- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101329222
感想・レビュー・書評
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著作名(旧名含む)でずいぶんと損をしている印象。
内容は脳科学観点から見た「勉強」というモノの捉え方を解説したモノ。
脳の成り立ち、細胞レベルや進化過程で獲得した性質や機能、それを踏まえた脳の効率的な使い方、そして科学的に「勉強」する意味についてアプローチしている良著。
子どもはもちろん、大人にも意味のある作品でした。
やはり池谷さんの脳科学に関する著作は面白い!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
一流の脳科学者の池谷先生による本。受験生のときに読んでおきたかったな。
*出力を繰り返すことによって脳は記憶していく。脳は入力作業・出力作業どちらもできるが、圧倒的に出力が得意なのが脳なのである
*人は、目よりも耳で言ったことのほうが記憶に残る。何かを覚えるときは、五感を駆使して全てで覚えようとすることが大事
*小学生時代は、知識記憶が優勢。それに比べて、中学生ぐらいになると、経験記憶で覚えていくことが得意になる
*ひらめきは、パターンの記憶ー方法記憶が豊富にあるからこそできる。棋士は、自分が対局したある場面を簡単に再現することができる。それは、棋士の頭の中には膨大な棋譜ー対局経験があるからである。その中のどれかを取り出すという形で、棋譜が再現できる。そうなると、素人がテキトウに並べたような棋譜は、記憶できない
*天才は、方法記憶を駆使して物事にあたっている。例えば、池谷先生は九九を覚えていないが、九九を計算するための方法だけは覚えている。そのような原則・適用範囲が広い論理を見つけ出すことで、少ない負荷で高い生産性をあげている
*空腹時の方が脳は記憶しやすい。ご飯前は勉強タイムだ。
*物事の理屈はきちんと覚えるほうが、記憶しやすい
*毎日同じ時間に起きよう -
「海馬」は記憶を司る部位。だが、脳は蓄えるよりも忘れていくほうが多いのだ。試験前に徹夜で詰め込んだ記憶は、呆気なく消えていく。しかし、興味があるものはすぐに覚えられるし、バイオリズムのタイミングをつかめば、記憶効率は上がる。-海馬、扁桃体、LTP等々、脳の働きを正しく理解して、恐れず受験に挑む!気鋭の脳研究者が考える学習法。覚えるよりも忘れないことが大切だと教えてくれる。
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普通の勉強の仕方のハウツー本。
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『高校生の勉強法』加筆改訂版である。
<blockquote> 「記憶とは、神経回路のダイナミクスをアルゴリズムとして、シナプスの重みの空観に、外界の時空間情報を写し取ることによって内部表現が獲得されることである」
</blockquote>
と初っ端に出てくるが、原初の記憶とは何のためにあったのか。それは生命保持のためであった。
記憶を司っているのは脳内の海馬である。この部位は本来生存に必要な情報のみをフィルタリングして大脳皮質に蓄え、必要に応じてその記憶を引き出すという役割を担っている。
生存環境は常に変化している。見聞きした事柄全てを正確無比に記憶しておく必要はない。重要なのは「似たような」事態に直面したときにどう反応すればよいかという応用力である。
だから脳は「捨てる」ことを優先する。入力された情報を次々に捨てながら、繰り返し入ってくる情報に対しては、これは重要らしいと見なし、別して長期保存庫の大脳皮質に蓄える。
つまり、海馬を如何に活性化させるかが記憶力を高めるキーとなる。[more]
一時期蓄えられた情報は一ヶ月間ほどかけて吟味されながら整理整頓されてゆく。その過程では、入力だけでなく、どれほど出力されたかも重要な判定基準となる。
生存に於ける重要情報は一般に、感情を含む五感と共に蓄積される。「何でも良いから最も記憶に残っているものを挙げよ」と問われ、数学の公式や化学式を思い出す人はいない。大抵旅行などの個人的な体験記憶を挙げる。「体験」による記憶は五感全てを通じての記憶であるが故に、強い記憶となっているからだ。
だから何かを覚えようとするとき、五感を動員して想像をフルに働かせるのが効果的。
神経シナプスの伝達経路は「0/1」のデジタルではなく、アナログ伝達、即ち「重み付け」を行っている。そこに曖昧さが発生するので、脳にとっては記憶の中から正解を導くための試行錯誤が必要になる。
その試行錯誤にとって最も重要なのは「知識記憶」よりも「方法記憶」
方法記憶とは、赤ちゃんがコップの握り方や歩き方を覚えるような、ある意味最も原始的な段階の「手続きの記憶」。進化に従い次に「知識記憶」のステージに入る。これはいわば「丸暗記」の力の時代で、およそ中学生時代半ばまで継続する。その後は「関係性」を重視する「経験記憶」へとヒトは進化する。歳をとるに従って「あの頃のように覚えられない」と嘆くようになるが、この過程を理解していれば当然の現象なのである。
学習の過程で、一つの分野に精通すると他の分野での理解が容易になるという現象が起きる。これを「学習の転移」と呼ばれるもの。この「転移」が生じると、新たな分野の理解が早まるにとどまらず、その基礎となった元の学習の理解が深まり、更にはそれらの相互関係性の理解までもが深まるという「べき乗」効果が出現する。勉学を続けていくとある日突然ぱっと視野が開けるような感覚に陥るのは、この「べき乗効果」によるもの。
この「べき乗効果」は、単なる知識(物覚え)の集積によるものではなく、実はそれまでに習得した「理解の手順」=「方法記憶」の積み重ねに拠るものである。
方法記憶は天才的な能力を作り上げる魔法の記憶と言って良い。ものごとの見通しを良くして、総合的な理解力、判断力、応用力を高め、センスや直感の土台にもなるのである。
目次
第1章 記憶の正体を見る
1-1 能力はテストでしか判定できないのか
1-2 神経細胞が作り出す脳
1-3 覚えるvs忘れる
1-4 海馬について知ろう
1-5 がんばれ海馬
第2章 脳のうまいダマし方
2-1 誰だって忘れる
2-2 よい勉強? 悪い勉強?
2-3 繰り返しの効果
2-4 がむしゃらだけでは報われない
2-5 脳は出力を重要視する
第3章 海馬とLTP
3-1 記憶の鍵をにぎるLTP
3-2 童心こそ成績向上の栄養素
3-3 思い出という記憶の正体
3-4 感動的学習法
3-5 ライオン法
第4章 睡眠の不思議
4-1 眠ることも勉強のうち
4-2 夢は学力を養う
4-3 睡眠と記憶の不思議な関係
4-4 勉強は毎日コツコツと
4-5 寝る前は記憶のゴールデンアワー
4-6 一日の効果的な使い方案
第5章 ファジーな脳
5-1 記憶の本質
5-2 失敗にめげない前向きな姿勢が大切
5-3 コンピュータと脳の違いとは
5-4 自分の学力を客観的に評価しよう
5-5 記憶はもともと曖昧なもの
5-6 失敗したら後悔ではなく反省をしよう
5-7 長期的な計画をもって勉強しよう
5-8 まずは得意科目を伸ばそう
第6章 天才を作る記憶のしくみ
6-1 記憶の方法を変えよう
6-2 想像することが大切
6-3 覚えたことは人に説明してみよう
6-4 声に出して覚えよう
6-5 記憶の種類と年齢の関係を理解しよう
6-6 勉強方法を変えなければいけない時期がある
6-7 方法記憶という魔法の力
6-8 ふくらみのある記憶方法
6-9 なぜ努力の継続が必要なのか -
最近読んだ勉強本のなかでベスト。
おぉっという目新しい内容はないものの、脳科学の裏付けがあるというだけで納得感が増す。
・赤色は、目に入った相手の戦意を下げる
・カゼ薬、下痢止め、酔い止めには、頭の動きを悪くする成分があるものがある。
[more]
(目次)
はじめに
第1章 記憶の正体を見る
1-1 能力はテストでしか判定できないのか
1-2 神経細胞が作り出す脳
1-3 覚えるvs忘れる
1-4 海馬について知ろう
1-5 がんばれ海馬
第2章 脳のうまいダマし方
2-1 誰だって忘れる
2-2 よい勉強? 悪い勉強?
2-3 繰り返しの効果
2-4 がむしゃらだけでは報われない
2-5 脳は出力を重要視する
第3章 海馬とLTP
3-1 記憶の鍵をにぎるLTP
3-2 童心こそ成績向上の栄養素
3-3 思い出という記憶の正体
3-4 感動的学習法
3-5 ライオン法
第4章 睡眠の不思議
4-1 眠ることも勉強のうち
4-2 夢は学力を養う
4-3 睡眠と記憶の不思議な関係
4-4 勉強は毎日コツコツと
4-5 寝る前は記憶のゴールデンアワー
4-6 一日の効果的な使い方案
第5章 ファジーな脳
5-1 記憶の本質
5-2 失敗にめげない前向きな姿勢が大切
5-3 コンピュータと脳の違いとは
5-4 自分の学力を客観的に評価しよう
5-5 記憶はもともと曖昧なもの
5-6 失敗したら後悔ではなく反省をしよう
5-7 長期的な計画をもって勉強しよう
5-8 まずは得意科目を伸ばそう
第6章 天才を作る記憶のしくみ
6-1 記憶の方法を変えよう
6-2 想像することが大切
6-3 覚えたことは人に説明してみよう
6-4 声に出して覚えよう
6-5 記憶の種類と年齢の関係を理解しよう
6-6 勉強方法を変えなければいけない時期がある
6-7 方法記憶という魔法の力
6-8 ふくらみのある記憶方法
6-9 なぜ努力の継続が必要なのか
おわりに
脳心理学コラム
1 色彩心理学 その1
2 色彩心理学 その2
3 チャンク化
4 モーツァルト効果
5 アセチルコリン
6 情動喚起
7 レム睡眠
8 リフレッシュと集中力
9 バイオリズム
10 外発的動機
11 特恵効果
12 作業興奮
13 ブドウ糖
14 初頭努力・終末努力
15 BGM
16 恋する脳
17 ホムンクルス
体験談
1 高一で履修した科目で受験するのは不利?
2 究極の英単語暗記法
3 自分は何のために勉強しているのだろう
4 暗記の天才の秘密
5 受験恐怖症
6 合否はバイオリズムが決めている?
7 「おもしろい!」と思える瞬間
8 参考書のレベル
9 アメとガムで敵に勝つ
10 教科別の仕上げ順
11 大人はほとんど学校で習ったことを忘れている
12 参考書選びのポイント
13 秘伝の読書法
14 英単語を語源で覚える
15 よい先生がいる予備校には行ってはならない!?
16 テストが大好き?
17 現役は受験直前に伸びる
参考文献一覧
索引 -
積読から。
元々は高校生向けだったらしいけど、大人にも分かりやすくてすごく興味深い。勉強法変えてみよう。 -
脳科学の池谷教授の勉強方法の一冊。
タイトルは受験脳とありますが、受験生じゃなくても、学生じゃなくても、何か学習したいことがあること、成長したい人にとって役立つ内容が満載。
特に、方法記憶は魔法の記憶というのが面白かったです。
将棋の棋士が棋譜を完全に再現できるのも、方法記憶を活用しているからというのも驚き。
対局中に出現した盤面のパターン化して、方法記憶を駆使して無意識に寄付を分類・解析することで記憶している。
方法記憶を駆使すると記憶がふくらむというのがとても面白かったので、もう少し詳しく引用要約。
〜〜〜
例えばAという知識を新しく覚えるときには、Aという知識の「理解の仕方」も脳に保存される。新しくBを覚えるときには、学習の転移で「Aの理解の仕方」を使ってよりBがより簡単に理解できる。そして、Bを理解すると、B自体の知識と Bの「理解の仕方」(方法記憶)も自動保存される。
新しい物事を覚えていくと、その効果は「べき乗の効果」がある。
〜〜〜
この本を読んで、
[どんどん新しい知識をこれからも学んでいこう、覚えるときには、理解しながら進めていこう]と決意を新たにしました。
理論の裏付けがしっかりあって内容もわかりやすいので、あーすべき、こーすべき、というテクニック本とは違い、読む人一人一人にあった気づきが得られる一冊です。 -
2018年7月31日購入。
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高校生の時に出会っていれば人生が変わっていただろうと思わずにはいられない。
(20180728)