ローマ人の物語〈10〉ユリウス・カエサル ルビコン以前(下) (新潮文庫)
- 新潮社 (2004年8月30日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101181608
感想・レビュー・書評
-
ラストで、ついにあの有名な「ルビコン川を渡る/賽は投げられた!」が登場( ´ ▽ ` )ノ
あれはこういうシチュエーションで出てきたセリフだったんだね( ´ ▽ ` )ノ
カエサル、ポンペイウス、キケロ、その他もろもろ、みんなキャラクターが立ってて面白い( ´ ▽ ` )ノ
できれば小説で読みたかった( ´ ▽ ` )ノ
しかし、これでやっと10巻か……正直あきてきちゃった……(´ェ`)ン-…
2018/04/22詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
ルビコン川を渡るまでのカエサルの巻、最終巻。
ガリア戦役の最終盤からローマでの元老院派の巻き返し。
元老院の動きを受けて、とうとうカエサルも武力解決を考える。そして、賽は投げられた。 -
カエサルがガリアとの8年間の戦いで行ったことは、ガリアをローマの支配下に入れることによって、この地域を文明化したということである。当時のこの地域には、毛皮で体を覆った蛮族しか住んでいなかったらしい。
ガリアというのは、今でいうスペイン、フランス、ドイツにあたる。ブリテン島のロンドン付近にも上陸しているから、カエサルは、イタリアから出発して西ヨーロッパ全体を一人で制覇したことになる。セリエAとリーガとブンデスとリーグアンとプレミアリーグをすべてカバーしたのである。
西欧人にとってみれば、カエサルは、ヨーロッパの歴史の始まりをもたらした人物であり、第一級の重要人物ということになるだろう。日本でいえば誰になるのか。神武天皇みたいなものか。こちらは神話の人物だが、カエサルは自著や、周辺の人の記録もたくさん残っている。愛人が誰と誰ということも分かっている。
ヨーロッパの人々にとっては、文明の祖である彼の語った言葉や行ったことは、それこそ小さい頃から授業で繰り返し教え込まれ、常識中の常識なのだろう。
カエサルのガリア戦というのは、諸葛孔明の南征を連想させるところがある。蛮王孟獲を7回戦って7回釈放し、ついに彼を心服させてしまうというエピソードがあるけれども、文明国ローマと蛮族たちとの戦いも、最後は必ずカエサルの勝利で終わる。
ただし、三国志と違って、最後の抵抗に立ち上がった全ガリア連合軍のリーダーのヴェルチンジェトリックは許されることなく、捕えられて処刑されてしまう。
征服された側のケルト民族について、いまのヨーロッパの人たちがどう考えているかはちょっと興味がある。 -
政治やかけひきの部分は面白くないんだけど、カエサルが戦う段になると途端に面白くなる。
-
軍人でありながら政治家もしなければならない…この知恵の源泉は何なのか。
-
今まで面白さよりも義務感で読んでいたが、カエサルの章になってから俄然面白さが増してきた。あまり彼の事を知らなかったけど「賽は投げられた」などの名言では表せない魅力たっぷりの男だった。
-
『賽は投げられた。』ローマを追われ他国に亡命するとき、多数の部族が待ち受けるガリアに向かうとき、史上初めてドーヴァー海峡を渡るとき、ガリアでの初めての撤退戦のとき、激戦のアレシア攻防戦を乗り越えたとき。いずれも命をかけた重大な出来事であったが、歴史に残る一言は記録されていない。その後現代においても『ルビコン川を超える』が慣用句として使われるほどの一大事が、首都ローマへの進軍だった。
カエサルの軍事の才能が遺憾なく発揮されたのがガリア戦記であったが、個々の戦術はもちろん、その戦略眼こそが特筆すべき能力だろう。寛容と殺戮。冬営地の選択。ブリタニア、ゲルマンからの撤退。戦地への急行と十分な休息。糧食確保のための同盟。占領後の税制の改革。全ての選択肢の先が見えていたのではないかと疑うほどの結果を残している。
そしてその戦略眼は、政治の文脈においても遺憾なく発揮される。元老院への対抗のための三頭政治の樹立。自派の護民官の擁立。関係強化のための借金と人気のための公共事業。しかし、突出した才能は古い共和制とは馴染まない。
三頭政治は絶妙にバランスを保っていただけに、その一角クラッススのオリエントでの戦死により情勢は大きく歪み、ついには元老院との直接対決を余儀なくされる。数を武器にした今までの敵とは違い、今度の相手は稀代の軍人ポンペイウスとカエサルの戦術を知り尽くした元副将ラビエヌスだ。ローマが産んだ天才が、ローマを相手にその才能を測られるときがきた。次巻に続く。 -
10巻を超えても変わらない面白さ。しかしどうして現場のことをわかってやれないのかとイライラする。