人を殺すとはどういうことか: 長期LB級刑務所・殺人犯の告白

著者 :
  • 新潮社
3.51
  • (15)
  • (48)
  • (38)
  • (11)
  • (4)
本棚登録 : 313
感想 : 53
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103136316

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • いずれ新潮文庫版が出るか

  • 装幀:新潮社装幀室

    刑務所に入っている人=罪を犯したことを反省している、ではないことだということが分かった。
    信じたくはないのだけれど、これが現実。
    ふっと『Lifers』という映画を思い出した。
    アメリカにおける犯罪者の更正プログラム。
    日本の刑期を決めてその間刑務所に閉じ込める、だけではなくもう一歩踏み込んだ「何か」が必要な時期に来ているのかもしれない。

  • 知能も高く地位も収入もありながら、自分勝手な理由だけで人を殺して無期懲役に服する著者に、尊敬も同情もできないけれど、真摯に語られる言葉の数々は傾聴に値すると思う。

    著者と同様の刑に服する囚人達の歪んだ人間性と反省の無さを知るにつれ、やはり死刑は必要だと思わざるをえない。少なくとも著者が提案する「執行猶予付きの死刑」は有効ではないだろうか。

  • 読み応えがありました。

  • 実際に2件の殺人事件をおこして服役中の人間が獄中から殺人犯の心境を書いてます。 
    作者は自分でも言うように知能が高くてクールで論理的な人間やと思いますがこれを読むとやっぱり常人とは違うと感じます。
    いろんな殺人者が出てきますがこれを読む限りにおいては日本の刑務所は犯罪者が更正する施設としては機能してないようです。
    なんと言っていいかよくわかりませんが良い悪い関係なしで興味深く読めました。

  • 著者は2つの殺人を犯し、無期懲役刑に服している。
    「一番以外は無、約束は最後まで貫徹」とする強烈な個性の父親の元での育成は、天才的な知能と冷徹さのゆがんだ価値観を持つ人格となり、命を奪っても約束をまもれなかったのだから・・と罪の意識はない。

    しかし、公判中に(それまで彼は有能で常に孤高のトップであり、対等にコミュニケーションするということを体験していなかったのだが・・)被害者の母親の心情を思いやる心が突然芽生え弁護士らとの交流から人間らしい反省や心遣いが生まれる・・といった前半が自分自身の話。まるで任侠ものの映画の中の話のようだ。

    成金の贅沢な暮らし、母の家出で家族崩壊、小学生で自分の給食費を捻出するほどに生活力旺盛というか知能優秀・・。金儲けも上手いが冷徹・・。

    後半は殺人犯ばかりの刑務所で見た受刑囚たちの観察記。

    ほとんどの受刑者は罪の意識などない反省や更生も無理と思える人が多いが、中には畏敬の念を覚えるヤクザもいる。

    本当に人間とはさまざまな諸相を帯びた生き物であるし、その成育歴や環境が人を作っていることがわかり、肌寒い思いになる。これから社会はますます悪人ランドの気配が濃厚になりそうだ。

    タイトルの「人を殺すとはどういうことか」ということより、「人を殺した人はどんな人たちなのか」ではなかろうか。

    社会で豪奢な生活をしてきた人が、堀の中でつかのまに感じる幸福感は、支給される小さなケーキのおいしさとか、とてもシンプルなものだというところにはホッとしたが、強烈な書であることは間違いない。

  • 長期刑で服役中の殺人犯が、自分について、また同房の囚人たちについて、その犯歴や性格等について述べた物。著者、ものすごく勉強していて、博識だし、きっと知能も高い人なのだろう。最初、まるっきりフィクション(殺人犯を装って誰かが書いた物)なのかとちょっと疑ったけれど、最後まで読んだ限りでは、どうもそうではなさそう。うーん・・・。観察眼や批評力になるほどと思うところもあり、勉強になります、という感じのところもあるのだが、ちょっとズレてるんじゃないか???と思うところもあり。その「ズレ」が殺人犯ゆえなのか、ただ個性なのか、何とも言えない。総じて、びみょーな読後感。いずれにしろ、人が人を裁くのは難しいねぇ・・・。私はきっと、誰も裁かず、誰にも裁かれず、ひとりぽっちでやっていく道をよかれあしかれ選んでしまうのだろうなぁ・・・(と、これもこの本の感想としてはズレまくりと思うけど)。

  • 人を殺してしまう心理に興味があって読んだ。
    気質とヤクザなど立場の違いはあるが、長期囚の実際の姿を知ることができるという点では
    とても参考になった。
    殺人犯への矯正の在り方についても考えさせられる。

  • 現在自らも服役中の身である著者ならではの、受刑者たちの生の声。
    被害者が望む「罪の償い方」と、加害者が認識しているそれとのズレが甚だしい。
    これでは何の為の刑務所なのか、何の為に刑に処しているのか・・・読んでいてむなしくなった。

  • 「優秀なやつ人を簡単に断」

全53件中 31 - 40件を表示

著者プロフィール

美達大和
1959年生まれ。無期懲役囚。現在、刑期10年以上かつ犯罪傾向の進んだ者のみが収容される「LB級刑務所」で仮釈放を放棄して服役中。罪状は2件の殺人。ノンフィクションの著書に『刑務所で死ぬということ』(小社刊)のほか、『人を殺すとはどういうことか』(新潮文庫)、『死刑絶対肯定論』(新潮新書)、『ドキュメント長期刑務所』(河出書房新社)、『私はなぜ刑務所を出ないのか』(扶桑社)、小説に『夢の国』(朝日新聞出版)、『塀の中の運動会』(バジリコ)がある。また「無期懲役囚、美達大和のブックレビュー」をブログにて連載中。http://blog.livedoor.jp/mitatsuyamato/

「2022年 『獄中の思索者 殺人犯が罪に向き合うとき』 で使われていた紹介文から引用しています。」

美達大和の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×