さよなら渓谷 (新潮文庫)

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著者 : 吉田修一
  • 新潮社 (2010年11月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101287546

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さよなら渓谷 (新潮文庫)の感想・レビュー・書評

  • 中学時代の塾の恩師に進められ読む。うーん古田氏の本かぁと思うが、読むとしっかりした文調。そうだ「怒り」を読んだときから、古田氏の評価を変えていたのだった。いつから重量感ある文体になったのでしょうかね。

    隣の家の息子さんが亡くなり、その母に容疑が、最初は関係ないと思われていた、その家の隣に住む男性が主人公。記者の目で話は語られ、その男性の過去が明らかになっていく。

    読み終わって、ふーむこの様に展開していk物語は初めてかもね。でも過去に犯罪を起こすと、何年経ってもついて回るのだなあと改めて思う。若い頃の悪ふざけが、多くの人をそして自分を傷付ける。物語の運び方とかも変わっており、一読の価値ありですね。

  • 文章は結構好きだから
    おもしくなるかなーとおもって最後まで読んだけど
    盛り上がりもなく、結末も微妙。
    人物像も全く浮かばない!

  • この人の描く男女は切ない。そして暗い。
    業と業をぶつけ合うかの様な関係。

  • 重かった。若者の集団ののりとアルコールで一生苦しんでいく加害者と被害者。身近に彼らがいた場合、自分はどう行動するのか?読者に疑問を投げかけている。こういう事件は今も後をたたない。何か啓発できないのかな?

  • 過去に囚われ一歩も動けなくなってしまった男女の物語である。
    好き嫌いがはっきりと分かれる物語のような気もする。
    正直に言えば、この手の物語はとても苦手だ。
    無意識にどこかに救いが見えないかと探してしまう。
    何でもいいのだ、俊介の中にでも、かなこの中にでも、ほんの少しの未来が見える瞬間があれば救われた気がしたと思う。
    そんな薄っぺらな感情などあっけなく潰されてしまうほど、物語は容赦がない。
    かなこが本当に望んでいるのはいったい何なのだろう?
    破滅と未来、相反するものへの渇望がかなこの中に渦巻いている気がして辛くなってくる。
    すべて壊してしまいたい。何もかも失くなってしまえばいい。
    どうせ何処へも行けないのだから。どうせ無かったことには出来ないのだから。
    諦めと祈り。
    幸せになんてなれない。どうせ私なんて…。
    かなこに一番必要だったのは、過去の自分を許してあげられる自分になること。
    そんな気がしてならない。被害者にどんな過失があろうとも、そんなものは関係ない。
    誰が何と言おうと犯罪を実行した者が悪いにきまっている。
    俊介のように「場に流された」だけだとしても、人生の中でいずれそのツケを払わなければならない、払ってほしいと思う。
    傷を癒してくれるはずの家庭すら、かなこにとっては再生の場所にはならなかった。
    狭量な父親のせいで…。
    かなこが最後にした選択が正しかったのかどうかはわからない。
    でも、かなこは歩き出そうとしたのだ。
    俊介と離れて、ひとりになって、生きていこうと決めたのだ。
    お願いだからもう放っておいてやって。
    俊介にそう言いたくなるようなラストだった。

  • 幼児殺害事件が主題と思いきや、その隣家に住む男女の話が主題となり物語が進行して行く。
    自らが犯した過去の過ちに、ずっと苛まれ続ける尾崎俊介。
    渓谷のある街で、揺れ続ける被害者と加害者の関係性。
    人間の深層心理の「負」の側面を描く吉田修一の世界観がとても現れている作品だったと思います。

  • 積ん読チャレンジ(〜'17/06/11) 23/56
    ’16/11/17 了

    真木よう子主演で映画化され、映画を観る直前に購入した作品。
    映画も胸に傷を残す作品だったが、小説も一口で飲み込むことの出来ないような作品。

    都内からほど近い渓谷で起こった殺人事件。
    母親による息子殺し、という導入からどんなストーリーが紡がれていくのかと思ったら、いつの間にか視点はその家族と隣の部屋に住んでいた若い男女に向けられる。
    知らぬ間に過去にある事件を起こした男と、そんな男と同居している女性の過去と今を紐解き、繋いでいく物語へと変容を来していく。

    そのすり替えの巧みさと、胸に一物を残す独特の読後感。
    ページ数も少なく、読みやすい作品。

    ------------------
    気に入った表現、気になった単語


    「許して欲しいなら、死んでよ」


    「非難もできない、礼も言えない。
    たぶん、それが自分たちの関係なのだと、改めて思い知らされる。」(P217〜218)

    【狷介(けんかい)】
    [名・形動]頑固で自分の信じるところを固く守り、他人に心を開こうとしないこと。また、そのさま。片意地。「狷介な人」「狷介不羈(ふき)」

  • こういうこともありか、と。
    自分が幸せになると、相手を許してしまうことになる。だから、幸せにはならない。
    最初に出てきた子殺しの女はこの二人とは全くの無関係だったのが残念。
    かな子が被害者だということはだいぶ前から想像できたが、この子殺しの女も事件に関係あるのかと思っていたのに。

  • 引き込まれてすぐに読み終えた。2人の関係を最初に知るとありえないと思ったけど、読むうちにありえるだろうと思わされた。

  • 読み終わって、しんどかった。

    許されない、逃れられない過去。
    逃れられない者同士、幸せになることを恐れて。

  • とある渓谷のそばに 奥という団地があった。
    小さなこどもが渓谷で殺されていた。
    その犯人は 母親 立花里美かもしれない。
    その母親は派手で、めだつ化粧をしている。
    テレビに写るのに モザイクされていることが、気に食わない。
    その隣に住んでいる男女は 俊介とかなこと言う。
    俊介は、近所の工場に勤め、少年野球のコーチをしていた。

    俊介が里美とつきあっていたかもしれないと言う噂が出始める。
    俊介の過去のことが 明らかになる。
    俊介は、大学生の時に 野球部で集団レイプの主犯だった。
    それで、退学になったが、先輩の紹介で、きちんとした会社に就職し、
    通信大学を卒業していた。仕事を順調にこなし、婚約も決まっていたが、
    そのまま 失踪していたのである。
    ところが、かなこが 警察で、俊介は 里美とつきあっていたと証言するのだった。

    記者 渡辺は、それがニュースバリューがあると思い、
    俊介の大学や友人にあったって 真相を つかもうとする。
    実は、かなこが レイプにあった被害者であることを知る。
    かなこは、つねに レイプされたと言う噂がつきまとう。
    一度受け入れて、結婚したオトコも 結局 暴力を振るうのだった。
    かなこの前には 『強いオトコ』 が現れなかった。
    なぜ、俊介はかなこと 住んでいるのか?
    なぜ、かなこは俊介と 住んでいるのか?
    なぜ かなこは 俊介と里美がつきあっていたというのか?

    俊介は 法的な裁きは受けている。
    しかし、俊介の過去は 消すことはできない。
    被害者と加害者。贖罪と自虐。こころの傷は癒されない。
    そのことに 向き合いながら 生活している。
    『幸せにはしない』といいながら
    『しあわせになりそうだから』と さよならとさっていく かなこ。
    かなこを 受け入れてくれる ところはあるのか?

  • あらすじを読んで重そうな内容だと覚悟を決めて読み始めた。
    話の展開、登場人物の関係性などが思っていた通り重く、息苦しく感じた。

    かつて起きた集団強姦事件の被害者と加害者が現在一緒に暮らしている意味は何なのか。
    強姦の被害に遭った被害者がそのようなことをする理由は何なのか。
    それに対しての加害者の罪の意識はどうなのか。
    被害者はその後に出会う人たちがもっと違った価値観や考え方を持っている人々だったならこのような人生を選ばずにすんだのだろうなと思うとともに、たとえそのような人々と出会ったとしてもまた違った苦しみがあるのではないかとも考えた。
    結局被害に遭った時点で彼女の人生は狂わされてしまっているし、家を出て行くことが加害者への赦しということであっても、赦しというよりは清算せざるを得なかっただけのように感じた。

  • 実話を元にした赤子殺しから始まる団地の物語

  • 映画「悪人」が好きだと言ったらおすすめされた作品。情景描写が豊かで、真夏のうだるような暑さと、気付いたら理性では説明できないもので動かされていく様がとてもリアル。何が正義かとかは関係ない。人の心なんて理性では説明できない。「こういうことってあるだろうな」と思わされて、ぐいぐい引き込まれた。

  • おもしろいねぇ。読み終わったあと、二、三十分は引っ張られるぐらいの重さ。今、その状態。たぶんあと、十五分ぐらいは引っ張られる。

    この人の隙間をついてくる感じ、ほんまにすごいよね。

  • 猥雑な中にある、ごく一瞬光るもの。
    でもそれは、目を凝らした瞬間にはもう消えている。
    そうするほかなく、どうしようもなく、どうにもならないふたりの、頑なまでの生と性。
    泥沼を這いまわるように生きて、一瞬の何かに突き動かされて、積み上げたものをあっけなく手放すのも、泥沼にもどるのも。。。どちらも人生。
    モヤモヤしたし、ざわざわした。

  • 殺人の容疑者(後に逮捕)の隣家に住む男女が実は、過去の犯罪の加害者と被害者だった。容疑者の供述と内縁の妻の嘘を甘んじて受け入れる内縁の夫。加害者と被害者の間柄なのは読んでいくにつれて明らかになる。
    あっと驚くような展開は特にないがサクサク読めるボリュームで読みやすかった。

  • 加害者の苦しさと被害者の苦しさが交錯し合ってまさかこんな結論になっていたなんて。
    わかる気もするし、わからない気もする。
    尾崎にも、夏美にも、渡辺にも幸せになってほしい。

  • 重い…。
    過去に縛られ身動きが取れなくなっている感じ、
    一歩踏み出そうにもそのことが別の意味でのマイナスを呼び起こす。
    なんとも空しい。

    非常に読みやすく、情景が目に浮かぶ。
    こういうのを上手いというのだろうな。

  • これもまた、長崎出身の芥川賞作家、吉田修一の著作。芥川賞受賞の「パークライフ」は残念ながら貸出中ということで、タイトルに惹かれるこちらを選択。そして、その選択は間違っていなかった。
    「聖水」を読んだあとだからということもあろうが、非常に読みやすくぐいぐいと惹きつけられた。比喩表現もちょうど多い分量で、情景が脳内にありありと想像できた。大きな犯罪を背負った加害者と被害者の心情、悩みが重いテーマながら小気味良く読むことができた。
    ただ、ミステリーにしては割りと早い段階でオチが見えており、「おお!」というサプライズはなかった。記者渡辺の話も中途半端な後味で、小気味良く読めた割になんとなく物足りない感じ。

  • 後味が悪いというより出てくる男の心理が気持ち悪い。

  • 一つの過ちはその人の人生の歯車を大きく狂わせてしまう。
    背表紙に「極限の愛を問う渾身の長編」とある。

    究極ではなく、「極限」
    お互いギリギリのところで立っていられるようなそんな危うさ。

    ただ、もし夏美をそれごと受け入れてくれる人に巡り会っていたとしたらこんな極限を生きなくても良かったのに。夏美は世間によって間接的に再度レイプされているかのような地獄を味わっている。そこがもしかしたら犯した過ちの本質なのかもしれない。

    吉田修一の作品は読んだ後に救われなさ無力さをひしひしと感じてしまう。

    平成22年 新潮文庫

  • 子殺しの母親の話かと思いきや物語は隣の家に住む男女の事件の謎の解明へと転換していく。事件の加害者と被害者が一緒に暮らしているというのに違和感を感じた。被害者は最後家から出ていくがそれは加害者の男を許したことになるのだろうか。少し複雑で、登場人物の心情を理解するのに苦労するお話だった。

  • 即読み。しんみりした気持ちになる。

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さよなら渓谷 (新潮文庫)の作品紹介

緑豊かな桂川渓谷で起こった、幼児殺害事件。実母の立花里美が容疑者に浮かぶや、全国の好奇の視線が、人気ない市営住宅に注がれた。そんな中、現場取材を続ける週刊誌記者の渡辺は、里美の隣家に妻とふたりで暮らす尾崎俊介が、ある重大事件に関与した事実をつかむ。そして、悲劇は新たな闇へと開かれた。呪わしい過去が結んだ男女の罪と償いを通して、極限の愛を問う渾身の長編。
2013年に映画化!

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