遺体: 震災、津波の果てに (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (319ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101325347

感想・レビュー・書評

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  • 面白いかと問われれば決して楽しいお話しでない。
    しかし日本人として、現体験として東日本大震災を体験した自分としては読んでよかったと思う。

    感じたのは日本人の無私の心意気です。関東圏に住みある部分では正直他人事な部分もあるなかでこうゆうレポートを読むと日本人であることに誇りのようなものを感じます。多分に自分勝手ではありますが。

    あのような極限状態のなかでも人のため、社会のため、人の死に真摯に向き合うその個々の人々の自発的行動に誇りを感じます。

    ふりかえって自分に出来たことがあったのかもとも思います。強い人間になりたい。日本人の誇りを行動で伝えていきたいと、大袈裟いにいえば思いました。

    そして今生きている自分の尊さを再認識しました。

  • 東日本大震災でたくさんの方が津波被害で亡くなられたが、どのように発見され、身元特定され、火葬まで至ったのか。未曾有の災害で町のあちこちに遺体が散見し、市井の一般人が「遺体が至る所に転がっている」光景を目にするのは先の大戦以降なかったという。

    遺体安置所のキャパの問題、遺族の心のケア、混乱の中で誰が取り仕切るのか、弔いとは、身元不明の遺体は… 震災からある程度時間が経たないと語ることができなかったであろう内容。

  • 東日本大震災の遺体安置所に関わる人たちの話。もし自分の家族や恋人が遺体安置所に寝かせられていたらと考えると、やはり火葬にしたい、早く埋葬してあげたいという気持ちもよくわかった。ただ、いつまでも置いておくと病気が蔓延してしまう恐れがあるという自治体の土葬の言い分もわかったので、火葬場が間に合って全員を火葬することができてよかった。

  • 東日本大震災でノンフィクション。遺体安置所の体育館での話。実際にそこでしか聞けない体験出来ないことが詳細に書かれている。もし自分がそこにいたらそんなに強くできるだろうか。

  • 初めて読んだときは、体が震えた。
    読まなきゃ、知らなきゃいけないこと。

  • 単行本以来の、再読。
    やはり生々しい。石井さんの著作のなかでも、本気の一冊だと思う。被災地をこんなにも近くで見て、書いたものは、ほとんどないのでは。
    この本の執筆は、祈りというべき作業であった、と著者はいう。わたしはこんな石井さんの本気さが大好きです。

  • 死者数を数字として並べてみてもそれは実態を伴わない。
    ひとつひとつの遺体を目の前にしなければわからない真実というものがあるのだと思う。

    遺体と向き合うことは人生と向き合うこと。

    世界は不条理。

  • 所々で涙が止まらず。亡くなった人々を数字で置き換えるだけでは、想像力が止まってしまう。それぞれにそれぞれの人生があったわけで。この本の中に出てくる人々はほんの一握り。それを知るだけでも意味のある行為だと思う。震災を心の片隅にとどめておくためにも是非一読を。

  • 東日本大震災では多くの死者が出て、心を痛めた。ご遺族、そして被災された方には、心からお見舞い申し上げます。

    以下、自分の語彙が少ないため、不適切な言い回しがあるかもしれないこと、予めご容赦を。

    人が亡くなれば、お葬式をする。それができない状況ででの対応が、いかに厳しいことだったかが、よくわかった。

    数値として出ている被害の規模は表面的なことだと、本作品を読んで改めて感じた。

  • 2011年3月11日14時46分
    この日まで、日常が、当たり前に続くと思っていた。
    大きな地震が来て、津波をもたらし、多くの犠牲者を生んだ。

    その二日後に筆者が釜石市に向かい、地元の人たちの遺体回収現場に立ち会い、話を聞いて記した本書。
    映画化にもなったようですが、観に行かなかった。

    民生委員、歯科医、内科医、市の職員、自衛隊員、海上保安庁、葬儀会社。
    それぞれ被災地の人たちが、自分の町の現状を見つめながら遺体と向き合った三か月の記録。

    単行本として刊行されたものが、東日本大震災三年目で文庫化されました。

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著者プロフィール

1977(昭和52)年、東京生れ。国内外の文化、歴史、医療などをテーマに取材、執筆活動を行っている。ノンフィクション作品に『物乞う仏陀』『神の棄てた裸体』『絶対貧困』『遺体』『浮浪児1945-』『「鬼畜」の家』『43回の殺意』『本当の貧困の話をしよう』『こどもホスピスの奇跡』など多数。また、小説や児童書も手掛けている。

「2022年 『ルポ 自助2020-』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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