隠された十字架―法隆寺論 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (602ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101244013

感想・レビュー・書評

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  • 一見、法隆寺の謎に迫るノンフィクションという雰囲気ではじまるが、実際は、日本の歴史をできるだけ正しく解釈しようとする試み。「聖徳太子が建てた法隆寺」とか「大化の改新により奸物(蘇我氏)が除かれ日本は正しい政治を行うようになった」という教科書的な事実を鵜呑みにし特に深く考え無いことは、権力者にとってこの上なく都合の良いことだと再認識。お寺の構造、建物の配置、権力者による特別扱い、精霊会、仏像などをk別にではなく、全体を俯瞰すると、法隆寺というお寺はおそろい場所ということがわかる。その時代の権力争いによって子孫のほとんどを惨殺された聖徳太子の怨霊を鎮めるための寺であり、祟りをもたらさないように仏像に擬せられたのは太子その人であ流と考えられる。このように考えると、ちょっと怖くて法隆寺には行けないなあ。歴史は勝者によって記録されるということを再度認識するものとなった。

  • 2020年2月16日に紹介されました!

  • 哲学者、梅原猛さん
    逝去
    ご冥福をお祈りします。古代史の新解釈を提起し続けた著者の独自性が最も表れる、代表作の一冊を。

  • 再読。法隆寺にこんな不思議(謎)があったと知り、わくわくしながら読んだ昔を思い出しました。再読もやっぱりわくわく。法隆寺に行って見てきたくなります。学生時代、学校行事で行った時には、こんな謎知らなくてつまんなかったもんなー。

  • 長いエッセイ、と筆者はいうがこれは論文だろう。しかしその読み応えはミステリーか推理小説か、というようなリズムとスピード感で読ませる内容だった。小難しいこと言うんだろうなと敬遠していたのだけれど、面白かった。聖徳太子の子孫についての史実は知らなかったし法隆寺の謎についても初めて知った。この歳になってもまだ新しいことを知ることができるというがわかった一冊だった。

  • 真偽はともかく、本当に面白かった。以来、救世観音を見るのがコワイ。

  • (2017.01.15読了)(2001.10.12購入)(1986.02.20・14刷)
    副題「法隆寺論」

    【目次】
    はじめに
    第一部 謎の提起
    第二部 解決への手掛り
    第一章 なぜ法隆寺は再建されたか
    第二章 誰が法隆寺を建てたか
    第三章 法隆寺再建の政治的背景
    第三部 真実の開示
    第一章 第一の答(『日本書紀』『続日本記』について)
    第二章 第二の答(『法隆寺資財帳』について)
    第三章 法隆寺の再建年代
    第四章 第三の答(中門について)
    第五章 第四の答(金堂について)
    第六章 第五の答(五重塔について)
    第七章 第六の答(夢殿について)
    第八章 第七の答(聖霊会について)
    解説  秦恒平
    年表
    図版目録

    ☆梅原猛の本(既読)
    「仏像」望月信成・佐和隆研・梅原猛著、NHKブックス、1965.04.20
    「続・仏像」望月信成・佐和隆研・梅原猛著、NHKブックス、1965.10.20
    「湖の伝説」梅原猛著、新潮社、1977.01.05
    「ヤマトタケル」梅原猛著、講談社、1986.01.20
    「ギルガメシュ」梅原猛著、新潮社、1988.10.15
    内容紹介(amazon)
    法隆寺は怨霊鎮魂の寺! 大胆な仮説で学界の通説に挑戦し、法隆寺に秘められた謎を追い、古代国家の正史から隠された真実に迫る。

  • 今では梅原先生のこの説を肯定的に読む人はあまりいないかもしれない。それでも、二十数年前の私には衝撃的だったな。読後、聖徳太子について調べたりしたことが懐かしい。

  • 法隆寺は聖徳太子の怨霊を封じるため藤原氏が建てた寺とする説。鎌足が入鹿や軽皇子に太子子孫(山背大兄皇子ら25名)を虐殺させ、また次は中大兄皇子と組み入鹿を殺した。以降藤原氏が蘇我氏に取って代わり藤原と血筋の近い人間が皇位につく。不比等は藤原の血なまぐさい経歴を正当化するために記紀を書かせた。記紀は太子を神格化することにより、子孫の山背大兄皇子らを虐殺した入鹿を悪者とし、入鹿を倒した鎌足と天智を正当化している。藤原の子孫は真実を知っており、ひたすら太子の怨霊を恐れ鎮魂の寺を建てた、と。大変面白いので反対の意見も読んでみたい。

  • 天智と天武で紹介されていたのでとりあえず。
    初めて梅原猛氏の書を読んだが、週刊誌調というかなんつーかとても主体的な癖のある文体で読みにくかった。
    「はじめに」から防衛過多のようなそんな予防線張らなくても、って肩に力のいった文に面食らう。
    怨霊信仰というものをつぶさにとりあげたものを読んだのは初めてであるような気がする。救世観音のモデルなども、天智と天武もこれらの考えをもとに描かれた、という点、参考になりました。
    法隆寺行ってみたいよ〜

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著者プロフィール

哲学者。『隠された十字架』『水底の歌』で、それぞれ毎日出版文化賞、大佛次郎賞を受賞。縄文時代から近代までを視野に収め、文学・歴史・宗教等を包括して日本文化の深層を解明する〈梅原日本学〉を確立の後、能を研究。

「2016年 『世阿弥を学び、世阿弥に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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