- Amazon.co.jp ・本 (170ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102100042
作品紹介・あらすじ
キューバの老漁夫サンチャゴは、長い不漁にもめげず、小舟に乗り、たった一人で出漁する。残りわずかな餌に想像を絶する巨大なカジキマグロがかかった。4日にわたる死闘ののち老人は勝ったが、帰途サメに襲われ、舟にくくりつけた獲物はみるみる食いちぎられてゆく…。徹底した外面描写を用い、大魚を相手に雄々しく闘う老人の姿を通して自然の厳粛さと人間の勇気を謳う名作。
感想・レビュー・書評
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いつものベッドのうえ。
読書灯を落として目を
瞑れば、
潮の匂いが波の飛沫が
生々しく吹きつける。
黒々とした海洋の畝り。
生のまま齧りつく魚の
その紅黒い血肉。
若い頃のように動かぬ
老体に鞭を打ち、
意識を失いかけながら
大魚が引く綱をたぐる。
ひととき船上の老いた
漁師となり、
戦後間もないハバナの
海を疾駆してきました。
けっきょく獲物は失い
ましたが、
荒ぶる自然にけっして
屈しなかった。
徒労感が心地よいです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
細かな語りが乾いた雰囲気を上手く醸成していて、ねっとり引き込まれる作品。情況の静と動とともに人生の静と動が描写され、自然の中で生きる人間の営みを深い洞察で作品にした。最後は穏やかな虚無感にいくばくながら浸ることができる。
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しかし、おれは、人間ってものがどんなことをやってのけられるかをやつにわからせてやるんだ、人間が耐えていかねばならないものを教えてやるんだ。(P74)
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こんばんは。
ダイさん、ありがとうございます。
頑張ります。読書の時間が唯一心の休まる大切な時間です。
10代も、もう終わってしまうとい...こんばんは。
ダイさん、ありがとうございます。
頑張ります。読書の時間が唯一心の休まる大切な時間です。
10代も、もう終わってしまうという焦りもあります。学生の時に、1つでも多く、自分の人生が豊かになる本に出会いたいです。2021/12/24 -
2021/12/24
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2021/12/24
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自分の命を懸けて、マカジキを追う主人公は、本当にかっこいい
何もかも失った主人公を見ていると、自分の悩みなどちっぽけなものに思えてきます。悩みに苦しんでいるときに読んでみてください。 -
実家に帰り、何か面白い本は無いか実家の本棚を探してみると、本書が2冊あった。これは弟が置いていったやつだな、2冊も買うとはそんなに面白いのか?と1冊持ち帰って読んで見る。
読んだこと無かったが、まあ想像の通りの話。老人と海の話、引退時期を遠に越している老人が海に出て魚と格闘したり、鮫と戦ったりする話。
昔は名作と呼ばれても、それを元に次々とさらに楽しい物語が生まれるから、新しい物語を読んでいる我々には面白みがないのかなとやや退屈気味に頁をめくる。
あれ、これで終わり?というような短さだが、不思議な読書後感。この短さの中に
老い、過去の栄光、諦め、無情、新たなる希望
が込められていて読む人の中で何かを動かされる感。
今まで名作と呼ばれていても読む気無かったが、まあ読んで良かったなとは思えるくらいに良い。私が成長したかな?再読読んだけど面白さがわからなかった古典、名作を読んでみても良いかも。
ヨーロッパではなくアメリカ文学の本なのか。
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原題:The Old Man and the Sea(1952年、米)
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ハードボイルドとか男のロマンとかは、私にはよく分からないが、とりあえず、このお爺さんはいい男だ。ぎらつくような闘争心。「強い奴が、偉いんだ」という単純明快な論理。深みがないと言われればそれまでだが、ここまで徹底すれば、いっそ清々しくて天晴れだ。「難しいことは分からんが、とりあえず俺は勝つ」みたいなシンプルな性格には愛嬌すら感じる。 -
老漁師サンチャゴから学んだ7つのこと:
1. 揺るがない気持ちをもつことの大切さ。
84日間一本釣りで獲物が釣れなくても今日は絶対に釣れるんだと強く信じてやまない強い心があれば、いつか必ず獲物を仕留められよう。
2. 己が生まれてきた意味を自覚することの大切さ。
自分が漁師として生まれ、大物を釣り上げるためだけに生きてきたと自覚しているため、周りに何を言われようとも行動や思いに迷いが生じない。
3. 決意することの大切さ。
今目の前で戦っているこの大物のカジキ、いや獲物、いや兄弟を殺す、と固く誓っていることにより、途中で行動がブレることがない。また困難に直面しても途中で諦めるという気持ちが起きない。
4. 戦いというのは壮絶であること。
一人の老漁師と一匹の大きな獲物との戦いは、孤独な心理戦・持久戦となり、いつしか相手に対し友情や愛情、そして尊敬にも似た気持ちを抱かせてしまうほど壮絶なものであった。つまり楽な戦いなどは本物の戦いではないということだ。
5. 師弟関係の大切さ。
海で一人で孤独に獲物と戦っているときにも、老人を慕っている少年のことを常に思うことで、老人は気持ち的には少年と二人で獲物と戦っていると思われる。師弟関係は人を孤独から解放し、疲労困憊の身体からも力を湧き立たせてくれる、人間を前進させてくれる源泉だ。
6. 前向きな考えの大切さ。
仕留めた獲物を船に横並びにして岸に向かっているところ、サメに獲物を襲われて獲物の一部がなくなってしまった。それでも40ポンド分なくなって軽くなったろう、と思う前向きさ。どんな困難に直面しても、前向きな考えがあれば過去にとらわれずに前に進めるはずだ。
7. 諦めない心の大切さ。
サメは血の匂いで次々と集まり襲いかかってくる。そんな中、サメと対峙する銛がなくなっても老人は今ある道具でサメに戦いを挑む。最後まで諦めない気持ちは、老人を生きて岸まで返したことにつながったのだと思う。
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老漁師サンチャゴは言った。
「だが人間は負けるようには造られてはいない」
「打ち砕かれることはあっても負けることはないんだ」
そう、人間は負けることはないんだ。何度でも這い上がれば、負けることはない。 -
わたくしが初めて自力で読んだ洋書が、今年生誕120年を迎へたヘミングウェイでした。リライト版ではオスカー・ワイルドだつたけど。
Men Without Womenといふ作品で、「女のいない男たち」とか「男だけの世界」などと訳されてゐるやうです。
会話主体の小説ながら、贅肉をそぎ落としてゆくやうなシンプルな文章に惹かれたのであります。おお、これが固ゆで玉子なのか、と実感したものです。
この『老人と海』も同様で、冒頭からぐいぐい読ませます。
年をとつた漁師・サンチャゴは、メキシコ湾流に小舟を浮かべて漁をして暮らしてゐます。相棒として少年が同行してゐたのですが、40日たつても一匹も釣れぬので、少年の親が別の舟に乗るやうに言ひつけたのです。少年は不満ながらおとつつあんの言ふことには従はないといけない。それでサンチャゴは一人で漁を続けるのですが......
沖へ出たサンチャゴ。少年がゐたらなあ、と何度もぼやきます。しかしつひに獲物が喰らひつきます。カジキマグロ。でかい。綱に繋がつたまま、悠揚たる態度で老人を翻弄します。足掛け三日の駆け引きの後、漸く仕留めるのですが、大きすぎて引き上げられません。で、小舟に固定してそのまま凱旋せんとする老人。
魚があまりに大きいので、どちらが引かれてゐるのやら、といふ感じ。まるで入学式を迎へた小学生が、大きいランドセルに振り回されて、背負つてゐるのか背負れてゐるのかわからないのに似てゐる。
ところが、カジキの血の臭ひに誘はれて、鮫が襲撃してきます。危し、サンチャゴ。獲物を守り切れるのか......?
ストオリイは単純ながら、引き締まつた流線型の文章に乗せられて、老人の行動から目が離せません。少年との友情も重要なファクタアでせうが、わたくしは「生きる」ことの本質に迫つた佳作だと思ひました。人間は(すべての生き物は、かな)ほかの生命を奪ふことなしに生きることは出来ない、といふ当然の事を再認識させます。
数数の死闘に耐えて帰還した老人。徒労感に打ちひしがれ、疲労困憊して眠るさまは、人生の厳しさを教へるのです。ああ、俺はまだまだヒヨコだ、とね。
ついでながら、福田恆存の翻訳が絶品であります。沙翁作品でもさうですが、この人の訳を読んだ上で、なほ新訳を試みる翻訳者が後を絶ちませんが、勇気があるなあと。
ちと力が入り過ぎましたかな。わたくしの柄ではありませんね。ご無礼いたしました。
http://genjigawa.blog.fc2.com/blog-entry-815.html -
言わずと知れた名作なので、タイトルとあらすじから、孤独な老人が海に向き合いながら黙想したり、回想したりする話だと勝手に想像していた。実際に読んでみると、確かに、独り言癖のある老人がいろいろ考えながら大魚と闘うストーリーではあるが、驚くほど臨場感とスリルある描写の連続で、地味な設定に反してとても面白い。現代にも通じるエンターテインメント性があると思った。
また、ヘミングウェイが「失われた世代」の一人と言われるように、昔は強く有能な漁師だった老人が、一匹も魚を釣れなくなっていたところに現れた大魚を放すまいとする姿には、失われたものに対する執着が表現されている。しかし、喪失感だけに留まらず、物語の終盤、老人が持ち帰った大魚の残骸を目にした村人たちが老人への尊敬の念を新たにするシーンからは、経験を積んだ者への労りと肯定を見出すこともできた。 -
キューバはテレビでしか見たことがないが、その映像を脳裏に巡らせながら読んだ。
サンチャゴの孤独な闘いと、その精緻な描写が読む側にも伝わりついつい力が入ったり、焦燥感にかられたり…サメに襲われ敗北するサンチャゴ、しかしそれは本当に敗北だったのだろうか。 -
初めてのヘミングウェイ。
老人と魚との戦いは手に汗握るもので、ページを読む手が止まらなかった。
カジキを仕留めた後、サメ〜〜、やめてくれ〜〜
やめてやってくれ〜
ひたすらそんな気持ち。
しかし、爺さんが偉大な漁師であるという事は少年はじめ、むらの皆もわかってるはず。
切ない、漢を感じるお話でした。 -
精神論。忘れてはいけないもの。
そんな事を思いました。
ストーリーでは、魚をなかなか釣り上げないので、しびれがきれそうな感もありました。
自分自身の、魚は釣るものだと言う固定観念と視点の狭さ、等身大の自身を突きつけられた感じです。
違った角度から何かを探し当てたい時には、この本を思い出しそうです。 -
・大ディマジオの効果は?
・夢のライオンと砂浜の役割は?
「あの子がいれば」と何回言うのか -
自身が今まで読んだ小説の中でこんなに1人の人間(老人)にフォーカスした小説は初めてだった。
老人の海や魚に向き合う親しい気持ち(友達)や外見描写が印象的。
ただ1人老人を慕う少年の成長や老人を蔑む村人の存在、それらに対する接し方に老人の人柄がでていた。
若い頃は漁に出ても、言葉を発しないようにしていたと言ってたが、1人で漁にでると独り言も多くなっていることから歳を感じている。老人は言葉を声に出すことにより自身の心を燃え上がらせている。
印象フレーズ
人間は負けるように造られてはいないんだ
そうだ魚だって友達だ。
こんな魚は見たことも聞いたこともない。
けれど、おれはやつを殺さなければならないんだ。
ありがたいことに、星は殺さなくてもいい。 -
鮫が襲ってくること、分かっていたけどいざその描写に辿り着くと手に汗握るような臨場感。老人が巻き込まれないかヒヤヒヤ...老人が海水に手をつけて傷を治そうとしたり、魚を捌くところがとってもリアル。自分じゃ出来ない体験を本を通してできるから読書っていいですよね。子供の頃に読んでたら、ワクワク感とかまた違った感触だっただろうなぁ
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サンチャゴの強さがひしひしと伝わってくる作品だった。
勇気が貰える作品だと思う。
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名作はとりあえず読んどけ。
という事で、読みました。
確かに無駄のない文体、、、和訳なのですが、そう感じました。
原文も一度読んでみようと思います。
老人が、厳しい自然に打ち負かされる、だが救われてない訳ではない。勇気も寄って立ち向かった。そして少年は誇りにそれを思っている。じんわりくる作品でした。
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高校の英文学のクラスで、いつかの学期の教科書として使ってたのがこの作品だった。原文を読める機会だったのに真面目に読まなかった高校生の自分を恨めしく思うけれど、当時の私にはこれは読めなくて当然だったなと初めてちゃんと最後まで読み終わって思った。 読むべき時というのがあるのだ、きっと。たぶんまだ味わいきれていなくて、もう少し歳を重ねたらまた違った読み方ができるのかもしれない。何よりも福田恆存の訳者あとがきが死ぬほど面白かった。本当に。本編よりもこっちを楽しんでしまったことに罪悪感を覚えるけど、とにかく面白かった。ここだけで人に薦める価値ある(?)
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新潮文庫の装丁が好きなので、この機会にと思って買ってみた。
この淡々とした語り口、つらつらと行動だけを書き連ねることによって心理を予想させるやりかた・・は・・個人的には合わなかった。
老いた猟師サンチャゴが大きな魚を追って海に出て攻防戦をくりひろげるのが大半の内容。
文章の一つ一つが詩的であるとか表現力に富んでいるということもないように思ったので、はっきり言って地の文を読むのが苦痛だった。
「早く終わらないかな」と思いながら読んでいた。
でも、読み終わってみると、なぜか時間が経つほどに思い出される。
「こんなに誇り高い魚と、それを食う人間の価値は本当に等しいのか?」というサンチャゴの独白。
英雄的に描かれてはいても、結局は自然に翻弄されるサンチャゴの姿。その中で助け合う少年との絆という、よすが。
海という自然の象徴物と、そこにどう折り合いをつけていくかを問い、人と人とのかかわりのあり方を問うている気がする。
それもあくまでも厳しい視点から。
まあ、二度と読み返すことはないだろうと思う。 -
どことなくノスタルジックな気持ちにさせてくれて、ふとした時にまた読み返したくなる。映画、小説ともに大好きです。
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表現力の鬼。そして最初から悲壮感がすごい。読むのが辛くなる。
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ストーリー自体が面白いのではなく、読み終わった後に各自がどう噛み砕くかという選択肢が多いという点で面白い作品。テーマは人生は失うことと得ることの繰り返し、ということ?というか結局夢オチとも取れる?少年マノーリンは何かの隠喩的存在?…先行研究を読みたくなった。
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淡々としている。
ものすごく淡々としている小説だ。
ただ老人が船を出し、漁に奮闘する様を描いているだけなのだ。
今の私にはこの小説の良さは分からない。
この小説がヘミングウェイのノーベル賞受賞を大きく後押ししたらしいが、なぜそうなったのかさっぱり分からない。
「世間の評判と違わず、実に名作である」だなんてとても言えない。
それでも、繰り返し読んでいけば何か分かるのかもしれない。
可能であれば、老人の夢の中に出てくるライオンが一体何を象徴するものなのか、自分なりに根拠を持った結論が出せるまで繰り返し読んでみたい。
ひょっとすると、ヘミングウェイはライオンになんの意味も持たせていなかったという可能性もある。
もし本当にそうなら、そちらの方が私にとって面白い。
その場合、「老人と海」は私にとっての快作となるのであろう。 -
生と死が肉迫する状況で、命の儚さや脆さを極限状態において人の心がポジティブ、ネガティブを繰り返しながらもかろうじてバランスを保っていることに重ね合わせている。老人がその歳まで生きてこられたことを一つの奇跡として著者は祝福しているかのようだった。例え貧しくとも生き抜くことの素晴らしさ、無駄なものがないことの美しさを訴えている。
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明日は朝から出かけよう。
眠いからやっぱ昼からでいいや。
15:00から準備する。
もう夕方だし今日は家でゆっくりしよ。
って感覚に近い。 -
10年以上前に読んだことがある気がするけれど先日のキューバ旅行を機に再購入。内容は殆ど忘れていたから実質初読の感覚で読み進めた。
これぞハードボイルド、というのか主人公の老人の内面的な部分が直接的に描かれることはほぼない。徹底した老人の行動描写や独り言を通じて老人の人間性が描き出されている。情緒的で起承転結に富んだ最近の日本の小説に慣れていると物足りなさを感じるが、これにはこれの味があるかなと思える。巻末の解説ではアメリカ文学の背景を説明してくれていて古いながらも勉強になる。
恥ずかしながら海外の小説は数えるほどしか触れてきていないが、こういった名作と呼ばれる海外文学にも手を伸ばしてみようかなと思わせてくれる作品。 -
2018/1/3 一気読み
老人の内面と、事細かな描写が表現されている。最近、船釣りを楽しんでいることもあり、船や鱰(シイラ)の描写がイメージしやすく、いかにカジキマグロとの死闘が厳しいことか(それも素手)、それなりの実感を持ちながら読む。
少しだけ漁師さんの気持ちが分かったような気もする。
解説の中にある「アメリカ文明論」の説明で、「アメリカはヨーロッパと違い、空間が時間の代わりをし、未来が過去の代わりをした。」とある。
なるほど〜!と思った。もう少し読解力がついたら再度本編と解説を読み直したい。
中学生の時に1ヶ月以上かけて読んだものを、1日で読めたのは、少しは読書に対する集中力が増えたからか。読了時間は約3.5時間。まだまだ遅い…。時間がもったいない。