錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101307022

感想・レビュー・書評

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  • 感動。
    本を読んでここまで心を揺り動かされたのは初めてかもしれない。

    父の本棚にずらりと並んでいた宮本輝の小説。それらがどの本よりも圧倒的な存在感を放っていたことから、興味を持ってその中の一冊を手にとったことがこの本とわたしの出会いです。
    結果的には、本当に本当に読んでよかった。
    もともと夫婦だった男女の往復書簡形式で綴られるこの本。
    最初は薄暗い印象でしたが、そこからの二人の再生の過程が美しい。
    最近、心が病んでいた分、二人の再生の物語に心の底から温まりました。
    自分もまた生きていこうと思えました。
    しんどい時は、またこの本を読むことになりそう。
    それくらいわたしの心に沁みました。
    他の宮本輝さんの小説も読んでみたい。

    • 茉央さん
      あかねさん、わざわざ感想伝えてくださりありがとうございます…!読んでいただけたみたいで、すごく嬉しいです(;ω;)
      ぜひ今度あかねさんのおす...
      あかねさん、わざわざ感想伝えてくださりありがとうございます…!読んでいただけたみたいで、すごく嬉しいです(;ω;)
      ぜひ今度あかねさんのおすすめの本も教えてください♩
      2023/06/06
    • あかねさん
      こちらこそ茉央さんのおかげで、すごく思い入れのある本になりました!
      ありがとうございます(*^^*)

      いま茉央さんが読まれている「風と共に...
      こちらこそ茉央さんのおかげで、すごく思い入れのある本になりました!
      ありがとうございます(*^^*)

      いま茉央さんが読まれている「風と共に去りぬ」、わたしも読んだばかりなんですけど、傑作だと思います!
      2023/06/07
    • 茉央さん
      「風と共に去りぬ」めちゃくちゃ面白いですよね!!!今実は5巻を読んでる途中なんです☺︎
      まだ読み終わってないのに、自分の人生の中でベスト3に...
      「風と共に去りぬ」めちゃくちゃ面白いですよね!!!今実は5巻を読んでる途中なんです☺︎
      まだ読み終わってないのに、自分の人生の中でベスト3に入るくらい好きなシリーズです!!
      2023/06/09
  • 書簡体の小説。

    物語の全てが手紙という形式なのにもかかわらず、小さな世界に纏まらず、たくさんの物語が詰め込まれていました。

    穏やかな上品な文章に引き込まれました。

  • 美しい。

    静かに
    決して穏やかではない内容の手紙のやり取りが
    静かに続いていく。

    暗い中に光はあった。
    しかしどうも好きになれない男たち。
    人の世 人の心は美しいものばかりではないと
    分かっている。
    でもここまで包み隠さず
    それも美しい日本語で書かれると
    感情の整理が追いつかなくなる。

    それでも最後まで引き込まれた。
    おもしろいおもしろくないじゃなく
    ぶっ飛んでる本の記憶に仲間入り。

  • 秋になって紅葉し始めたら読もうと思ってました。

    ある事件がきっかけで、よく話し合わないまま別れてしまった元夫婦が、偶然に再会したことで始まった手紙のやり取りだけの書簡体小説。

    過去に後悔の念を残した二人がお互いに手紙を書くことで、過去を振り返り、清算し、癒され、今を受け止め、未来に向かって歩いていくまでの手紙。

    最近の私とリンクするキーワード、業、宇宙のからくり。

    生々しい男女の業とでも言うようなことが、日常や情景を丁寧に描くとともに書かれていて、とてもリアルで胸に迫ってきて、一気にほとんど一日で読んでしまった。

    また秋になったら読みたくなるかもしれない。
    そして次に読む時は、また違ったことを感じそうな気がします。

  • 上手くいかなかった元夫婦が手紙のやり取りでお互いの心境を吐露し理解し合い、未来に向けて再スタートを切るに至った心情描写は深いなと感じた。

    時代的には普通なのかも知れないけど不貞があるのが前提な世界観は合わなかった。

  • 手紙のやりとりで構成されており、心の中で一途に愛し続ける女性の気持ちに胸がキュッと熱くなり、読み進むにつれ読者も終わりが近づいてきていることを感じ、切なく苦しく自分に重ね合わせ涙が出ました。終わりたくない、でも終わりが来ることは分かっていて始めたこと。その切なく苦しい思いが読んだ後も忘れられません。
    辻仁成さんのサヨナライツカがこれまで人生で一番好きな恋愛小説でしたが、そこに重なるような一途な思い、愛されるより愛したこと、愛することを選ぶ女性の想いに胸が締め付けられました。
    女性側の手紙の文体、文章がとても綺麗で日本語の美しさを感じ豊かな気持ちにさせてくれる本でもありました。
    胸を締め付ける本。一生の中で大切にしたい本になり、改めて新しい一冊を買い直しました。

  • 仕事帰り、飛び込んだ書店で手に取り、
    そのまま喫茶店に座り込んで、一気に読んでしまった…
    久々に、こんな小説の読み方をした。引き込まれた。
    たしかに、これ、名作です!

    やんごとなき事情から、離婚をしたふたりが、
    偶然に再会する…しかし、その後、会うこともなく、
    ただただ、長い手紙のやりとりが続く…
    少しずつ、過去がつまびらかにされてゆくのです。

    時間というのは、過ぎるものでなく、
    積もってゆくものなのでしょう…あたかも、錦に、
    美しい刺繍をほどこすように、重ねられ、
    彩られてゆくものでもあるのでしょう。

    この小説は、決してハッピーエンドではないけれど、
    過去を纏いながら、現在を生き、そして、未来へと
    つないでゆく・・・そのことこそ、
    人が生きるということであると感じ入りました。 

    登場人物は、それぞれに悩みも恨みも抱えながら、
    他者を許すのです…いっしょに暮らす女の一言…
    ―うち、あんたの奥さんやった人を好きや
    この場面、涙腺切られました…

  • 往復書簡という形式の小説。

    SNSやメールと違って、手紙はすぐに届かず、届いてもすぐに読む必要もすぐに返事を書く必要もない。だからこそ、自分の気持ちを整理すること、そして冷静に相手の言葉に耳を傾けることができる。そのようなことに改めて気づかせてくれた作品。
    あらすじの中の「男女」「愛」というワードから勝手に想像していた話とは全く違っていた。もっと苦くて痛くて辛い物語だった。
    2人のその後は想像することしかできない。しかし、根拠はないが2人ともそれぞれなんとかやっているのだろうと信じることができる、そのような物語の終わり方だった。
    各手紙の最後に日付が入っていて、2人がどのようなタイミング・ペースで手紙を書いていたかがわかる。私がそのことに気づいたのは最後の手紙を読んだ時だったので、再読する際には日付に気をつけて読もうと思う。

    【再読後の感想】
    日常の何気ない会話や見た景色など、私たちは様々なことに影響を受けて、考えたり行動したりしているのだなと思った。作中で言われている通り、過去と今は繋がっている。
    往復書簡という形式の小説だったから、2人の心のうちを交互に覗くことができた。とはいえ、手紙は人に読んでもらうのを前提に書かれたものだから、きっと完全に素直に書いたわけではないのだろう。そう思うと、この小説がより一層奥行きのある作品であると感じられた。

  • 宮本輝作品にはまり込み、もう一度読んでみたくなって再読。この本との出会いから読書にはまった。
    オススメの本は?と聞かれると今後1番にこの作品を紹介するだろう。

    偶然の再会から始まった2人による、書簡でのやりとりで構成された書簡体小説であるが、ひとつひとつの手紙は丁寧に書かれ、それはまるで一つの小説かのように感じる。
    手紙の最後は切なさで胸がいっぱいになるが、それでいてどこか勇気をもらえる。

    宮本輝氏の文章は、映像として頭の中で流れてくる。本作品を多くの人に読んでもらいたいと思うと同時に、自分と同様彼の作品にはまり込む人が出てきて欲しい。

  • 書簡体小説が個人的に好み。文章が美しく良い。また再読したい一冊。

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著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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