- Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101307022
感想・レビュー・書評
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宮本輝さんの文章のきれいさ。もっと読みたい。先に進みたいという読者欲を持ちながら、読み進めた。手紙だけのやり取りはまるで、東野圭吾の『手紙』を思い出したが、愛し合っていたが故に、離婚せざるを得なかった2人がどこまでも切なく、でも前に進もうとする希望を感じることができた。亜紀の周りにいる父や喫茶店〈モーツァルト〉のご夫婦、有馬の一緒に住んでいる令子。昭和を感じながら、秋という季節に読めた嬉しさ。色んなことが重なって、とても楽しい読書となった。2023.10.18
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手紙のやりとりの中で繰り返されるフレーズが読後も心に残っています。
人生の節目のたびに読み返したいと思える一冊でした。 -
はじめの1ページ目から、あまりの日本語の美しさに泣きそうになった。何度開いてみても、1ページ目に感動してしまう。いつか冬の蔵王に行ってみたい。
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離婚し別の道を歩んでいた夫婦が10年ぶりに偶然再会し、その後の手紙の往来により物語が進む。二人を引き裂いた事件の裏側、その後の人生、今、そして未来に向かう男女の心情が文学的で美しい。
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手紙のやり取りが紡ぐ恋愛小説。
終わった恋から始まるので、キュンとはしません。ただ、確かに存在した愛情と相手を思いやる2人の様子に、心あたたまるお話です。
2人を隔ててしまったわだかまりや、今抱える絶望がゆっくり溶けてゆくのも読みどころ。
希望の物語だと思いました。 -
1日で一冊読み終えたのは久しぶり。
流転の海シリーズは大学生の頃ハマったけどそれ以外の宮本輝は初めてだった。
最近の本屋大賞のような不幸の安売りとは違う人間臭いけど真に迫るストーリーがたまらない。 -
美しく静か。冬の夜に読みたい本。
言葉が美しく、心が静寂に包まれる。
文学とはこのことか!と打たれた。 -
書き出しが美しい。これは何回でも読み返したくなる。
解説にもあった通り、過去を振り返る前半と現在未来を語る後半とのコントラストがよかった。 -
書簡体小説。意外に読みやすく読後感も素晴らしくよかった。過去の話を重ねる男女が、いつのまにか未来に目を向けはじめる、その流れが素晴らしかった。時代錯誤とも言える差別的表現は多々認められるが、書簡体形式で1人の人に語らせることにより、そのような人物像と素直に受け止められる。登場人物の生々しさ。なんとも人間らしい。 この小説に興味をもったのは、私自身パニック障害に悩まされていて、宮本輝さんはパニック障害をきっかけに小説家になったという情報を得て、興味をもった。詳しい方にどれを読んだら?と尋ね、この小説を読んだ