隠された十字架―法隆寺論 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (602ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101244013

感想・レビュー・書評

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  • 梅原猛の金字塔。高校生だったときは夢中になって貪り読みました。脳内変換は山岸凉子のキャラたち。しびれるほど面白く、恐ろしく、目眩がしたものです。
    大人になって読むともっと冷静だし(笑)、主張の粗も見えてくる。情熱が暴走してる描写に苦笑することもある。だけど、この本のインパクトは失われてはいない。読む度に何か、新しい発見をします。

  • なぜ聖徳太子がここまで礼賛され続けてきたのか、法隆寺の構成、本尊とされる仏像の数々にまつわる謎。
    法隆寺は偉大なる怨霊となった太子一族の鎮魂装置であり、怨霊化の犯人である藤原氏とその縁戚にある皇族たちによる巧妙で手厚い魂鎮めの手法の痕跡を記紀をはじめとする歴史資料から洗い出していく内容に、途中なかなか頭に入りづらいところもありつつも、楽しく読めた。
    井沢元彦氏の逆説シリーズを先に読んでいたので、驚きというよりも、ふむふむ、納得って感じ。

  • 聖徳太子の魅力に取り憑かれ 手にとった本。興味深くかつ納得のいく内容だった。

  • 長い、退屈、たまにすごく面白い、と三拍子そろった法隆寺論

  • 法隆寺に隠された「怨霊鎮め」の秘密。あくまで梅原論ですが、納得いくところが多々。
    特に気になったのは「救世観音」。聖徳太子等身大のこの像にまつわるお話はとても興味深い。
    フェノロサがこの像を見るまで、秘仏とされ隠され続けた像。
    布でぐるぐる巻きにされ、その頭部には釘が打たれていた・・・。

    写真を見てもその表情はどこが空恐ろしい感じがする。
    笑みが不自然だなと・・。
    そしてその背面は抉られて中空となっている。
    横から見ると、なるほど梅原氏の仰っている通り、不自然でまるで亡霊のように見える。

    日本古来から、人は怨霊を恐れ、その原因を作った加害者はその報復をより恐れた。そのため、沢山の罪もない血を流した権力者はその怨霊を鎮めるために、神社を建て霊を神として祀りその神社に閉じ込め、出ないようにと祈った。

    そう言われると、北野天満宮などもそうですね。

    天皇の諡号(しごう)に「神」「徳」がつく場合、非業の死を迎えているという話も興味をひきます。
    素晴らしい諡(おくりな)をつけることで、彼らを死に追いやった権力者(勝者)は、災厄を押さえ込もうとした。

    これらのことを踏まえて歴史に登場する人物を見ていくと、面白いのではないかと思った一冊。

  • 「むき出しの権力より隠された権力」「隠された支配の背後には血の粛清がある」、そんな藤原氏が怖れた怨霊・聖徳太子。
    政治的敗者を信仰しようとする感覚は、同じ日本人ながら不思議で興味深い。
    ただ、梅原氏は「和をもって貴しとなす」を唱えた聖徳太子が怨霊として封じ込められ祀られることに「和の道徳を捨てよ、怒れ」とその境遇に対して憤りを述べていたが、『逆説の日本史』の「和の思想があるからこそ日本人は怨霊の祟りを恐れる」という井沢氏の考え方のほうがすんなり纏まるなぁと思った。ともあれ、救世観音はもう普通に拝観できまい。

  • 梅原日本学の発端となった一冊。聖徳太子像を一新し、なぜにかくも歴史上の人物が神格化されたのかを考えるうえで、道しるべとなる1冊。

  • 「怒れ、太子よ。・・・・太子よ和の道徳を捨てよ。」
    梅原さんの、この真実の言葉に出会えただけでも読んでよかった。
    1972年といえば僕がちょうど小学校の修学旅行で法隆寺に行って、金色にペイントされた五重塔の置物を買って喜んでいた頃だ。
    実はあの五重塔は金色でなくて、太子の血と怒りで真っ赤に塗られるべきだったのかも知れない。

  • 請求記号: 188.2||U
    資料ID: 91071507
    配架場所: 工大文庫本

  • 井沢元彦の著作に言及されていたので触発されて読んでみた。

    発表された当時は、因習に染まった学者たちに批判されたようだが、大概の人は常識・通説に囚われているので仕方ない。
    時を経てようやく認められてきたように思う。

    「なるほど」と思いつつ興味深く読んだ。

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著者プロフィール

哲学者。『隠された十字架』『水底の歌』で、それぞれ毎日出版文化賞、大佛次郎賞を受賞。縄文時代から近代までを視野に収め、文学・歴史・宗教等を包括して日本文化の深層を解明する〈梅原日本学〉を確立の後、能を研究。

「2016年 『世阿弥を学び、世阿弥に学ぶ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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