽど感慨深いだろうなと思いました。
キリスト世界でもなくイスラム世界でもない日本の塩野氏が描くヴェネツィア像はある意味世界的に見ても中立的に書かれているのだろうかと思いながら読みました。お勧めです。 -
塩野七生さんの「ローマ人の物語」は、とてもとても良かったので、こちらも期待して読んだ。
時系列としてはローマ帝国滅亡後の歴史だが、書かれたのは「ローマ人の物語」よりこちらが先。
「ローマ人の〜」と比べるとやや学術的で、肉薄するような描写に欠けると感じた。残っている資料や研究量、それと筆者の筆力の成熟度の差によるのかもしれない。
ヴェネツィア人の徹底した合理主義、宗教と政治に一線を置くスタイルは、亡きローマ帝国のスピリッツが、ここヴェネツィアに脈絡と受け継がれていると感じた。 -
ソースが曖昧なドキュメンタリーの光景をヴェネツィア共和国一千年の冒頭にもってくるか。中世奴隷貿易の買い手よりも簡単に調べられるような気がする。