- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103038320
感想・レビュー・書評
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ともすれば昼ドラに陥りがちの素材が、宮木さんの綺麗な文章にかかると品のいい切ない物語になってしまう。
その時代の出来事も折り込まれ、女性による戦争記のようでもある。短編集ととらえるより、ひとつの長編として読みたい。
戦前〜平成までの、男と時代に翻弄された4人の女。
それでも愛するただ1人を見つけたことで苦境を跳ねのけ己の足でそれぞれ生き抜いた。
きっとこういう話はその時代のあちこちに転がっていたのだろう。
つらい話であるのに何度も繰り返し読みたくなる、力をもらえる。
登場した男性の中では断トツに二階堂正文に惚れた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
素晴らしい。隠れたテーマが戦争に代表される日本の家父長制から逃れようと助け合うシスターフッドに涙を禁じえない。
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短編集で、『花宵道中』のように全部がちょっとずつリンクしてる。
宮木あや子さんの本が読みたくて読み始めたら、終戦間近〜終戦後のお話だった。
この時期にピッタリだと思った。(8月10日読了)
戦中、まだ女性の社会的立場が弱かった時代に、一人の男性を愛しながらも、結ばれない運命。
この時代には、現実にも沢山このようなことがあったのだろうと思うと、切なくなった。
千人針というものを始めて知って、電車の中のポスターで写真を見た。
女性は、弱くて健気で儚くて。
同時に強かで、切ない。 -
2010.08.04 図書館
宮木作品2冊目ー
08.05 読了 -
2010年7月29日読了。
戦前から戦後にかけての日本。さまざまな女性たちを描いた連作短編集。
菊代、雛代という年子姉妹の仲の悪さぶり、その描写がリアル。
それにしても女たちの強さにくらべ、男たちはみなヘタレだなあ・・・。 -
迷ったけれど時代劇カテゴリで。
相変わらずこの方の書かれるエロさは女性のためのエロさなので、ちょっと耽美な気分に浸りたいときはぴったりだ。 -
出版社 / 著者からの内容紹介
抱いて。ずっと忘れないように――戦中の日本で恋に命をかけた女たちを描く純愛ロマン。
昭和十九年、福岡県知事の屋敷に奉公にきた少女・千恵子。書生の政吉と恋に落ち初めて結ばれた途端、政吉は徴兵されてしまい……千恵子の波乱に満ちた人生を中心に、戦前・戦中・戦後の激動の日本で、それぞれの愛を貫き通した5人の女たちが織りなす恋物語。デビュー作『花宵道中』で圧倒的支持を得た著者による注目の最新作!
内容(「BOOK」データベースより)
昭和十九年、福岡県知事の屋敷に奉公にきた千恵子。華やかな博多の街、美しい令嬢・和江との友情、そして初めての恋。しかし戦争の足音は、千恵子のすぐ背後に迫っていた…千恵子の波乱に満ちた人生を縦糸として、激動の時代にそれぞれの愛を貫き通した五人の女たちが織りなす恋模様。戦前・戦中・戦後の日本で、恋に命をかけた女たちを描く純愛官能ロマン。第五回R‐18文学賞大賞受賞『花宵道中』の宮木あや子最新作。 -
2008.06.14
デビュー作『花宵道中』と似た雰囲気を持っていて、独特な感じ。今回の本は大正から現代にかけて、人物にそれぞれつながりを持たせた連作短編集でした。
はっとしたのは「乙女椿」で、高齢の主人公が、受け取った手紙を読んで過去を回想する話なのだけど……最初と最後だけ、「現在」が描写されています。それでふと、自分の祖父母にも(とはいえもう亡くなってはいるけど)、こういった若かりし時代があったんだと妙に生々しく実感したのです。
私にとって、ばあちゃんは生まれたときからばあちゃんだし、母さんは生まれたときから母さん。でも、ばあちゃんがばあちゃんではなかった時代も、母さんが母さんではなかった時代もあったんだよなあ……
さまざまな一人一人の「女の歴史」が、縄のようにより合わさって、未来へ続いていくのですね。
私としては、この『白蝶花』より『花宵道中』の方が面白かったですが。
さやかさんの表紙絵も素敵です。 -
連作短編集?
私はあんまり好きじゃなかったかも。 -
いくつかのストーリーが、微妙に絡み合っている物語。戦前から戦中にかけての、女たちの悲恋の話。愛し愛され、でも結ばれない悲しい時代。もう少し各話の女性主人公たちが深く絡み合うストーリーであってもよかったかもしれませんが、あの時代、そして現実の世界を見れば、この程度のさりげないすれ違いが真実なのかもしれません。最後、和江と千恵子は再開できたのでしょうか?