若き数学者のアメリカ (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101248011

感想・レビュー・書評

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  • アメリカも数学も好きなので購入。
    数学の話はあまり深くまで語られない。

    アメリカ人と著者の関係が少しずつ変化していく様子が興味深い。
    知り合った女性の話、学生との話、近所の子供達との話が面白かった。

  • 著者がアメリカの大学で研究員・助教授として体感した等身大のアメリカの大学が生き生きと書かれています。学問の最先端をいく超大国アメリカへ東洋の片田舎の日本から挑戦するという著者の気概が、微笑ましいです。また、数学の世界の厳しさもひしひしと感じられます。しかし、著者はユーモアを交えながら、丁寧に説明してくれています。読み終えた時には、議論の難しさから私達から遠いように感じてしまう数学という学問をちょっとかじってみたくなる本です。

  • 文章のリズムがいい。
    筆者の嫌な部分も含めた感情が素直に書いてあって共感もできておもしろい。
    コロラド大学での最初の授業の様子は思わず笑ってしまった。

  • 学問はやはり人間の営みなのだと思った。

    自分だったら公に向けて書くことに抵抗を感じるような失敗や劣等感についても書いてあるが、これは簡単ではない。自身の心の動きに敏感になってはじめて、こういう文章が書けるのだろうと思う。

  • 遥かなるケンブリッジより、藤原さんの日々奮闘しながらアメリカという地を生きる姿が想像でき、またアメリカについて考えさせられました。普通の文なのに時々笑い転げてしまうような、ユーモアある文を書くのでとても面白いです。

  • 喜怒哀楽を幅広く体験できた一冊。中でも、大いに笑ったこと、群れの中で虚無感を抱くこと、人が本能的に愛を求めるのに共感できたことが印象的。一つ一つの出来事に伴う感情を誤魔化さず綴ることに、これほど引きつけられるとは。私自身も言葉を活用して、感情をより深く味わってみたい。

  • 筆者は御茶の水女子大学の名誉教授で数学者である。図書館蔵書以外にも著作はあるが、中でも一番有名なのはベストセラーになった「国家の品格」であろう。古くから知っているファンとしては正直面白くない。私は「若き数学者のアメリカ」を特に勧める。アメリカへ留学した時の体験記である。留学の孤独・異文化・人間・学問などを、ユーモアを交えて鋭い視点で分析している。しかも、易しい言葉で書かれていて、文章ってこんなふうに書くのかという書き方まで学べる。さらに、マンガのようにゲラゲラ声を出したと思いきや、涙しながら一気に読んでしまう恐ろしい本である。(注意)藤原正彦中毒にならないよう、読んでいただきたい。

    文学部 T.A


    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000642853

  • 驚きや戸惑いを含めた著者の体験一つ一つのエピソードが生き生きと語られている。
    語り口が軽快で読みやすい。

    最後の章「アメリカ、そして私」が一番印象に残った。
    「自信を失い、目標をも失ったアメリカ人は彷徨う」
    これって、いま日本の若者にも言えるのではないかと思う。
    都会で育ったり、親の転勤で引っ越しが多かったりして、「故郷」という感覚を持たない人も増えているだろうし。
    以前自分の親世代の人から「ハングリー精神がない」と言われたことがあるのを思い出し、自分も著者がここで書いているアメリカの若者たちに似ているのかも、と感じた。

  • 【Impression】
    数学者に関する本、という訳ではなくアメリカについての観察に主眼を置いている。
    「遥かなるケンブリッジ」とは対照的だったが、その観察の鋭さは同様だと思った。

    特に最終章の「アメリカ人」に関する文章。
    「アメリカ人らしいとは逆説的ではあるが日本人らしくいること」という考察に納得。
    「彼らは不思議がるが不快感を持つわけではない」、という所が目にとまった。

    だからこそ、日本人であるにも関わらずアメリカ人に迎合することは、一見早道であるように思えるが、長期的には有益ではない。

    まぁ、言葉に関してはそんなこと言ってられない時代やけど

    【Synopsis】
    ・ミシガン大学へ研究のために渡米、当初は反骨精神丸出しで、周りのアメリカ人全てを敵かのように振舞っていた
    ・しかしどこか「孤独感」を覚え、その原因を「愛がない」とした。同時に体調も思わしくなくなり、コロラド大学の助教授に就く
    ・そこで学生や子供達と触れ合いながら、アメリカに迎合するのではなく、「日本人とアメリカ人」の両立、というか根源は同じであるということに気付き、ようやくアメリカに「愛」を感じ、帰国する

  • 故・新田次郎の息子である数学者、藤原正彦さんが、アメリカに客員教授として呼ばれたときの心情を綴ったエッセイ。
    藤原正彦さんのエッセイは今までに三冊くらい読んでいて、そのどれもが読者を彼の世界観に引き込む力がある。

    彼は、決してハンサムとは言えないのだが、ユーモアのセンスや、鋭敏な感受性のためだろうか、旅先で女性とけっこう好い中になることが多い。

    最終章では彼がアメリカ人を真の意味で好きになったということを書いている。日本でのアメリカ人のイメージは、個人主義、主義主張が強い、自分の弱さを決して他人に見せないスーパーマン、などだろう。しかし、アメリカ人と近しくなるにつれて藤原正彦さんは、悩みを打ち明けられたり、ある金髪の女性と「愛」と呼べるかもしれない物によって、心の1番奥深いところを通わせたりしたことによって、アメリカ人も日本人と同じなのだということに気がつく。

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著者プロフィール

お茶の水女子大学名誉教授

「2020年 『本屋を守れ 読書とは国力』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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