村上海賊の娘 下

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (499ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103068839

感想・レビュー・書評

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  • 時代小説を4本執筆してうち2本が映画化と!これは素晴らしいことですよね。和田竜さんと言えばやはり野村萬斎さんの「のぼうの城」が頭に浮かぶが、2017年には「忍びの国」も嵐の大野君の主演で映画化されている。さすがにキャストを比べてしまうと格がまるで違うので購入は見送っているが本の無門と大野君がどうしてもかぶらないんですよね。

    「村上海賊の娘(上)(下)」

    さすがに水軍をテーマにした作品を映画化しても実際迫力を感じないように思える。上下巻でそれなりに長いのですが、本作は瞬殺!帰宅してから読み始め日が昇るころには2冊読破していました。村上水軍の村上武吉の娘の景が主人公なのだが、この圧倒的な武に愛された娘を演じる役者が今の日本にはいないと思う。

    話の舞台は第一次木津川口の戦い!信長が毛利水軍に手も足も出なかった闘いが舞台です。本当に引き込まれるいい作品です。

  • 分厚い上下巻の下巻。もう夢中です。
    敵味方にさまざまな人物が登場し、海戦ともなると入り乱れて大混戦を究めます。

    ヒロイン景は鶴姫に憧れていたという設定ですが、鶴姫は実際には存在しなかったと文中で書かれています。
    どこぞの姫が戦場に紛れ込んでいただけだそう。それは残念な話ですね。

    雑賀集を率いる孫市も登場します。空気を鋭く切るような迫力です。
    戦は孫市の活躍に終始するといってもいいくらい。

    木津川合戦の結果、負けた側にはそれぞれに制裁が下ります。毛利家は弱体化し、泉州侍は所領を離れ、能島村上家も真鍋家も海賊衆の身分ではなくなり、雑賀党は解体、大阪本願寺は焼け落ちました。毛利家も泉州侍も所領を離れています。

    歴史はシビアですが、この物語で描きたかったのは、戦の結果ではなくその戦い方。
    人々がいかに鮮やかに火花を散らしあったかを満喫できるかに、この物語の楽しみ方がかかっています。

    時代小説なのに登場人物が現代人のような喋り方をする箇所があり、違和感を感じましたが、映画化されたのぼうの城よりアクション色が強く、魅力的な様々な立場の人が登場します。
    クライマックスへの盛り上がりがすごく、読者はいやおうなく高揚しながら読んでいきます。

    史実の「村上海賊の娘」は、存在したということ以外には一切の記録が残っていないそう。それをこれほどの一大スペクタル長編に仕上げた歴史小説家としての著者の筆力を感じます。

    読みにくいところも随所にありましたが、全編を通してパワーに満ちており最後まで楽しめた一冊。納得の本屋大賞受賞作です。

  • 多彩な登場人物だが下巻になるとそれぞれに愛着が湧いてくる。読み終わるのがもったなくもあり早く終わりを見たい思いもあり。本屋大賞も納得(今更!)の作品でした。

  • 日本版マリアンヌというか民衆を率い自由のために戦ったフランスのヒロインの戦国時代版というようなお話和田竜氏の『村上海賊の娘』を読了。

    ドラクロアが描いた民衆を率いる自由の女神い描かれたマリアンヌのように主人公景(村上水軍の当主村上武吉の娘)は屍を乗り越え戦う様が克明に描かれた作品だ。

    もちろん戦闘シーンばかりではないのだが、下巻のほとんどを費やして描かれる村上水軍と泉州水軍の戦いは原題の戦闘シーンにはないまさしく肉弾戦そのもので、血や腕、首が数えきれないくらいに飛び交う小説だ。著者はもちろんエンターテインメント作家だからなにか高邁なことをテーマにしてはいないと思うし、ただ単にバトル(戦闘シーン)が好きなのでは。そう書いていたら2ヶ月ほど前にみたキアヌリーブス主演の『ジョン・ウイック2』を思い出した。笑っちゃうくらい銃をぶっ放し何百人と言う的をキアヌ演じるジョン・ウイックは倒して行くのだが、見る人によってはあのようなバトルシーンが壮快なのだろう。ああいうのがお好きな方はこの小説を楽しめるのでは。

    でも本屋大賞にも選ばれた作品なわけで、もちろん戦闘のお話ではなくて主人公景が女性でありながらも比較的自由奔放に生きる事を許され、彼女が自分がこうありたいと思った時に迷わずその思いに忠実に自分の生きる方向性を決め一所懸命生きる様を描く事により、ひとが自由に生きる事の難しさ、難しいが故の尊さのようなものをわずからながらも感じるひとがいるから授賞をしたのだろう。

    まあ僕は戦闘シーンは好きではないので、この小説をあまり多くのひとに勧めたいとは思わなかったが。

    この週末、よく描かれる関ヶ原のような地上の合戦ではなく、海を知り尽くした人たちだからこそ出来た海上での壮絶な戦いを描いた作品を読むBGMに選んだのは大西順子トリオの"Cruisin'"。最近の復活が嬉しい。
    https://www.youtube.com/watch?v=HrF8dODjoTI

  • 下巻後半は、ワンピースを読んでいるような印象が…

  • 最初は景の馬鹿さ加減にびっくりしたけど、最後はシンプルに深く考える思考に共感。
    気性の荒い泉州海賊の俳味たっぷりな生き方もかっこいいと思った。
    お父を目の前で喪った次郎の悲しみを思うと一瞬胸が詰まったが、死に様こそ愛する息子への最後の贈り物。小林麻央さんを彷彿とさせられた。
    久々に活字から目が離せなくなり、一気に読んでしまった。やはり時代ものはいいね!

  • 久しぶりの読書、のぼうの城の時と同じく一気に読んでしまった。

  • とにかく面白い。上巻でキャラクターをたっぷり描いていることもあって、下巻の怒涛の展開がすんなり入ってくる。すんなりどころか頭に激闘の映像がすごいスピードで流れていく感じでビュンビュン読める。時代物小説というかもはや漫画だなとおもった。願わくば藤田和日郎先生(うしおととらの作者)に描いて欲しい。
    戦術的な面白さもあって、男同士のバトルの面白さもあって、主人公の景の真っ直ぐな強さもあって、色々なものが余ることなくきっちり描かれている。間違いない傑作。

  • 「結局はただの女の子」で終わって非常にがっかりした上巻、景が「本当の海賊」になることでそれ以上のカタルシスを覚えた下巻、でした。個人的には上巻後半の景に対する(多分七五三兵衛が感じていたものにすごく近い)イライラがあったからこその下巻の爽快感と感慨だったので、そこまで計算して書いてあの部分で上下巻に分けていたのだとしたらこの作家さんものすごいな…!と(思いつつ、上下セットで買ってて本当によかったと思わざるを得ない。上巻だけ買ってむかむかして放りだしていたらと思うと割とぞっとする。)

    景と某海賊の最後の闘いもよかったです。いくら成長したとはいえ明確に男女としても海賊としても力量差がある中で、ご都合主義と言われればそれまでだけど、それでも完全な実力勝ちではなくハンデと幸運に恵まれて一瞬のチャンスを逃さず掴み取った勝利、というところに逆に好感を覚えた。
    極めつけはラストシーン。無邪気に、そして野蛮に笑う景の姿が浮かんでひたすらに爽快。

    文書を引用するかたちで話が進むので、まるで実際に景という人物が過去に存在していたような錯覚に陥ってしまう。これほど架空の人物であることを勿体ないと思ったキャラクターは久しぶりだった。これだから時代小説は罪深いよー。

  • 期待しての下巻。

    上巻よりもおもしろい!
    ただ戦いが長すぎる。
    半分ぐらいの描写で締めてくれていたらもっと面白く感じたかもしれない。

    ちょっと残念でした。

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