人を殺すとはどういうことか: 長期LB級刑務所・殺人犯の告白

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 53
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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103136316

感想・レビュー・書評

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  • 図書館で借りた本。2件の殺人で無期懲役の判決で服役中の著書自身の事や他の囚人達の様子をレポートしたノンフィクション。とても読みやすい本だった。著書は神童と呼ばれた程、勉強ができた人らしく月100冊を読了でき知識量も豊富な知性を持つ。それは文章にも表れている。厳しい父親の影響で約束事の厳守や腕力的にも強い男になるよう徹底された躾。筋を通す生き方ゆえの殺人を犯し、その事についての贖罪はある刑務官との出会いで芽生えていった。他の囚人達については幼女強姦殺人、放火、強盗殺人などいるが倫理観や共感性が無い自己中心の人間ばかりで反省もしない。更生不可の人間が多数でその中でも筋を通した仁義の世界の殺人をしたというヤクザを2名紹介している。そのヤクザの器量が大きい人物像が垣間見れた。

  • 「人を殺すとはどういうことか」ということは最後まで分からなかった。分かったのは筆者の知能指数はかなり高いこと、他の受刑者とは違いしっかり贖罪の気持ちを持って刑務所生活を送っているらしいこと、父親の育て方・正義感を絶対的なものと病的に信じていること、受刑者にも色々なタイプがいるということ。父親の教えのとおり、約束したことや契約を守れない人は許せないと言いながら、不倫した上に、子供を作る気が無かったと言いながら4回も中絶させた件は、「え?矛盾してない?」という感じでした。

  • 本書は、2件の殺人を行い、無期懲役刑の受刑者が執筆したものです。なんとも言えない読後感です。

  • 一気に読み、うーんと考える。
    罰と反省って、因果関係があるのだろうか? 
    罪に問い、罰を与えたから反省するってことがありえるんだろうか? 子供にやっていいことと悪いことを教えるために叱るのとはわけが違うのだ。

    少なくともこの本に出てくる獣みたいな殺人者たちは、刑務所に入れられたことは反省しても、人を殺したことは反省していない。著者ですら、収監されたから反省したわけではない。そのための時間は与えられたが。
    しかも反省していない殺人者たちは反省したふりをして仮出所を狙い、反省した著者は反省したがゆえに刑務所で一生を終えるつもりでいる。
    ぼくは刑務所は必要だと思うが、それは単にこういう人間もどきを隔離して、それ以上の悪さをさせないための施設として必要だと思う。

    気が滅入った。

  • 2件の殺人で服役中の無期懲役囚の著書。
    自身も殺人犯でありながら、他の服役囚の話しを客観的に分析しているのが興味深いです。
    服役囚の多くが倫理観が欠落し、「被害者があんなところにいるのが悪い、おかげで何年も刑務所にはいらなければならず、こっちも被害者だ」というような、自分の欲望しか頭にないとう話を読むと、恐ろしくなる。しかも、そういう人達が反省も後悔も罪の意識すらないままに、再び社会に出てくるのだから、刑務所ってなんなんだ…と思わずにいられません。

    著者自身は、そのような囚人達とは異なり、自省し学習し贖罪について深く考えています。著者は、頭がいいというか知能が高く、知識も豊富で、物事を深く考えることのできる方という印象です。殺人犯にならずに今の心境に辿り着けたならどんなにか良かったでしょうに。
    著者は毎月100冊の本を読み、管理者を通してブログも書いています。書評のブログのようですね。
    殺人犯、服役囚…といえば、恐ろしい・関わりたくない人、と思って来ましたが、今はこの著者の別の著作も読みたいと思っています。

  • 養護施設への支援を続けてきているような著者がなぜ二度の殺人に至ったかということを自己分析しながら書いており読みごたえがある。残りの部分は他の受刑者について書かれていて、更生の可能性が非常に少ない旨が述べられている。「累犯障害者」でも指摘されていた受刑者のIQが慨して高くないことにも少し触れられていた。現在の更生システムが機能してないのが指摘の通りでも、それをなんとかしようという仕組みがこの国にはない気がする。海外のことは調べていないが、よい方法を見つけ出している国はあるのだろうか。

  • 描いてるお話の参考資料にと思って図書館で借りてきました。
    興味深くはあるがおもしろいとは言えない。
    著者がちょいちょい難しい言葉知ってて、なんか想像と違った。

    殺人犯の肖像読んでて思ったのが、
    こういう精神状態の人って結構身近にいるんじゃないかな、と。
    働いてるとき、よくこんな感じの人たち来てた気がする。
    あくまで偏見ですけど…言動が近い
    (もちろん私は堅気の仕事ですよ)
    怖くなった

  • リアリティとしては深くないが、人柄にとても興味をそそられて一気読み。
    作者がいわゆる天才気質で、その考え方の偏り加減がはげしい。

  • 2件の殺人を犯し服役中の著者。

    好き嫌いが分かれるテーマだが、

    「人を殺す人とはどんな人でどんな心理なのか。」を知ることができる一冊。

  • 二流小説家 という作品を読んで犯罪者の心理に興味を持った。
    塀の中の生活はもちろん、服役している他の様々な犯罪者にインタビューしているのが興味深い。

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著者プロフィール

美達大和
1959年生まれ。無期懲役囚。現在、刑期10年以上かつ犯罪傾向の進んだ者のみが収容される「LB級刑務所」で仮釈放を放棄して服役中。罪状は2件の殺人。ノンフィクションの著書に『刑務所で死ぬということ』(小社刊)のほか、『人を殺すとはどういうことか』(新潮文庫)、『死刑絶対肯定論』(新潮新書)、『ドキュメント長期刑務所』(河出書房新社)、『私はなぜ刑務所を出ないのか』(扶桑社)、小説に『夢の国』(朝日新聞出版)、『塀の中の運動会』(バジリコ)がある。また「無期懲役囚、美達大和のブックレビュー」をブログにて連載中。http://blog.livedoor.jp/mitatsuyamato/

「2022年 『獄中の思索者 殺人犯が罪に向き合うとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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