ローマ人の物語〈10〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(下) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101181608

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  • ポンペイウスの活躍のおかげで、それまでの最大版図を支配するようになったローマ。軍の司令官としては優秀で民衆からも高い支持を得ていたポンペイウスだが政治には関心がなく、再び元老院支配が強まる。弁論の祖とも言われるキケロが活躍した時代。のちの英雄である若きカエサルはしばらく雌伏の時を過ごすわけだが、内乱によって命を狙われたり、借金して人妻をたぶらかしたり、海賊に囚われたかと思うと身代金の値段を自ら跳ね上げたりと、荒唐無稽・破天荒な青年期を過ごす。敵方の衰退によりやっとローマに戻ってからは、それまでとは別人のように、ただし慎重に頭角を表す。ここまでが8巻。元老院を抑えて実権を握ってからは、歴史でも有名な三頭政治を実現し、自らはガリアの平定に赴く。このガリア戦記が9巻と10巻。ガリア戦記はそれだけで書籍になっているし、それを題材にした様々なファンタジー小説や映画にもなっている。カエサルの将としての才覚が遺憾無く発揮され、現在の西ヨーロッパの原型ともいうべき町や街道が作られる。その時の街の名前が、2000年を経た今でも残っているというのは、先見の明というだけでは足りない神がかりな大事業。この後、元老院との対立が深まり、いよいよルビコン川を渡ることになる。ローマの長い歴史の中でも、一つのクライマックスを迎えることになる。

  • 長年のガリア戦役の末、ユリウス・カエサルはヴェルチンジェトリックスの軍勢を降してガリア全域の平定に成功する。しかし首都ローマでは反カエサルの元老院派がポンペイウスを抱き込み、カエサルを排除する動きがますます強くなる。追い詰められたカエサルがルビコン川を渡る決断をする、その直前までを扱った一冊。

  • 本編はガリア戦役後半部およびルビコン川渡河までの物語です。本編ではまたもカエサルの軍事家、政治家としての手腕の高さが如実に示されていることに加えて、物書き(ガリア戦記)としての才能の高さも示されています。正確には口述筆記ですが、カエサルの文章は飾らず、自分に酔わず、物事を客観的に述べながらも読者を惹きつけるやり方が著者によって説明されています。私の周りにも会議などの発言録をそのまま文章にして、校正なしに本が出せる人がいますが、カエサルも頭の中がものすごく整理されていた人物であったことと思います。
    ガリア戦役最大の正念場、アレシアの戦いについては包囲模式図や陣地断面図などが掲載されているので大変親切でした。ほかの巻同様是非購入し、休日にでも一気に読んでください。

  • カエサルの人としての魅力が強烈に伝わってきて、非常に惹き込まれた。

  • ガリア戦役に突入してからのカエサルの目覚ましい活躍。ここに至るまでの構想が明確にカエサルの頭の中にあったのだろう。そうでないと揺るぎない意志で戦うことが出来なかったように思う。
    カエサルがガリアをローマ傘下に治めたことが、今のヨーロッパという政体の根源なのだろう。
    境界のない違う民族同士が争いあっている時代に法律の基づいて国を治めようとしているローマ人を不思議に思う。

  • 長かったガリア戦役も終わり、次は元老院。
    面白かった。

  • カエサルって私でも知っている超有名人。これを読むとやはりスゴイ人だったんだなあ。と思いました。

  • この辺からやめられなくなった。

  • カエサルのカリスマ性が読み取れる。国を守ろうと働いた人を追放するのが大好きだなあ、元老院。ついに賽は投げられた。続きが楽しみ。

  • ガリアの弱点というのは一致団結しないこと。(これは、現在のフランスになっても変わっていない)
    それぞれにそれぞれの主張とタイミングで戦うので、カエサルは個別撃破をすればよい。

    ところがそんなガリアをまとめた若者が出てきた。
    これがカエサルの、ガリアで名最大の敵だったと言えよう。
    しかしそんな彼ですら、カエサルの経験に裏打ちされた粘りには耐えきれなかった。
    やっぱかっこいいなあ、カエサル。

    でも、そのころローマでは三頭政治の一角が崩れ、ポンペイウスは元老院に取り込まれ、ガリアの脅威からローマを守ったカエサルは一転、国賊扱いに。
    いよいよ次巻はカエサル、ルビコンを渡る。
    この時代はドラマチックで楽しい。

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