飲めば都 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 89
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  • Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101373331

感想・レビュー・書評

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  • 出版社に勤める若い女性編集者を中心とした酔っ払いの物語。
    あくまで第三者目線で、まるでドラマのナレーターのように呑んべえたちの珍妙な言動や心理状態を冷静に描写することろが何とも愉快です。
    かつて覆面作家時代は性別不明と言われていた北村氏だけあって、その中性的で上品かつユニークな文章は読んでいて心地よく、控えめに登場する幅広い知識も小気味よいアクセントになっています。
    他の作品でも感じますが、型にはまった女らしさではなく、むしろサバサバした魅力の女性の描き方が好みです。

  • 酒の席での主人公含め女性達の話しの突き放し方が面白。色々な雑学やエピソードを楽しく話せる人がいたら、お酒が美味しく飲めるのだろうと思うし、そう出来たらとも思う。「酒飲みの論理というのは常識を超越する」は笑ってしまった。酔っ払いに論理笑

  • 酒飲みの論理というのは常識を超越する……というか、酔っ払いには論理なんてないような気がする。そんな酒飲み達の生態をこんなに面白く書いていた小説は他に思い浮かびません。読んでいて何度も吹き出してしまいました。ほんとに、水だとこんなに飲めないという量を何故にアルコールなら呑めるのか、人体の七不思議です。可笑しいだけじゃなくて、指輪物語や智恵子抄でのオチのつけかたがやられたって感じで、流石に日常ミステリーの草分け的な存在なのだなあと感じ入ったと共に、絶対こんな失敗するもんかと自分に誓う一冊になりました。

  • 酒は飲んでも飲まれるな。

    お酒を絡めた失敗談を基軸にした、OLさんの成長?記。ちょっと変わった切り口です。
    個々のエピソードの間に結構な年月の開きがあって、1冊トータルだと結構長い時間が経過しています。題材は全然違うけど、加納朋子「七人の敵がいる」をちょっと思い出しました。

    前後不覚になるまで酔いつぶれた経験がないので、正直酔っ払い談には感情移入できる要素がないのですが、人間模様の軽妙さに助けられてサクサク読み進めることができます。

    …なーんて軽い気持ちでいたところに指輪エピソードだもんなあ。ガツンとやられました。そして月形君のまさかの顛末。やがて巡ってくる、都さんのターン。

    北村薫氏が覆面作家だった頃、多くの人が女性だと思っていたという逸話は有名ですが、本作を読んでも、やっぱり氏が男性だとは信じられない。見返しの著者近影、何かの間違いではないのだろうか。

    女と男の機微を、女性目線から細やかに、そしてリアルに描き出してしまう。ライトな作品だけど、北村薫ってやっぱり恐ろしい作家です。

  • 性別は違うけど、他人とは思えない飲みっぷりと記憶の無くしぶりに、不思議な親近感がわいてきます(自分も酒大好き&酔うと記憶を無くす系なので)。

    そうした酒飲みあるある的な、けれどほっこりするゆる〜い感じのエピソードの数々にとても癒されました。

  • 2016/4/18購入
    2016/5/27読了

  • 2013年11月5日購入。

  • 気持ちよくお酒を飲んで、無事お会計を済ませて、一人で家に帰ってお風呂に入ってパジャマに着替えて布団に入る、けれども翌朝起きたときに、お会計から着替えまでの記憶が全くない、というような経験を持つ女性にぜひ読んでほしい。
    あと、毎度のことだけれど、北村薫はほんとに女性の心理をとらまえるのがうまいですな。

  • 酒好きで酒がからんだ失敗は星の数のごとくちらばっている。どれもこれも可笑しい。久しぶりに声をあげて笑わせてもらった。数多の試練、山坂を冷や冷やさせながらも度胸と愛嬌で見事に乗り越えていく。天真爛漫、純な都が何とも愛らしい。小説なのに他人事とはとても思えない親さを感じた。父か兄のような心境で行を追う。成長の過程を思わず目を細めて眺めた。「二人で暮らしていると、してもらうのもいいが、してあげられるのが有り難い」。都の独白にこんなことも言えるようになったのかと、感慨深いものをおぼえた。往時茫々。過ぎ去りし日は遠く遥か。

  • するする、とんとん、と、進む小説でした。

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著者プロフィール

1949年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。大学時代はミステリ・クラブに所属。母校埼玉県立春日部高校で国語を教えるかたわら、89年、「覆面作家」として『空飛ぶ馬』でデビュー。91年『夜の蝉』で日本推理作家協会賞を受賞。著作に『ニッポン硬貨の謎』(本格ミステリ大賞評論・研究部門受賞)『鷺と雪』(直木三十五賞受賞)などがある。読書家として知られ、評論やエッセイ、アンソロジーなど幅広い分野で活躍を続けている。2016年日本ミステリー文学大賞受賞。

「2021年 『盤上の敵 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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