介護現場は、なぜ辛いのか: 特養老人ホームの終わらない日常 (新潮文庫)

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著者 : 本岡類
  • 新潮社 (2013年6月26日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101276113

介護現場は、なぜ辛いのか: 特養老人ホームの終わらない日常 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 週二回・夜勤ナシのバイトで老人ホームに介護職員として入った著者。元から半年ぐらいで辞めるつもりだったから、仕事を本気で覚える気がない。仕事を覚える気がないから、必死で教えようとする上司と衝突してばかり。となれば、文中ににじみ出てくるものは、愚痴と不平不満ばかり。ほとんど参考になる話がなかった。

  • 仕事の関係で読みました。
    介護現場の大変さを語った本。人手不足で、先の見えない世界。その大変さは嫌というほど伝わってきた。
    これからどんどん高齢者は増えるのに、こんなことではいけないと感じた。
    でも、これ読んだら、これから介護の仕事に就こうと思ってた人でも、嫌になるんじゃないかなと思い、ちょっと複雑な気持ちになった。でも、それが現実なのだから、仕方ないといえばそうなのかもだけど…。

  • 半年間パートで働いたおじさんが体験した介護についてを悲観的に書いている。介護という仕事が悲観的なのか著者の性格が悲観的なのかわからないけど、第3章で耐えられなくなりギブアップ。だいたい介護が大変なのは周知の事実。その大変な部分はこうなのですと具体的に解説しているだけで解決しようという熱意がなければ情熱もないし当然感動もない。個人的体験談というだけで、これはドキュメンタリーとも言えない。

  • 近年何かと話題に上る介護の世界。しかも耳に入るのはよろしくない噂ばかりであります。虐待・暴行・拘束・いじめ・セクハラ...
    実態はどうなつてゐるのか? 作家の本岡類氏が、実母の介護をきつかけに、この世界にのめり込んで行きます。

    本岡氏はヘルパー2級の資格を得、さる特別養護老人ホーム(特養)で週二日勤務の非常勤職員として採用されました。時給は850円ださうです。まあ少なくとも高給ではありませんねえ。しかも新人もヴェテランも同額らしいので、これでは職員は定着しないことでせう。

    人手が少ないこともあり、入居者一人ひとりに時間。入浴や食事、トイレは時間を決めて流れ作業のやうに進められます。目を離すと何をしでかすか分からないので拘束してしまふ。本書を読むまでは、さういふ報道に接するたびに「怪しからんのう」と憤慨してゐましたが、この現場は人心を荒廃させるなあ。一方的に非難されるのが気の毒になつてきました。

    さらに本岡氏が驚くのは、新入り職員のためのマニュアル類がまつたくなく、先輩がするのを見て盗む(覚える)といふ、前近代的な徒弟制度みたいな世界であるところ。だから教へられてもゐないのに、「なぜやらないのか」「なぜできないのか」を難詰される理不尽も日常の一こまであります。
    もつとも、かういふ職場は中小の零細企業ではよくあること。中高年で転職した人なんかは特に「さうさう」と頷くところではないでせうか。

    本岡氏は結局五ヶ月で辞めることになりますが、問題を問題として捉へられるには絶妙な時期と申せませう。同じ職場に半年も勤めると、それまで問題だと思つた事案が「日常」になつてしまひます。さうすると問題は問題ではなくなり、次に入つて来る新人さんにも、「ここでは、かうなんだ。さういふものだよ」と訳知り顔で語るやうになるのであります。

    結局職員の待遇問題が大きな焦点となるのですが、現在の介護保険法では処遇改善には限度があるさうです。国はこれをいいことに、だから保険料値上だ、増税だ、きみたちは将来の日本のことを考へるなら協力してくれるよな、な、な? と国民に負担を押し付けるのであります。むろん為政者たちは自分たちの血は流しません。国民の金はいまだにダーダーと無駄使ひされてゐるのに。

    著者は、現状では若い人ばかりに負担がかかる仕組みに疑問を呈し、元気な高齢者をもつと活用しやうと提言してゐます。しかし肝心の高齢者がその気にならないので叱咤してをります。
    そして最後に言ひます。

    「そうした大きな政策転換は厚労省の役人には荷が重過ぎ、政治家の仕事である。そして、有能な政治家を選ぶのは、国民の役目である」

    つまり、国民は役目を果たしてゐないといふことになります。巷間いはれる「(日本の)国民は一流だが、政治は三流」も幻想であります。国民は選ぶ権利ばかり叫ぶのですが、選んだ結果についても責任をとるべきでせう。その覚悟がないからいつまでも世の中が変らない。

    ううむ、わたくしの意に沿はない真面目な話になつてしまひました。しかし介護の問題ひとつから日本の大問題が見えるのは事実のやうです。
    全国民が関はる問題ですので、一読しても罰は当りますまい。

    それではご無礼いたします。

    http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-494.html

  • 齢50を越えて介護業界へ飛び込んだ著者、渾身のルポルタージュ。介護業界で働き続けてきた、そこに慣れきった上司と、数々の業種を経験してきた著者との戦い。未体験の僕が介護業界への偏見を煽るつもりははありませんが、本書を単なる愚痴や不満として切り捨てるなら、介護業界の未来は暗いでしょう。最後の提案を早急に活かすべき。

  • ものさしがひとつしか無いと、モノの見方が狭くなる。という意見が心に残った。

  • 小説家が突入した介護の現場。

    本書の目的は、日本施設介護の荒廃ぶりを知ってもらうことにある。・・・なんとも、辛い言葉ではあるけども、本書を読めば、著者を含めた一般的な考え方が、如何に介護現場で通用しないかということがわかる。

    数日の取材ではなくて、ヘルパー2級を取得し、実際に現場で時給850円で働いた体験から綴る、介護の現場。
    やりきれなくなり、5ヶ月で退職してしまうのだけども、その中の凄まじい介護の現状と、変えるに変えられない現場の窮状がありありと記されている。

    著者の素朴な思いは、時にはっとさせられるものがある
    『シリンジで、また食べ物を口におしこむ。彼女の目尻から短く涙が流れているのに気づいた。ときとして、こうしたことがある。彼女は、自分の意識はどうにもならない今を悲しんでいるのか。それとも、人には、口を刺激すると目から涙がでるという生理的な反応でもあるのか』

    『90歳を越え、ほとんど一日中、目を開けていない人だって、恋をする頃があった。必死に子どもを育てている時代があった。生まれて以来、ずっとおバアさん、おジイさんをやっていたわけではないのだ。ずっと介護が必要だったわけではないのだ。』

    『介護というのは、その方の人生の最終盤に御付き合いする仕事。人間、小さい頃には親がそばにいてくれる。長じて、そばにいるのは、友人、恋人、夫か妻、家族と変遷し、人生の最終盤、サポートしてくれる者もいなくなり特養ホームに一人やってきた。そういう方と人生の最期の方でおつきあいするのが仕事。とても意義がある。 —とは思ってみるものの、現実にコミュニケーションのまったくとれない人を前にすると、どこに喜びがあるのかわからなくなる。』

    『このちょっとした騒乱の中では、仮に配り間違いがあったとしても、誰がミスを犯したかなんてわからない。皆、他人んおやることなんかに注意を払っていない。前述した "開かれた密室"が現れるのである。』

    『遅く出て、早く帰りたい。早く出て、遅く帰ってきてほしい—この二つの正反対の思いが、まだ実習生である私の胸にも重く響いた。』

    『介護士は、高齢者のケアをしていると、一方的に思い込んでいる。むこうは世話を受けるだけの存在だと決めてかかっている。だが、逆のケースだって、あるのではないか。』

    介護現場独特の文化の中に、丸腰で突っ込んでいくような著者の感覚が、新鮮に思える。

    著者は不平不満だけではなくて、幾つかの提案もされている。
    それが実行可能かわからないけども、こういった意見を受けれるだけの土壌が介護現場にあれば良いと願う。

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    【内容(amazonより)】
    かけた優しい言葉とは裏腹に、心の中では毒づいている。「我が儘言うなよ……」苛立つ職員。荒くなる作業。介護者、入居者共に我慢の24時間――。人は介護を受けるために生きているのではなく、生きるために介護を受けているはずなのに。齢50を過ぎてヘルパー2級を取得し、時給850円で働いた小説家が目の当たりにした、終(つい)の棲家の現実とは。老親を持つ世代必読のノンフィクション。
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    【目次】
    序章 扉が開いて
    第1章 「混沌」への招待
    第2章 強ストレス職場の日々
    第3章 「高齢」という現実
    第4章 真夏の夜の夢
    第5章 モラルハザードのはざまで
    第6章 出られない人たち
    終章 せめてもの未来を
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  • 2013/07/05 【新】

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介護現場は、なぜ辛いのか: 特養老人ホームの終わらない日常 (新潮文庫)の作品紹介

かけた優しい言葉とは裏腹に、心の中では毒づいている。「我が儘言うなよ……」苛立つ職員。荒くなる作業。介護者、入居者共に我慢の24時間――。人は介護を受けるために生きているのではなく、生きるために介護を受けているはずなのに。齢50を過ぎてヘルパー2級を取得し、時給850円で働いた小説家が目の当たりにした、終(つい)の棲家の現実とは。老親を持つ世代必読のノンフィクション。

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