小さき者へ (新潮文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101349183

感想・レビュー・書評

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  • 主人公たちがそれぞれに悩み、きっと物語のその後でも悩み続け、生き続ける。ただ、物語のお終いからは少し目線を上げて生きていけそうな気にさせてくれる一冊でした。

  • 「団旗はためくもとに」
    この話は、本当によかった!
    学校を辞めるという傍から見たらネガティブな話かもしれないけど、
    この話では、全然そう言う感じに書かれていない。
    父と娘の関係がうらやましくなるし、この父の性格は好きだ。
    頭の中にイメージがどんどん湧く文体で、本当に楽しかった。
    心がぱぁー!!とする最後。
    思わずまた泣いちまった。
    本読み始めて良かった。。。
    こういう気持ちになる本どんどん読みたいなと思った。

    他も、父と子、夫と妻の話が多数。
    最後の「三月行進曲」もよかった。

  • 重松さんお得意の
    『家族』がテーマの物語
    6編入ってます。

    短編(というか中編?)なので、
    それぞれの登場人物に対して
    ガッツリ書かれているということではないですが。。

    やはり、深いです。

    家族ってなんやろう、
    親になるってどういうことやろう、
    って考えさせられる。


    ワタシは後半の
    『団旗はためくもとに』
    『青あざのトナカイ』
    『三月行進曲』
    が好きです。

    最後は希望が持てるところ、
    さわやかなところがすき。

  • 『フイッチのイッチ』と『三月行進曲』がおもしろかった。
    グッとくる。

  • 重松 清は昭和38年生まれでワタシとほぼ同い年。

    この「小さき者へ」は、家族・父親を題材にした短編集。

    表題は、心を閉ざした14歳の息子へ語りかけるというもの。

    「お父さんが初めてビートルズを聴いたのは、今のおまえと同じ歳・・・14歳、中学2年のときだった。」とはじまって、息子を思いながら読んだ。

    ワタシたちの世代の特徴は、音楽はラジオから。録音するときは、ライン録音じゃなくて、TVの前とかステレオの前で、ラジカセをセットしてマイクで録音する~という経験があるということ。
    この前よんだ大槻ケンヂの小説にも同じことが書いてあって妙に親近感を覚えたw

    で、小説では、ビートルズのほかにも、自分が聴いた洋楽の名前もでてきて、さらに親近感をもってしまい、小説の中で同一化して、「がんばれ~息子の心を開かせるのだ」と応援してしまった。

    そのほかにも、父として、考えされられたり、仕事について見つめなおしたり、いろいろと想いにふけることのできる小説でした。

  • 父と子を巡る短編集。重松作品の中でも結構好き。
    「小さき者へ」
    家庭内暴力を繰り返す息子と父親の小編。
    お父さんは優しくない息子だった。優しくない息子が二十数年後、父親になって、自分の息子には優しくあってほしいと願う。それはやっぱり虫のよすぎる話なんだろうな。

    「団旗はためくもとに」
    もと応援団長の父と娘の短編。
    「押忍」っていうのは押して忍ぶ。わかるか?いいたいことをグット我慢して堪える。でもな、逃げながら耐えてるじゃない。押してるんだ、引いてるんじゃなくて。口に出してあーだこーだ言うんじゃなくて、黙って忍んで、でお負けてない。それが押忍の心なんだ」
    「あのな、応援するっていうのは「がんばれ、がんばれ」ってことだけじゃないの。ここに俺たちがいるぞ、おまえはひとりぼっちじゃにぞ」っておしえげあげることなの」
    「押して忍ぶ。黙って忍んで、でも負けてない」

  • 父親として、息子と会話を交わす。男として、男と心を通わせる。
    とても魅力的で、とても切ない。
    父親としての弱さ、強さを、とてもリアルに教えてくれた気がした。
    わたしは、そういう父親になれるのだろうか。

  • 重松清を読み終わると、家族に会いたくなる。震災でなくなったけいこおばちゃんのことを思った。おばあちゃんは、おじいちゃんが亡くなって、けいこおばちゃんも無くなって、どんどん一人になっていくんやなぁって。根市も、おばあちゃん一人で、義光おじちゃんにいろいろ言ってしまうおばあちゃんの気持ちをうちらは考えてなかったなぁ、と。

  • 物語そのものより、設定が目に付いてしまうような……。

  • 現代の家族関係をテーマに筆を執る重松清氏。"小さき者へ" は父と子がテーマの6編です。作品の主人公たちは模範解答のない問題を抱えていて、立ち向かったり、逃げたり、言い訳したり、一歩を踏み出したりする。その悩み方がどうも優等生的で "甘い" "青い" "綺麗ごと" って目を背けたくなるんだ。

    あまりの不器用さに見ていられないほどだけど怖いもの見たさにも似た好奇心でついつい彼の作品を読んでしまいます。

    6編の中では元応援団長のあっつ〜い父親と高校を辞めて美容師になるというひとり娘の話が微笑ましくて好きでした。お父さん強引だけどスカッと爽快でかっこいい。この話は他の登場人物も面白くて、何の取り柄もないのに嫌に的を得たことを言う主人公の高校の友人と、家族を温かく見守るだけではなく、賢く現実的に夫と娘をサポートしている母親が傑作です。

    そういえば重松氏の作品で登場人物に感情移入はしにくいんだけど、脇役にめちゃくちゃ人間のできている人や物わかりの良い人、勘が鋭い人がでてくる。その脇役たちは総じて現実的で、理想と現実の狭間で悩む主人公とは対照的に描かれています。問題は何ひとつ解決しないままだけど、それぞれの話には救いや許しがある、きっと元気のでる一冊です。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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