- Amazon.co.jp ・本 (142ページ)
- / ISBN・EAN: 9784102118078
感想・レビュー・書評
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引っ越しの本棚整理中にうっかり手に取り、再読。
サガンは中学生の頃にはまっていて、なかでもこの作品が好きだった。
ウン十年ぶりに読んでみると、なんともまあ昼ドラチックで。
何(どこ)に共感して好きだと思ったんだ、中学生の私?
……と思ったものの、作品としてはやはり惹かれるところが多くおもしろかった。
すっかり忘れていたので、サガン作品で「舞台がハリウッド」に驚く。
見返りを求めず、自分の何もかもを捧げて主人公を守り愛する青年。
そしてそんな風に愛されることに、恐れを抱きながらも彼を見放せない中年女性。
中学生の私はいったいどちらに憧れたんだろう。
当時に思いを馳せてセンチメンタル気分に浸ってしまった。 -
周囲から理解されないような関係性であっても、
2人にしかわからない事実があっても、
それが一般的に認識されるかは一切関係して欲しくないよね、
限定された集合体で完結できるのだとしたら、今ある問題がどれだけ発生していないのだろうか、 -
少女向けのまんがや小説が好き。ティーンズラブやロマンス映画が好き。主人公である女性に、深くときに恐ろしささえ感じる愛を向ける男のひとが好きだから。だからこのお話も好きにならないわけないんだよ。
ルイスが出てきた瞬間すごく好きになってしまった。最初出てきたルイスは車の前に躍り出て怪我で気絶したかと思ったら、次には目を開けてドロシーに微笑みかけただけなのに。なにこれ、一目惚れ?それともわたしはドロシーになってしまったの??
読んでる最中どんどんルイスが好きっていう感情は強くなるし、最後はむしろ愛してる、になってしまった。
なんというかある種のヘキに刺さるようなお話で、サガンの美しい文章とあいまってとても…素晴らしかったです…。短いお話なのでスラッと読めるんだけれど、それでも夢中になって読んじゃった。
主人公のドロシーはすこしばかり浅慮でアル中で、でも母親的な魅力がある。彼女自身は母性的なものはあまりないってはしているんだけどね。ともかく共感しやすい主人公だと思う。
そしてルイス。無垢で美しく凶暴なドロシーの守護天使。掛け値なしによくしてくれたドロシーを愛する彼は、代償なしの優しさを求めていたんだね。母の愛を求める子のようにも見える。けれどルイスのアガペーな愛情はアンモラル的だった。ドロシーは保身もあるが、そんな彼を跳ね除けることができない。やっぱりどこか母と子的に感じる。このルイスがとにかく危険で魅力的でさ〜〜。正直たまらなかったです。身も蓋もない言いかたするとヤンデレだから。わたしはヤンデレがヘキだから…。
ドロシーの恋人であるポールもいいひとで、この三人で何事もなく幸せに暮らしてくれって願わずにはいられない。
そういえばサガンの作品って映画化されてるやつ結構あるからこの作品もされているかな?と思ったらされていなかった…残念…とても見たいのに〜笑!
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(1971.10.23読了)(1971.10.06購入)
*解説目録より*
いささか浅薄で思慮にも欠けアル中気味ではあるが、自分の道をごまかしなく歩こうとする黄金の心の持ち主ドロシーと、無償の愛に生きるヒッピー青年ルイス……。若い世代の心の動き、その悩み、愛情、人生を眺める視線、男と女がかもし出す不透明な雰囲気などその文学的才能と鋭い感性でとらえるサガンの第七作。
☆関連図書(既読)
「悲しみよこんにちは」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1955.06.25
「ある微笑」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1958.05.05
「一年ののち」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1960.01.15
「ブラームスはお好き」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1961.05.10
「すばらしい雲」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1968.03.25
「熱い恋」F.サガン著・朝吹登水子訳、新潮文庫、1970.03.10 -
1つの決められた道を進むと倦怠が来て、別の道がちらちらと見えて、常に満足しない気分をもつ女性のゆらゆらした気持ちを描いてる。
この本のドロシーは、繊細な心の側面を完璧に守ってくれるひとりのヒッピー少年と、社会的生活や性的楽しみなどを完璧に与えてくれる成熟した男性の二人と関係を保つ。そして物語の最後は楽しげ。
二面性というか心のなかにくすぶる繊細な微細な「満たされなさ」を上手に描いているのかなと思う。 -
「LE GARDE DE COEUR」魂の護衛
サガンといえば『悲しみよこんにちは』
でも、こっちがすき。
彼女と彼と、彼。
中年男女と青年のおはなし -
初めてサガンを読みました。
とっても、大らかで温かい本だったと思います。
主人公のドロシーがとても素敵です。
男性もたくさん出てきます。
どの人もたいてい美男子と表現されており、
それだけですでに好感がもてますが笑、
みな愛すべき人物たちです。
ドロシーの人生に対する愛情が所々で表現されていて、
それだけで十分、私は幸福を感じることができるのでした。 -
サガンは沢山読んだけど、一番好きなのはこれ。台風の中家に閉じ込められるエピソードや中古のロールスを手入れするエピソードに死ぬほど惚れてました。嵐の夜が明けるシーンが好きで好きで!自分でも朗読して録音するほど好きだった・・・・いやあ、若いって怖いですね・・。
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愛には決まりきった形はない。 愛には決まりきった形はない。中年女性のドロシーは偶然、放浪している若者ルイスと出会う。彼は人生に対して希望などを持っていない根無し草だ。だけれども、彼はドロシーと出会ったことで人生に微かな喜びを見出す。ドロシーには愛する男性がいて、結婚もする予定だ。ルイスはその事実を知っていてもそれでもなお、ドロシーを愛している。ルイスはドロシーを独占するわけではない。ただ、一緒にいることによって幸せを感じることが出来るだけである。そのことを最後にはドロシーも、そのよき理解者である結婚相手のポールも、認める。不思議な三角関係と愛の話し。この本の原題はフランス語で「LE GARDE DE COEUR」で魂の護衛という意味である。ルイスはドロシーを護衛することによって彼の愛を表現している。それが行きすぎてしまい(この不思議な愛の過剰が物語りに深みと神秘性を与えているのだが)、ルイスは数々の事件を起こしてしまうが、それがこの物語の重要なポイントだと思う。サガンは「蹴りたい背中」の綿矢りさと同じ匂いがします。つかみがたい感情を視覚化(文章化)することに成功した作家。では。
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ルイスのビート族っぷりがすごい
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いつごろ読んだか? サガンの7作目
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いつものサガンかなと思ったけど
このお話はストーリーに動きがあるのでどんどん読めたし文章のうまさは安定でやっぱり面白い。 -
ああ、人が人生を愛するとき、人生がどんなに魅惑的であるか、私はいくら言っても言いたりない。日々の美しさ、夜のときめき、アルコールの、そして快楽の幻惑、愛情の激しい戦慄、仕事の興奮、健康、自分が生きていることを感じて目ざめるときの信じられないほどの幸福、自分の前に差し出された巨大な一日、この豊饒な時間のすべてを持つこと、睡眠が枕の上に私たちを再び死のポーズに凝固させるまで……。(p.55)
いったい人間たちと、彼らの最も内奥な欲望、つまり彼らの幸福への恐るべき意思とのあいだを常にへだてている壁は何なのだろう?それは、まさに彼らが心の中にいだく幸福のイメージなのではないだろうか。彼らはそれを心の中で育むので、彼らの生活はそれとは永久に相容れないものにしてしまうのではないか。(pp.73-74)
「でもね」と私は言った、「私に言わせれば、人はふつう、つきあいのある人間についていろんなことを知りすぎているわ、うんざりするくらい。その人がだれといっしょに住んでいるとか、なんで生計をたてているとか、だれと寝るとか、自分自身をどう思いたがっているかとか……とにかく知りすぎていますわ。すこしぐらい謎の部分があったほうが気持がやすまるんではないでしょうか?そうお思いになりません?」(pp.115-116) -
サガンはストーリーテラーだ。いわゆる純文学とは違っている。
人の感情をつかんで描くのが天才的で、それが我々にとっては荒唐無稽にもうつる話にリアリティーを与えている。
このむちゃくちゃな話をオブラートに、軽いがただ軽いだけの話にしていないのがすごい。
いやーやっぱり好きだなぁサガン。
この話は特に幸せだった。 -
サガンの作品はどれも短いし、何度でも読める本が多いです。サガンは魅力的な女性だったのだろうと思いますが、サガンの作品の何がいいのかと言われると難しい。
サガンらしいフランス的な言い回しや、美しい文章でしょうか。代表作と言えば「悲しみよこんにちは」で、作品としてはそっちが一番だと思いますが、物悲しい感じの「失われた横顔」も好きですし、本書にはどこかユーモラスで楽天的な感じがあり特に好きです。 -
美しい不能な男
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好きだった人にもらった本。
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純真無垢な心とでも言うんでしょうか。あんな無償の愛、捧げられてみたいです。まあ人を殺されるのは遠慮したいですけど。(笑)
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途中から、どう物語を着地させるのだろうと読み続けたが、タイトルの意味のわかる終わり方だった。
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ハリウッドを舞台に、魅力的な恋人を持つ中年女性が拾ってしまった美しい青年。轢きかけたルイスを数日介抱したことで、ドロシーに愛を抱いた彼は、彼女を悲しませる人を殺していく。やがてその美しさからハリウッドで成功を収めていくルイスだが、ポールと結婚しても尚ドロシーからは離れないのでした。
なんて粗筋はどうでもいい。相変わらずとにかく文章が美しすぎる。面白かった。 -
サガンは読んでいて心地よい。
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フランス人の恋愛感覚だから描けたもの。新しい関係であるし、許しあった優しい関係がそこにあった。愛って本当はこれ位軽くて、これ位優しいものかもしれない。読み終わった後に、朝吹登美子が何故、「優しい」関係と訳したのか解る気がする。
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ルイスのキャラクターが良いです。
荒唐無稽ではある。 -
7作目。
サガンもこういう作品を書くんですね。
私の好きな心理描写よりも、どちらかといえばミステリーやサスペンス色が濃くて、
そういう意味では早く続きが読みたくなる作品ではありますが、
好きか嫌いかを問われると難しいなぁ。
全作品「熱い恋」でも感じましたが
邦題が原題とかなりニュアンスが違うような気がして
非常に残念。 -
絶対的中性の存在として描かれる青年と、若いとは決して言えないが、恋愛を一通り経験してきた主人公の女性とそのフィアンセの三角関係をモチーフに描かれる人々の距離、幸せの尺度。3人の様々な幸せの形はお互いに干渉し合い物語を彩って行く。
青年のあり得ない設定が有りがちなモチーフを際立たせ物語を動かす鍵になっている。何か起こる度、そうあって欲しいだろう女性の願望を書き上げようとしているのかしら、と想像したりした。短絡的に恋愛小説とは決して言えず、人と人の距離感のようなものを描きたかっただろうと推察せざるを得なかった作品。
たとえ異性と距離がゼロになっても結ばれてはならない関係、青春で片付けられない大人の関係、設定の要素と物語のフラグの立ち方など計算されていてなぜか推理小説の様。しかし、その中でも距離感を描く要素や作者の恋愛観の様なものが素敵に思われました。 -
ルイス気持ち悪い。。。
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*ブログ感想あり*
http://blog.livedoor.jp/marine0312/archives/51575422.html
相変わらず読みやすく、優雅で、ちょっと楽しくちょっと哀しい恋愛物語
ルイスが「NANA」のシンのイメージ。すきです。
「人生は素敵」と繰り返す、主人公ドロシーも好き。
お元気ですか?レビューをお待ちしておりました!
それから、たくさんお気に入りマークをくださって、ありがとうござ...
お元気ですか?レビューをお待ちしておりました!
それから、たくさんお気に入りマークをくださって、ありがとうございます!
【何(どこ)に共感して好きだと思ったんだ】
↑ ぷぷぷっと吹いてしまいましたよ。
あるある、ありますよ、これは!
その頃の自分に「どこが良かったの?」って聞いてみたくなる作品。
私も昨年本棚から出てきた『悲しみよこんにちは』を読み返して、すごい脱力感に襲われましたもの(笑)。
反対に、再読すると改めて面白さに気づく本もありますよね。
かつての星3つが、星10個くらいになったり。
もしかして、私、成長した?なんて勘違いして喜んでます。
そういうことがもっともっと多いと良いのですが・・
九月猫さん、またぼちぼちと更新してくださいませ。
私も遅読ですから、ゆっくりで構いませんよ。
コメントありがとうございます。
「帰ってきた♪」感じがして嬉しいです~(*´ω`*)
本棚TOP...
コメントありがとうございます。
「帰ってきた♪」感じがして嬉しいです~(*´ω`*)
本棚TOPとプロフにお休みの旨は書いておりましたが、
ブクログは近況などのお知らせができないのが不便ですね。
お引っ越しでお休みしておりました。
2.5キロ弱の移動だったので、業者さんを頼まずに引っ越し敢行しましたら、
思った以上にいろんなことに時間と気力・体力を費やしてしまって。
ばたばた&くたくたの夏です。
荷解きはまだまだ終わっていないのですが、日常生活ができる程度には回復したので、
ようやくブクログにも復帰です。
あらためてこれからまたよろしくお願いします(*´з`)♡
>あるある、ありますよ、これは!
ありますよねー!よかった(笑)
本に賞味期限はない!が持論ですが、読んだ年齢やタイミングによって印象が変わることってありますよね。
新しい本や未読の本に目を奪われがちで、再読はつい後回し(そしてそのまま;)になっちゃいますが、
たまには懐かしい本をひもといて当時に思いを馳せるのもいいものだなぁと思いました。