ターン (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
3.62
  • (449)
  • (631)
  • (1105)
  • (66)
  • (26)
本棚登録 : 5088
感想 : 564
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (426ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101373225

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • この設定でこのボリュームの物語がかける事に驚くが、とても面白く、あっという間に読んでしまった。
    感動した!

  • 時空の狭間に落ちてしまったかのように、同じ24時間を繰り返し続ける主人公。しかも、その世界にはついさっきまで多くの人が生活をしていた形跡があるのに、何故か彼女1人しか存在しない。冒頭から主人公を「君」と呼ぶ謎の声の正体もずっと気になります。
    そんな不思議な物語ですが、北村氏の柔らかく繊細な文章のおかげで、理屈を超えた世界を楽しむことができました。

  • 1日を繰り返してしまう人の話。いわゆるループもの。リプレイとか、リピートとか読んだなと思い出す。違うのは、ループから抜け出せないという焦燥感もあるものの、なんか急がない、ほっこり感があるのが北村薫ワールドなんですかね。

  • ラブストーリーだった。

    北村さんは、本当に膨大な語彙をあやつることができて、難しい表現を使っているわけではないのに豊かな文章を紡ぐ。真に文章の上手い人はこうなんだろう。
    ただ、それだけに、すらすら読める文章ではない(私にとって)。一文一文が脳裏に鮮やかな絵を描かせる感じというか、要は一文あたりの情報量が多いんだな。
    だからこの作品も読むのにずいぶん時間がかかった。

    事故にあって意識不明になった主人公の、意識の方が時間の溝に入ってしまって、誰も居ない世界で昨日と今日を繰り返す話。
    物語は二人称で綴られる。実は以前二人称の他の作品を読んでツライ思いをしたので(内容的に)、あまり二人称が好きじゃなくて、それも読むのに苦労した要因だった。
    でも、二人称の「正体」が分かった時は感動した。

    主人公が時間の溝(《くるりん》の世界)に入ってからがちょっと長くて中弛みした。半年その世界に囚われたんだからその時間を表現するのに必要だったとは思うけど。
    だから電話が掛かってきた時、主人公だけじゃなくて私もドキドキした。物語が動く!と(笑)。

    電話の繋がったのがイイ人で良かった。
    電話だけの関係で恋愛感情が生まれるのは、現代で言えばネット恋愛みたいなものだから、充分あり得ることなのだ。意外にも、姿形に惑わさせることなく、ヒトの核心に触れられるから。

    柿崎君の暴君ぶりが数日で終わってホッとした。あれは精神削られる。
    このあたりは、読んでいて、付記で北村さんが言い訳してる(って言ったら怒られそうだけど)時間の矛盾みたいなものに、はっきりとは気づかなかったんだけど、なんかモヤモヤした。まぁ些末なことかもしれないけど、ちょっと惜しい。

    全体の展開とそれに費やした頁の割合からして、最後のシーンを簡単に書きすぎてる気がする。もう少しじっくりやって欲しかった、感動的な場面なんだから。(感動しました)

    泉さんは電話が切れてからどうしたんだろう。多分病室の真希を励まし続けたんだろう。真希が帰ってくることを信じて。
    イイ人だなぁホント。包容力があるというか。

    静かだけど良い話だった。

  • 【あらすじ】
    真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。いつかは帰れるの?それともこのまま…だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。

    【感想】

  • 170823*読了
    真希と「声」の対話部分が独特。
    するする読んでいたけれど、付記を読んで、そういう矛盾があったのかと知る。
    あらすじを読まずに買ったので、スキップの続編かと思っていた。違ったけれど。
    ターンの終わり方はしっくりくるものだった。一方、スキップは切ない。

  • 「スキップ」では冗長さを感じてしまって読み終えるのに辛さを覚えたが、「ターン」では流れがよく楽しめた。満足。三部作らしいので、残りの一冊も読む予定。

  • 同じシリーズ『スキップ』に感動したのが10年くらい前。本は手元にあっても読み進められず、やっと読めた。序盤、何が起こってるのかわからないままでしかも2人称の語り方が続くので読みづらい。でも最後に近づくにつれてどんどんドキドキが高まってきて、さすがだなと。
    最後の終わり方は爽やかで心地よいけど、どこかで見たことある感はあったかなぁ。

  • てっきり女性が書いていると思ったら、作家さんが男性でびっくり。
    それにしても、自分一人で同じ日を何十回と繰り返すなんて想像しただけで気が狂いそう。
    結局は、自分の心の中の声の人にも出会えてよかったけど、読んでるだけで疲れてしまう。

  • 時と人の三部作二発目。
    交通事故をきっかけに、今日という日を延々と繰り返す世界に引きずり込まれてしまう。
    紙に何かを書いても、骨折しても、『ターン』してしまうと全てが元通り。
    残るのは自分の記憶のみ。
    さらに、その世界には自分以外誰もいない。
    そんな世界に絶望する主人公。
    しかし、あることをきっかけに、
    《その1日が同じと感じるかどうかは自分の気持ち次第》
    であることに気付く。
    著者いわく、「毎日が同じことの繰り返しっていうのは意外と身近に起こっていると思う。」
    …確かに。なんとなくわかる。…気がする。
    そしてそこから抜け出すための鍵は、自分が生き甲斐としている何かなんでしょうね。

全564件中 41 - 50件を表示

著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

北村薫の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
宮部 みゆき
宮部 みゆき
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×