本格小説(下) (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 75
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  • Amazon.co.jp ・本 (540ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101338149

感想・レビュー・書評

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  • しっかりどっしりとした小説で、その重厚な世界観に引き込まれる。
    もっともっと色んな人の語りを聞きたかった。

    写真が挟まれているせいか映像をとても想像しやすいけれど、物語が軽くなってしまうのは怖いから小説のままでいてほしいような気もする。

  • 下巻に入るともう一気読み。そして読み終わるのがもったいなくて、いつまでもいつまでも読んでいたいと思うような。単なる恋愛ものではなく、もうこれは戦後日本のすべてというものがつまっているような感じがした。それとさまざまな人たちのさまざまな人生。人生とは、と考えさせられるような。ものすごく読みごたえがあって。まさに本格小説。すごく客観的に人やものごとをながめられる女中フミさんの語りで、人ひとりひとりの人生全体をながめられるような感じ。フミさんの、人生なんてそんなもの、っていう感じ方に共感するような。人生は、はかない。「本格小説が始まる前の長い長い話」からずっと、著者が、将来がひらけているかどうか、未来があるかどうか、とか、そして結局どんな人生だったか、なにを得られたのか、みたいなことをずっと考えている感じが好きだった。なんだかすばらしすぎて感想がうまく書けない……。

  • 数年前の夏、仕事で軽井沢に住んでた時に、運命的に出会った一冊。
    この本をあの環境で読めたことは、いま考えても本当に幸せなできごとでした。

    大げさだ昼メロだ、という人もいるかもしれないけれど、わたしは何度読んでも感情を揺さぶられてしかたない。
    物語のとてつもない力を感じさせる、まさに自分好みの作品です。

    土屋富美子の人生って何だったんだろう?生きる意味なんてものを、危うく考えてしまいそうになる。
    ラスト近くで太郎が言う、日本人は「浅薄と言うよりむしろ希薄」という言葉には、束芋の作品(特に団地をモチーフにしたもの)を連想しました。

  • 深い作品。簡単に恋愛物っていっていいものか。
    昭和の、重厚な雰囲気がと取り巻いている。

    個人的には、
    よう子ちゃんと太郎ちゃんの最後の会話に泣いた。

    結局恋愛なんて当事者にしか分かんないものだ。

  • とりあえず「嵐が丘」を読み直そう!

  • 20091208
    2日間

  • 今まで読んだ本の中で、一番好きな本。

  • 水村さんの仕事を一つずつ丁寧に検証していきたいと思わせてくれた一冊です。彼女を称して、「寡作な小説家」と言う人がありますが、これは現代において最高の敬称だと思います。彼女の作品を眺めると、単に物語るだけでなく、小説の可能性を常に模索し続けている姿勢が伺えます。そこに学問的な姿勢を感じてしまうのは私だけでしょうか。

  • 読了

  • 推理小説慣れしてしまったわたしの頭には
    かなり刺激の少ない本だった。
    ただ刺激が少ないからといって
    面白くないというわけではない。

    軽井沢の自然や東京の昔の町並みのなかで
    話は展開する。

    祐介の友達が嫂やその妹のことで
    カルい会話をするところなんかは現実に引き戻される。

    東太郎の人生が語られ始めるとあっという間に読める。
    冨美子がずっとメインで語っていたのに、
    最後に冬絵の登場で冨美子が語る立場から
    小説の登場人物へと代わる。
    ここで冨美子の悲しさ、
    現実がどっとあふれ出てくる。

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著者プロフィール

水村美苗(みずむら・みなえ)
東京生まれ。12歳で渡米。イェール大学卒、仏文専攻。同大学院修了後、帰国。のち、プリンストン大学などで日本近代文学を教える。1990年『續明暗』を刊行し芸術選奨新人賞、95年に『私小説from left to right』で野間文芸新人賞、2002年『本格小説』で読売文学賞、08年『日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で』で小林秀雄賞、12年『母の遺産―新聞小説』で大佛次郎賞を受賞。

「2022年 『日本語で書くということ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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