李香蘭私の半生 (新潮文庫 や 36-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101186115

感想・レビュー・書評

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  • 市立瞳が大きく二重で洋風美人。

  • 李香蘭を知らない世代だった。しかし、名前は聞いたことがあった。その人の人生を知りたいと思い、手に取った。満州を舞台にした日中の戦前からの世界観は、期待を裏切らない、興味深い時代である。本著には、男装の麗人で有名な川島芳子も登場するが、彼女たちの人生は極めてノスタルジックな、日本的な雰囲気を包含する。李香蘭と名付けられた山口淑子も然り、人生そのものがドラマ仕立てである事が、戦前生まれには多いのだろうか。その人生を、本の中で辿るのであるから、面白くないわけがないのだ。

  • 1990年(底本1987年)刊。戦前の満州/撫順で幼年期を過ごした著者。その後、満映専属女優として、日本人でありながら中国人として映画等に出演、戦後もハリウッド/ブロードウェイに出演していたが、女優引退後は自民党所属の参議院議員としても名をはせた女性の半生記(事実上戦後直後まで)。映画史としても興味を引くが、それにも増して戦中時期の日中の境界線にいた著者目線の日中の実像が興味深い。中国人として北京の現地高校への通学時代に見聞・体験した中国の高校生の対日感情と行動。中国人として帰日した際の日本人の対応。
    これらは境界線上にいた著者だからこそ実現できた記述で、なかなか目にすることはないだろう。なお、清朝皇帝の親族である男装の麗人/川島芳子の実像、満映トップの甘粕正彦の実像、あるいは色々な裏話が描かれる。なお、ゴーストライターにしなかった点は○。

  • 転居時に手放したが、手に入らなくなっていて後悔。

  • 日本人として満州に生まれ、中国(満州)・日本映画界で
    活躍した李香蘭の物語。
    私は中国で活躍したけど日本人、ということと
    彼女の代表作・夜来香しか知らなかったのだが
    今回この本を読んで彼女の数奇で波乱に満ちた人生を
    知ることができた。

    自伝のような形なので、自分の記憶中心の内容かと思いきや、
    共同著者を置き、きちんと当時関わった人たちに
    確認や取材などをし、
    また中国にも行って事実確認をする、という
    終始客観的なものだったので読んでいてモヤモヤしなかった。

    またそれ以上に、当時の満州の様子、北京の様子、
    上海の様子などが時勢を踏まえて書かれているので
    面白い。
    上海の部分などは、住んでいた私でもわかるので
    書くにあたって確認したんだろうなぁ、と
    信頼性が上がるし、
    当時を知る良い資料だなぁ、と思った。

    色々な人とのエピソードが語られているが、
    昔の人すぎてなかなかピンとこないのが残念。
    とはいえ、この頃の時代の国際的に活躍してる人って
    ほんと交友関係がすごいよなぁ、って思う。


    また、時間を置いて改めて再読したい。

  • 読んでて止まらなくなる本。波乱万丈だけど、自分を見失わずに、軸を持って生きた人なんだね。

  • 満州生れの彼女に与えられた使命は「汪政権に賛成する支那人もいる」証明に、国策映画に支那人として出演すること。大人気。支那人からも、怪しまれはしたが育ちが特殊なのだろうと結論されたらしい。それより本土に来て日本旅館で「こんな開けっ放しで馬賊が来たらどうするの」「日本人が肉体労働するとは」。戦後、日本人と証明出来なければ売国奴として蒋介石政府に処刑されるところだった。森繁久弥や遠藤誉が少し書いているが引揚げの苦労が偲ばれる。日中友好ムードの頃、彼女が参院議員になった経過も知りたい「真実を知ってる」圧力のためか

  • 2018/01/19 16:47:56

  • 戦前、日本人として生まれ、中国人の養子となったことで中国人として映画に出演し、満州のイメージアップに関わることとなった筆者の話。
    映画というエンターテイメントを統治のためのイメージ戦略に使うという意識での取り組みが戦前からあったというのが驚き。

  • 登場人物がいきいきとしていて、小説よりも圧倒的に面白い。1930〜40年代の中国(満州)の動向や雰囲気がリアルに伝わってくる。それでいて著者が”李香蘭”という存在をなんとなく第三者的、客観的に見ている記述が興味深い。

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