ぼくの小鳥ちゃん

著者 :
  • 新潮社
3.60
  • (447)
  • (474)
  • (1117)
  • (65)
  • (15)
本棚登録 : 4970
感想 : 541
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (136ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101339184

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 2021/1/21 再読
    スマホで再読登録がうまく出来なかったので付け足し。
    冬になったから読み直した。
    外は雪が降っていて、水も凍るくらいだから絶対に今住んでる所よりも寒いはずなのにやっぱり不思議とあったかい。
    再読して角田光代さんのあとがきがより沁みる。
    たしかに彼女からしたら小鳥ちゃんは自由すぎて敵わない。


    2020/10/21
    冬になったらまた読みたい。
    不思議だけどあったかい感じがなんか癖になる。

  • 解説で「誰に感情移入するか」というような質問があったけど、全体を俯瞰してる感覚だったな。小鳥ちゃんとぼくの関係性は確かに怪しくみえるけど、そこに嫌悪感も無かったし。図々しくて面倒くさい子って思ったけど、素敵な感性の持ち主。これが猫なら当たり前すぎるのかも。てきぱき動くしっかり者の彼女も好ましかった。ラム酒のかかったアイスクリーム、ってとても美味しそう。小鳥ちゃんが雪につける足跡を振り返るイラストが好き。バスケットの中で眠る絵も良かった。

  • 久しぶりに。

  •  --彼女とぼくは、知りあってもうじき一年になる。彼女は、花で言うと黄色いカーネーションのように清潔で、数字で言うと2のような気がきいている。--(P22L8)

    【感想】
    優しいテイストを保った物語。語り手についての描写が極端に少なく、性別すら(読み逃していなければ)明らかではない。ただ何でもできる彼女がいて、小鳥が家にやって来るのは(前の時はスズメだったが)2度目であり、「彼女」は語り手のことをほとんど知っているというくらい。だからか、「あなたの生活にもこんな風に(象徴としての)小鳥を取り入れてみたら?」という提案にも読めた。
    問題は「語り手」「小鳥(現在)」「小鳥(過去)」「彼女」との関係性だ。この構造を理解せねば、物語の本質を掴んだとはとても言えない。
    喧嘩をしたかに見えた語り手と彼女は、結末のシーンで仲直りをしている。そして語り手はことりちゃんの真似をした。ここから何かが見えて来るのではないかと考える。また象徴的なシーンとしては、小鳥ちゃんが語り手の住む部屋の上に住む老人のもとを訪れていたことだ。語り手はそのことを「裏切り」であると感じる。そしてここでも語り手と小鳥ちゃんによる喧嘩のようなものが浮かび上がって来るが、2人は直ぐに仲直りをした。
    つまり、「語り手→小鳥ちゃん」の関係と「彼女→語り手」という「飼い主→居候(ないしはペット)」という構造ができているのではないか。
    しかしそう考えた時、過去語り手の家にいたという小鳥がどのような役割を演ずることになるのかがまだ分からない。
    「解説」で角田光代は小鳥ちゃんに対して「その、さびしさと心許なさと、同時にあじわう自由さと開放感を知っている気がしてしまうのだ」と共感を示している。その直前で彼女は小鳥ちゃんの存在を、「ぼく」の「彼女」の立場から否定しているが、数年で読み方が変わったそうだ。彼女も言っているように「ぼく」と小鳥ちゃんの関係は決して恋人関係ではなく、「恋に似た」という表現をするしかない。私見としては恋よりかは「飼う/飼われる」関係にも近いような気がする。何故「小鳥」という「人間ではない」何者かを登場させて、「彼女」と対比しているのか。そのように考えた時、且つ「ぼく」の無個性さを見るとき、「ぼく」の人としての受け身的な態度を「彼女」が小鳥を飼っているようなものと示したのではないか。
    読後直ぐはそのように考えていたものの、正直穿った見方をし過ぎているような気もしている。

  • 寒い朝に突然の出会い。
    素敵な お話

  • 何度目かの再読。

    この小説、しばらくするとまた必ず読みたくなるのです。
    1、2年ほど前にも読んだけれど、そのときとはまた違ったかおをみせる。

    学生時代に読んだときには、小鳥ちゃんにムカついた。
    気を引くようなマネして。嫉妬なんかして!

    でも、解説にて角田光代さんがおっしゃっていたことが、いまはとても、とてもわかるのだ、、
    これは恋の話ではない。
    私たちの世界では、恋、という言葉しか、最も近しいものがないから、どうしようもなく、恋のような、と言うしかない。
    そして、小鳥ちゃんの存在に感じる、さみしさ。
    自分の足で、自分の好きなように、どこでも好きなところへ行けるのは、たったひとり、小鳥ちゃんだけなのである。
    最高に自由であるとともに、いちばんの孤独。

    これは、今回読むことで、初めて感じたものだった。

    次は、いつになるかな。
    ぼくの小鳥ちゃんの、ちがった一面がまた、
    見つかるに違いない。

  • 小鳥ちゃん、憎たらしいけど、憎めない。小悪魔め!

  • ぼく。
    小鳥ちゃん。
    彼女。

    だれの立場で読みましたか?という角田光代さんの解説にうーん、考えさせられた。基本的にぼくの立場で読み進めていたけれど、彼女の立場になったらまた違う本として楽しめそう。

    出来過ぎな彼女も、ちょっと外国人風の生活も、おしゃれな窓辺やテラス付きのレストランの描写も、全体的に詩的な雰囲気を醸し出していて素敵だった。休日にゆったり読みたい本。

  • ”そこらへんのヤワな小鳥とは、ちがうのよ”
    という小鳥ちゃん
    挿絵に惹かれて買った小学生期にはわからなかったものが
    二十歳を越えた今、わかる気がした。
    強気な小鳥ちゃんの不安定さ、寂しさは
    実は結構多くの人が抱えているものだと思う。
    年を重ねるたびに読んでいきたい作品

  • 可愛いイラストと、可愛い小鳥ちゃん。でも、じっくり読んだら深そうなお話。

全541件中 21 - 30件を表示

著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

江國香織の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
江國 香織
綿矢 りさ
川上 弘美
吉本ばなな
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×