あなたの呼吸が止まるまで

著者 :
  • 新潮社
3.11
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本棚登録 : 1375
感想 : 227
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  • Amazon.co.jp ・本 (187ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103020325

感想・レビュー・書評

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  • 誰でもいいから愛されたいって顔で、大人みたいな口を聞いて、可愛がられたいときには無防備に近づいてきて、それで今さら子供だからっていうのは卑怯じゃないか

    これは大人の言い分だ。でも、大人にならざる得なかった子どもには、振り払えない。

    怖いと同時に、きっとこの本自体が朔ちゃんの復讐だ。

  • 女子小学生の目線からみた大人の世界と日常。
    父子家庭の暮らしの中で出て行った母親への複雑な想いと迎える思春期へのとまどいのお話。

  • 主人公は野宮朔。12歳。
    両親は離婚して、大道具の仕事の傍ら、お金にはならないが、舞踏の活動に情熱をそそぐ父親と2人暮らし。
    家事をこなし、父の仕事場に顔を出すこともあって、大人の世界も少し、知っている。

    そこで出会ったのは、佐倉という31歳の男性。一風変わったところが多い父親の仕事仲間の中で彼は普通の人に見えた。


    朔は大人びていて、周りの大人がそこに甘えてしまうのも少しわかる。けど、彼女の言葉で綴られていくこの物語は、やはり、彼女が残酷なほど子供だということを示していく。


    物語の中に出てくる「シベールの日曜日」。見たことはないけれど美しい映画なのだろうな…と思った。でも本当はこんなにも生々しい。綺麗なだけのものなんてないのだ、と突きつけられた感じ。

    最初は、何もできなくても朔ちゃんの側についていてあげたいと思った。けれど、そんなのはいらなかった。
    彼女には、「私が好きなのは朔ちゃんだけ」という鹿山さんがいて、訳がわからないけど側にいてくれた田島くんがいて、頼りないけど朔のことを思う父がいて、そして、物語がある。
    大地に爪を立てるシーンがすごく好きでした。

  • ザラッとして居心地が悪い。
    島本さんの作品の中ではあまり好きではない部類。
    けど同じ男性とひとくくりにはできないくらい、朔の目から見た男性像にバリエーションのあるところが面白かった。

  • あの男の人が気持ち悪かった。

  • 寂しさに 付け込もうとする人間と寂しさに打ち勝たなければならない少女のお話。
    Neon Genesis EVANGELIONで加持さんがシンジ君へ溢した台詞が思い起こされた。
    「大人はさ、ずるいくらいが丁度いいんだ」
    本当にそうだと言わんばかりの人物達。無性に苛立ちを感じさせながらも、然し内側に秘める謎の熱と欲深さで他人を魅了してしまう人間。危うい筈なのに、つい背中を追ってしまいそうになる人間を島本氏は上手く表現してくれたなと思う。
    危うい橋を渡り切ってしまえば、その危うささえ唯の日常と化してしまう事実と、言葉を声に出してしまう事に恐れを抱いた瞬間と。涙が乾くまでの時間を何れ程待てばいいのか、空虚を唯々見詰めるしか術のない自分と。必死にもがく中、心の何処かで変に冷静な自分が居る事に気付いてしまう哀れさ。あなたの呼吸が止まるまで、きっと此の矛盾は溶けない儘「底」「其処」に在り続ける。

  • なんていうか、痛い。痛覚を刺激された感じ。いい意味か悪い意味か自分でもよくわからないのだけど、すごいものを読んでしまったという印象。本当、読んでいて呼吸が止まりそうになってしまった。

  • この本を読んで感じたのは人との距離の取り方って難しいなぁということ。
    徐々に混迷を深めてきて
    信じていた大人にドロドロとした現実を見せられるところは非常に心苦しかった。父親の不器用ながらも子を思う気持ちや友人に救われたけれど
    もやもやがいつまでも心にくすぶっているよう。
    朔ちゃんが
    背伸びして大人ぶっている姿から本当の大人に成長したときにどんな風になっているのかとっても気になる。恋愛に臆病になりませんように。

  • 朔のその後がとても気になる作品。たくさんの大人に囲まれて大人びていてもまだまだ子供で誰かに捨てられるのを極端に恐れているんだろうな。

  • うわぁー。
    もやもやした澱がたまっていく感じのお話。
    途中までは年の差恋愛もの?
    と思っていたけど、徐々に違和感が広がって朔ちゃんと一緒に過呼吸を起こしそうになった。
    あんなずるい大人はいるし、それに騙される子供も大人もいてる。

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著者プロフィール

1983年東京都生まれ。2001年「シルエット」で第44回群像新人文学賞優秀作を受賞。03年『リトル・バイ・リトル』で第25回野間文芸新人賞を受賞。15年『Red』で第21回島清恋愛文学賞を受賞。18年『ファーストラヴ』で第159回直木賞を受賞。その他の著書に『ナラタージュ』『アンダスタンド・メイビー』『七緒のために』『よだかの片想い』『2020年の恋人たち』『星のように離れて雨のように散った』など多数。

「2022年 『夜はおしまい』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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