あなたの呼吸が止まるまで

著者 :
  • 新潮社
3.11
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本棚登録 : 1375
感想 : 227
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103020325

感想・レビュー・書評

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  • 舞踏家の父と暮らす12歳の朔。父の周りの大人の中で過ごすことが多いために、大人びた少女に育っていた。

    主人公が暴力の被害者となり、その復讐をするストーリーということが分かっていたので、まだかまだかと待ちながら読んでいました。

    その出来事は、小学6年生にはトラウマになってしまうのでは、と、親心として心配になります。
    復讐することを対象に告げてしまったことで、復讐が妨げられるのではという心配も感じましたし、少々消化不良な感じでした。

  • 子供と大人の境目。佐倉の意図が分からない。
    朔ちゃんと鹿山さんと田島くんはどんな大人になっていくんだろう。

  • 少女時代を突然暴力的に終わらせられた女の子の復習の話。

    途中からなんとなく雲行きが怪しかったけど、やっぱりそうなった。小さい頃のそういう記憶ってほんと消えないよね。
    主人公がやたら大人びてたな。

  • 復讐、というわりにはやり方が弱い。

    思春期の子ども特有の、複雑で混沌としていて矛盾した感情の描き方が上手い。

    佐倉が不気味で、何を考えているのかよくわからなくて、ただただ気持ちが悪い。

  • 小学生の恋愛。

  • タイトルから大人の恋愛小説を勝手にイメージしてページをめくったら、主人公は小学6年生の「朔(さく)」という女の子。ちょっと意外な気持ちで読み進めた。子供の作文のようなですます調の文章。朔の不安定さがピークに達した時に現れたのは、白馬の王子様などではなくて、なんともいえず重苦しい気持ちになる。結局「あなた」とは誰のことなのだろう。

  • 今までの作品とは文体が異なるため、綿谷りさや金原ひとみに触発された賞狙いの一冊なのか(?)と読み始めは疑問に感じた。主人公の一人称視点の幼さを軽快に取り込んだ文体は非常に読み進めやすい。父親の仕事から知り合い、よく相手をしてくれたことから信頼していた年上の男性からの唐突な暴力により、皮肉にも父親の現状を見て自分も同じ二の舞になるだろうという予感を感じつつ諦めていた自身に内包している夢を現実へと昇華させる結果へと導いていくのだろう終り方は、非常に面白く読めた。

  • 物騒なタイトルに目を引かれて読んでみた。

    粘り気を感じるですます口調の語り口も物語の下り坂っぷりも良い感じなのですが、私が最後に全てが繋がる展開を好む人間だからか、この物語が少女の復讐であることを明示する帯を予め目にしてしまった時点で辿り着く先が何となく分かってしまって、(自分にとっての)面白さは半減してしまった。…ような気がする。
    帯を目にしないまま読んで「これを手に取った時点で知らず知らずのうちに私も朔の復讐の一旦を担っていたのか…!」という驚きを味わってみたかった。

  • 「舞踏家の父と暮らす12歳の少女、野宮朔。夢は、作家になること。一歩一歩、大人に近づいていく彼女を襲った、突然の暴力。そして、少女が選んだたった一つの復讐のかたち。」と帯にある。
    内容としては(ざっくりとしているが)その通りだが、鵜呑みにして"暴力"や"復讐"そういったドラマティックな面に溺れてしまうと、この本はつまらないんだろうなと思いました。

    島本理生の著作ほとんどにいえることですが、彼女らしい表現は確かに存在していて、性的暴力の話や(極端にいえば)ロリコンであったり、随所にいたる設定はありきたりでありながら、チープではない良さがありました。
    第二次性徴の女の子について詳しくは知らないですが、主人公の彼女(朔)にしても、出てくる登場人物にしても不安定さがつきまとい、しかしながらそれを少しずつ悦楽していく、そう見える。
    不安定…、朔が途中で思い描いた"善人"の意味───役に立つけど、嘘だって分かったら、途端になんの力もなくなって、逆にそれまで守っていた場所を好き勝手に荒らされちゃうところが───と先を暗示し、しかし不安定(佐倉さんとの展開)に飲み込まれてしまったり、男の子より少し自覚的に現実を帯び始めた女の子の格差から生まれる不安定に飲み込まれてしまったり。
    でも、その不安定が生み出す揺れに、何か期待してしまっている。

    …この本の世界観に大きく含まれる"不安定さ"を自覚的に感じていくにも、とても柔らかそうな文章でありながら、子供向けでもないんだろう一筋縄にいかないなと思いました。

  • 食えない舞踏家の娘とその父の知人の佐倉という男の話。
    あらすじを全く知らないが復讐ものだと思いながらさらっと読み終えた。
    少女の女な狡猾さが少し面白い。1番それが出たのが嫌悪感を抱きつつも好きだから切り捨てられたくないと頷くシーンかな。

    歪な論理でカタにはめる佐倉と、大人と子供、女と少女の間をやや無意識に横断し利用する子供、どちらともの卑怯さが一瞬交わりどんどん離れてく。

    それこそお父さんが恥ずかしげもなく言う魂を陵辱されてしまう朔は復讐を誓うけど、宣誓だけで復讐の半分以上は果たしてるね。俺には爽やかな読み味だった。読んで得も損もないけどひょっとしたら実話なのでは?と万が一を思わせられる仕掛けなのかな。

    鹿山さんがいいね。

    好きな大人たちに教えられた考え方がその子供のなかで正しい事になるというのはそうそう確かに、と思った。危うさだね。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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