- Amazon.co.jp ・本 (651ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102010174
感想・レビュー・書評
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相変わらずのドフトエスキー調。ロシア節。ニコライが魅力なのに出てくるのが遅すぎやしないか?前半の長々とした退屈な場面であやうく本を置きそうになってしまった。
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再読である。まるで初めて読むように味わうことができた。日本の近現代文学にも影響を与え続ける名作をたっぷりと味わえ、普段の読書より濃密な時間を過ごすことができた。スタヴローギンがやはり気になる。彼の最後が暗示する「未来」とは予想してみたくなる。ステパンもカルマジーノフも滑稽でもあるが、生きることに真摯で好感持つことができた。「スタヴローギンの告白」にもある通り、作者のこの作品にかける情熱は熱く沸き立っている。
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スタヴローギンが怖い。
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司馬遼太郎が、ある講演で、日本の小説は前置きが短いが、海外の小説は本題までがやたら長く苦痛なのがあると言ってたが、この小説はその最たるものかもしれない。14.3.3
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名作
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「地下室の手記」→「罪と罰」→【悪霊】→「カラマーゾフ」の順で読んでいくと、長さ的にもムリなく、ドストエフスキーの根暗な魅力にハマれると思います(^ω^)
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※このレビューでは上巻のみならず下巻もまとめて扱っています。
【内容】
変革期のロシア。
社会の土台である制度が転換する際、人々の心の安定は失われる。
とある地方の街に、センチメンタルでなよなよした思考の、中年の学者がいた。彼は、富裕な地主である未亡人によって家庭教師として雇われていた。彼の息子と彼女の息子はただならぬ才覚を持っていたが、その用いられ方が問題を起こす。
この4人を軸として大勢を巻き込み進む物語は、悪霊に憑かれた豚の群れのように。
【類別】
小説。群像劇。
革命思想を題材としているので、人によっては受け付けないものかもしれません。
いわゆる"純文学"的な特徴はありません。
【書き表し方】
文体や言い回しの古さはありますが、問題になるほどではないと感じます。
一点、注意されるべきは、原文の会話文中でフランス語だったものが全てカタカナ表記されていることです。翻訳で意図的に行われたものであり、ニュアンスを効果的に示す表現だとは思いますが、同時に、非常に読みづらいものです。箇所が大量にあるわけではないので、全体における妨げとしては微小なものです。
冗長さはあります。
【備考】
このレビューは以下の版の鑑賞に基づくものです。
・上巻…48刷(39刷改版)
・下巻…42刷(35刷改版)
私感として、銃による自殺を行おうとしている者と対峙している場面に最も鮮烈な印象を受けました。狂気。 -
帝政ロシア末期、地下組織が脱退者を殺害したという「ネチャーエフ事件」をモチーフに書かれた。革命勢力を揶揄しているとして、ソ連時代は弾圧された問題の小説。子離れしない親を持つ各々の息子スタヴローギンとピョートル。二組の親子を中心とした人間関係を成す多彩な登場人物たち。やはりキリーロフが好きである。語り手の一人称は誰だろう?と思っていたら、いつのまにか「G」という名前で呼ばれる人物として物語の中に入り込んでくる。個人的には「スタヴローギンの告白」はあまり好きでない。10年位前に改版されて文字が大きくなった。
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ドストエフスキーを読むときにいつも思うのは、一冊めの1/3ぐらいまでがかなり難関、と言うことだ。
この人の作品は物語を進める上での重要な登場人物や諸設定、取り巻く環境の解説をしっかりとした上で始められる。しかし、なんにせよそれがだらだらと長いことこの上ない。懇切丁寧なのだが、礼儀もすぎれば蛇足になるみたいな感じで、つかみという言葉を知らないと見える。
かつてこの解説の長さに加えて、ロシア名の難解さ、たとえばアレクセイがアリョーシャ、アリョーシカ等と場面によって呼び名が変わるというロシア式に悩まされて、『カラマーゾフの兄弟』を何度も断念していた。いやむしろ倦厭していた。
金原ひとみはかつて「1冊目は我慢しろ」と言っていた。その通りに体力をつけて挑んでみたら、我慢の先にドストエフスキーはそれはそれはおもしろい人間模様とドラマを準備してくれているのだ。
それに惹かれて『悪霊』も読んでみたクチだ。
物語についてくどくどと述べるのは下巻を読んでからにする。
それにしても今回は今まで読んだもの以上に、本題へのすすみが遅い気がする。今のところはドラマチックな所はほとんどなく、登場人物のややこしさ(名前を未だ覚えきれていない)から抜き出ていない。いや登場人物今回多くない?
今のところフピョートルが悪魔的で私の興味を引いているキャラクターだが、まだまだ全体がもやもやしすぎてよくわからない。
やっぱりこの時代の物語って、キリスト教についての是が非と社会の構造についての新しい模索が描かれるのかな。
己の立場とは全く異質なものが題材だったときの落胆を怖れつつも、ニコライの憂愁な面影が物語のすすみの中でどう明かされてゆくのかを楽しみにしている。