かたみ歌 (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (302ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101337715

感想・レビュー・書評

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  • 最初は悲しいだろうが、やはり去る者は日々に疎し。人間は、忘れてしまう生き物だ。喜びも悲しみも、月日が経てば過去のものになる。心の整理がついたら、また歩き出せばいい。

    世の中には、寂しい思いをしているものが、たくさんいる。

    「面白いものですね、世の中と言うものは。日々誰かが去り、日々誰かがやってくる。時代も変わり、流行る歌も変わる。けれど人が感じる幸せは、昔も今も同じようなものばかりですよ」

  • ホラーものは苦手ですが、これは大丈夫でした。「栞の恋」と「ひかり猫」が良かったです。「夏の落とし文」は、例え小説とは言え、子供が大人に傷付けられるのはやりきれないです。

  • ファンタジックのようでいて、よく考えるとかなり不条理な「死」の物語。
    「死」の不条理さがあるから、絶対的にちっぽけな者たちがの「生」が、愛おしく思えるのか。
    個人的には、猫の話が好き。

  • どうしてこの人の話のオチはこんなにも心地良いのだろう。此処しかないという着地点にピタッと落ち着き、同時に胸をカッと熱くさせる。僕はこの人の作品は本作入れて高々2作しか読んでいないのだが心の琴線は震えっぱなしだ。胸に染みっぱなしだ。昭和の哀愁、アカシア商店街、覚智寺、50度の眉毛の古本屋主人。これらがキーワードになった今回の作品も僕の心をノスタルジックな世界に運んでくれた。現世と黄泉の不思議で切なくて哀しい話も人間の想いや愛で浄化させてくれる。2015〆に相応しい作品であった。

  • 海外特に西洋の怖い話って、とことん怖かったり悲しかったりやりすぎてたりするんだけど、日本の妖怪話ってどっかに油断があるというか弛緩する部分があって、それが妙味になってたりする。

    その妙味を醸し出すのがノスタルジックな雰囲気。市井人情江戸もんでも大正ロマンでもエエんだけど、戦後からバブルくらいまでの昭和テイストってのは、俺らの郷愁をかきたててタマらない気分にさせる。あの頃はまだドブも汚くて、街灯も薄暗くて、夜は怖いもんだった。何かがいそうな気がした。

    朱川作品はその妙味をしっかり含有しているのは読んだ人には分かってもらえると思う。本書もまさにそれ。アカシア商店街に「アカシアの雨が止むとき」が鳴ってるんやで。ノッケから「さぁ郷愁とちょびっとの怖さ味わってやぁ」って感満載。そして最後まで期待を裏切らず、飽きるまで味わってくれとばかりに、商店街とそこにある古本屋と神社を中心にした短編全てに妙味が詰まっている。

    ラスト収束の仕方に少々あざとさを感じたものの、これは個人の感じ方の範囲かなぁと思う。上手いよなぁ朱川湊

  • いっぺんさんという短編を読んで作者に興味を持つ。

    この人、オチがいいなぁ。。

    毎回主人公は違うけれど、
    登場人物は年代は違えど被ってくる。というか、毎回登場する人物こそ真の主人公だと最後に気づいた。

    作中で紹介される音楽が昭和で馴染みが無いけれど
    聴いてみたくなる。

    作中の少女が憧れているサリーなる人物がどんなにイケメンなのかと検索したら
    岸部 一徳さん という事実が一番衝撃的だったけども。

    女性目線、男性目線の時もどちらもすんなり感情移入できるのが凄い。

  • なぜか不思議なことが起こる街の商店街を舞台にしたオムニバス作品集。
    どれも不思議なんだけど、哀しく切なく、どこか優しい素敵な作品でした。
    必ず出てくるのが古書店の店主さんというのが、また直前に読んだ作品とリンクしててなんとも…
    芥川龍之介似の店主さん、とても素敵です。過去が明らかになっても、素敵です。

    紫陽花のころ…近所のラーメン店で起きた悲しい事件とその被害者、そして主人公夫婦の秘密。靴を隠す場面で「?」となりましたが、最後は納得。ただただ切ない…

    夏の落とし文…ちょっと怪談風。哀しすぎます。いつかまた、出会えますように。

    栞の恋…どこかで見た…と思ったら、世にも不思議な物語で映像化された作品。当時から大好きでしたが、原作もとにかく良かった。栞で交わす心。救われる人。とっても好きです。これが入っているだけで、☆4

    おんなごころ…哀しいけど、それより悔しい。幼い子どもは本当に純真で、一途で、可哀想…

    ひかり猫…可愛くて切ないです。誰もが愛されたいし、寂しさを抱えているというのは…真理すぎて切ない。

    朱鷺色の兆…誰かが命を落とす印が見えてしまうということ。淡いピンク色というのが、逆にとても切ない。かなり好きな作品です。

    枯葉の天使…まとめとして素敵。やっと店主さんのお話。読後感がとっても優しくなりました。

  • 平成生まれなのになぜか懐かしい
    アカシア商店街を中心にした様々な
    不思議なお話が集結してます

    特に本屋の店主はいろんな方向から
    ほとんどの話に関わってきます。(笑)

    今ではあまり
    ”ご近所さん”との関わりは
    薄いですが、昔ならではの
    人間関係や、発想があって
    でも、どの時代になっても
    変わらない物もある。

    こーゆー世界観好きよ。

  • 楽しくするっと読めた。
    生活感がとてもすき

  • 微妙かな

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著者プロフィール

朱川湊人
昭和38年1月7日生まれ。出版社勤務をへて著述業。平成14年「フクロウ男」でオール読物推理小説新人賞。15年「白い部屋で月の歌を」で日本ホラー小説大賞短編賞。17年大阪の少年を主人公にした短編集「花まんま」で直木賞を受賞。大阪出身。慶大卒。作品はほかに「都市伝説セピア」「さよならの空」「いっぺんさん」など多数。

「2021年 『時間色のリリィ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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