- Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101349183
感想・レビュー・書評
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「団旗はためくもとに」
この話は、本当によかった!
学校を辞めるという傍から見たらネガティブな話かもしれないけど、
この話では、全然そう言う感じに書かれていない。
父と娘の関係がうらやましくなるし、この父の性格は好きだ。
頭の中にイメージがどんどん湧く文体で、本当に楽しかった。
心がぱぁー!!とする最後。
思わずまた泣いちまった。
本読み始めて良かった。。。
こういう気持ちになる本どんどん読みたいなと思った。
他も、父と子、夫と妻の話が多数。
最後の「三月行進曲」もよかった。 -
重松さんお得意の
『家族』がテーマの物語
6編入ってます。
短編(というか中編?)なので、
それぞれの登場人物に対して
ガッツリ書かれているということではないですが。。
やはり、深いです。
家族ってなんやろう、
親になるってどういうことやろう、
って考えさせられる。
ワタシは後半の
『団旗はためくもとに』
『青あざのトナカイ』
『三月行進曲』
が好きです。
最後は希望が持てるところ、
さわやかなところがすき。 -
『フイッチのイッチ』と『三月行進曲』がおもしろかった。
グッとくる。 -
父と子を巡る短編集。重松作品の中でも結構好き。
「小さき者へ」
家庭内暴力を繰り返す息子と父親の小編。
お父さんは優しくない息子だった。優しくない息子が二十数年後、父親になって、自分の息子には優しくあってほしいと願う。それはやっぱり虫のよすぎる話なんだろうな。
「団旗はためくもとに」
もと応援団長の父と娘の短編。
「押忍」っていうのは押して忍ぶ。わかるか?いいたいことをグット我慢して堪える。でもな、逃げながら耐えてるじゃない。押してるんだ、引いてるんじゃなくて。口に出してあーだこーだ言うんじゃなくて、黙って忍んで、でお負けてない。それが押忍の心なんだ」
「あのな、応援するっていうのは「がんばれ、がんばれ」ってことだけじゃないの。ここに俺たちがいるぞ、おまえはひとりぼっちじゃにぞ」っておしえげあげることなの」
「押して忍ぶ。黙って忍んで、でも負けてない」 -
父親として、息子と会話を交わす。男として、男と心を通わせる。
とても魅力的で、とても切ない。
父親としての弱さ、強さを、とてもリアルに教えてくれた気がした。
わたしは、そういう父親になれるのだろうか。 -
重松清を読み終わると、家族に会いたくなる。震災でなくなったけいこおばちゃんのことを思った。おばあちゃんは、おじいちゃんが亡くなって、けいこおばちゃんも無くなって、どんどん一人になっていくんやなぁって。根市も、おばあちゃん一人で、義光おじちゃんにいろいろ言ってしまうおばあちゃんの気持ちをうちらは考えてなかったなぁ、と。
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物語そのものより、設定が目に付いてしまうような……。
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現代の家族関係をテーマに筆を執る重松清氏。"小さき者へ" は父と子がテーマの6編です。作品の主人公たちは模範解答のない問題を抱えていて、立ち向かったり、逃げたり、言い訳したり、一歩を踏み出したりする。その悩み方がどうも優等生的で "甘い" "青い" "綺麗ごと" って目を背けたくなるんだ。
あまりの不器用さに見ていられないほどだけど怖いもの見たさにも似た好奇心でついつい彼の作品を読んでしまいます。
6編の中では元応援団長のあっつ〜い父親と高校を辞めて美容師になるというひとり娘の話が微笑ましくて好きでした。お父さん強引だけどスカッと爽快でかっこいい。この話は他の登場人物も面白くて、何の取り柄もないのに嫌に的を得たことを言う主人公の高校の友人と、家族を温かく見守るだけではなく、賢く現実的に夫と娘をサポートしている母親が傑作です。
そういえば重松氏の作品で登場人物に感情移入はしにくいんだけど、脇役にめちゃくちゃ人間のできている人や物わかりの良い人、勘が鋭い人がでてくる。その脇役たちは総じて現実的で、理想と現実の狭間で悩む主人公とは対照的に描かれています。問題は何ひとつ解決しないままだけど、それぞれの話には救いや許しがある、きっと元気のでる一冊です。