- Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103038320
感想・レビュー・書評
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大正末期から昭和20年代末頃までの、五人の女性たちが織りなす恋模様。『乙女椿』の登場人物、「和江」と「千恵子」が中心になって物語が創られている。官能的表現が強いものの、物語としては、純文学のようで面白かった。
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大正の終わりから昭和初期を生き抜いた女性の、報われない愛の物語。
江戸の遊郭の花魁の恋模様を描いた「花宵道中」と同じく、本当に愛しい人とは結ばれない運命にある女たちの連作になっています。
悲恋に身を焦がし時代に翻弄されていく姿は、とても女性的でした。
いまより自由恋愛が難しく女性の自立も難しかった時代背景に関わらず、こういう禁断の恋的なのってやっぱり心ときめく媚薬なんでしょうね。
それでも強く生き抜いて世代を繋いでゆくのは女なんですから。
温泉芸妓の菊代と雛代
妾として売られた泉美
女中の千恵子とお嬢様の和江
恋は儚くとも、そこから得た命は続いていくし
羨望も嫉妬も女の友情には欠かせないものなのですな。 -
時代背景と戦禍に翻弄されながら、自分を貫いた4人の女性の生き方が短編連作で綴られています。時代背景となる男尊女卑思想、貧困、身分の格差の抗えない理不尽や運不運が根底に流れています。自分の意志ではなく、妾・芸者・女中に身を落とした女性たち、そしてたまたま高貴な身分の家庭に生まれたものの親からの温かさを受け取れず、人を信頼できずに育った女性それぞれの哀しさに心が重なります。強い諦念や背徳感がありながらも、自分の情動を選んだ女性たちの選択に何か豊かさと強さを感じます。「花宵道中」と並んでこういう作品、好きです。
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読みやすかった。
短編だけれども、一話一話に出てくる登場人物が長い年月をかけて、再度登場します。
大正、昭和と戦争の混乱の中
生き抜く女性の話です。 -
花宵道中に比べてしまうと物足りないが、戦争中の話として乙女椿はとても読んでいて胸が締め付けられた。
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全く別の話かと思えば、ふんわり続きもの。
生き辛い時代を強かに生きた彼女たちの物語。
自分がこんなにも平和で贅沢な毎日を無駄遣いしている気になって少し苦しかった。 -
一気に読んでしまった。
序盤のような話が続くのかと思いきや、それぞれが別々の主人公で紡がれており、さらに少しづつ繋がっており、読めば読む程ぞくぞくした。どんどん時間が現代に近づく中で、自分の中でリアリティが増し、涙が止まらなくなった。
女性の生き方は、絶えず変化している。平成に生まれ平成に育っているわたしは、どう生きられるのか。生きるのか。宮木あや子作品、まだまだ読み続けたい。
2013.07.04 -
自分が愛する人と一緒になるのは、どんなに難しいことか。
抗うことのできない時代の中でも、女性の強く生きる姿がとても印象的にのこった。