- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103136316
感想・レビュー・書評
-
ロングのB級の刑務所って知ってます?オイラは初めて知りました。
LB級刑務所──そこは、受刑者の半数が殺人犯。刑期8年以上の犯罪傾向が進んだ者のみが収容されるところなんだって。
著者は、自らに絶対的確信を抱いて冷徹に二人の人間を殺した男。殺すことに全く疑問を持たなかった人物。そして、収監された刑務所で、全く反省しない同囚たちに囲まれながら、自分の罪とどう向き合ったのか?
この著者はまちがいなく頭がよいのだと思う。
知能抜群ですよ。
しかし、彼には社会とのツナガリより、自分の信念に正直であるべきだという価値観が優先しているんだよね。それが2件もの殺人を犯すきっかけとなった。
彼にとって信念とは、つまり、父親なんだ。
父親からの影響が彼を殺人へとイザナウんだなぁ。
しかも、いまだに彼はそんな父親を愛しているんだ。すでに他界しているにもかかわらず。
これって、ショック。そんな人、いるんだね。
この本の記述の中に時々難解な用語が出てくるのは、ちょいと行き過ぎかもね。青臭い。
この本の後半には、同じ刑務所にいる囚人の話が出てくるが、飛びぬけて優れたやくざの幹部たちを除いては、どれも救われないヒトビトです。こういう人、職場にもいるよね。
おすすめ度は5点中、4点。なかなか読み応えありますが、ここまでオイラは強くなれないかなぁ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人を殺すとは?
償いとは?
人間とは?
偏りのある意見かもしれないが読む価値はある。
衝撃的だがおもろしろい。 -
(図書館)
人の本当の姿とは
人はそれぞれ色々な顔を持つ。
職場での顔、親としての顔、友人の前での顔、
愛する人の前での顔、などなど
それらは本人が意識して見せている場合と
無意識で切り替わる場合とある。
犯罪者もしかり、刑務所内では早く仮出所の
権利を得たいがために表面上だけ優等生を演じる者が
大勢いるらしい。
そんな囚人達を見て反省しているかどうかを判断することが
果たして可能なのだろうか。
ましてや裁判所において、判決が反省のあるなしで
影響を受けると言うのは果たして正しいのだろうか。
当の原告、被害者が許す、許さないというのを
加害者の態度である程度判決に影響及ぼすというのは
まだ少しは分かるが。
話は戻るが、人の本当の姿は他人が見て簡単には
分からないのではないかと思われる。
そもそも自分でも自分の姿が分からないのだから。
本書において作者は自分が起こした事件の遺族に配慮して
正体を明かさないようにしているそうだが
そうしていることでそもそも本書で記載している囚人の実態の
信憑性が弱まってしまっている。
逆に作者は自分自身の存在から事件の反省をも
本当のところはどうであるのかを読者に分からなくさせることで
人の本当の姿は簡単には分からないということを示し
煙に巻いてみせているのかもしれない。 -
実際に殺人を犯し、無期懲役囚である著者が自分について、事件について、そして囚人について書いている、という点で非常に興味深く、また故に貴重な本であると思う。
-
あまりにストレートな題名で手に取りづらい。表紙も怖い。それでも違う世界を知り刺激を受けた。自分にとっては読む価値があった貴重な1冊だけれど★をつけるのに困った。著者は無期懲役囚。前半は自分の成育から経歴、そして刑務所に入るまでの部分。こちらは先に読んだ小説「夢の国」の主人公の息子が著者であり、小説が自伝的であったので了解していた。それでも改めて特異な半生にうなる。刑務所での著者は多くの本を読み、まじめに作業に励み、何より罪について償いについて、生きること、死ぬこと、被害者について、遺族について深く考え続けている。知的能力が飛び抜けて高いのは本当だろう。本当の反省、償い、贖罪とは何なのかを考える時に、他の人はこの問題にどう向き合っているのか、本音を聞きたかったのが動機となって、仲間を観察したり質問や話をして他の12人もの受刑囚について分析したのが後半の部分になる。この告白・分析が読みごたえがあり、空恐ろしさでぶるっとした。長期刑に服している受刑囚の倫理観の欠如に驚く。人のことを全く考えない人間というものが実際に世の中に存在するのだ。100%でないがほとんどのLB級刑務所の受刑者に人間として大事なものを欠いているという。偏見を持ってはいけないと思うが、人は誰しも良心を持っていると思っていた自分の考えは改めようと思った。見た目ではわからないという。人間についてよくよく考えさせられる1冊だった。
-
そこらへんの小説家よりもモノを知り、頭が良いんだなと思える殺人者が2件の殺人、獄中の様子、心情を書いたノンフィクション作品ですが、これは賛否両論あるでしょう。被害者の気持ちを考えるととても読めるものじゃないですし、一般的な生活をしているような人にはわからない殺人を犯した加害者の心情を読むなんて。読み終えても悶々とするし、そこで形に残るような理解はないけれど、殺人は何も生まないし、死刑はあってもいいんじゃないかと考えた。まだまだ浅いので今後熟慮したい。
-
5冊目/100冊
反省をしない犯罪者はどうすればいいものか… -
話が通用する、比較的反省のある人に偏ってしまったと著者が綴っているがそれでも十分今の刑務所の状況とかどういう風に罪の意識を感じているのかが細かく書かれており興味深かった。
-
本文中で著者が述べているように,かなり偏ったサンプル・見方かもしれないし,著者本人にもかなりの偏りを感じるところはある。それでも,実際の殺人者から見た,殺人犯の分析というのもなかなか面白い。
-
・二件の殺人を犯したと言う無期懲役囚が刑務所内で執筆したという本。
・著者は確かに頭脳明晰で、垣間見える知識なんかも本で覚えた俄知識のレベルをはるかに超えてる。こう言う人間が疑い無く殺人を犯したって事そのものが興味深い。
・人を殺すと言うのがどう言うことが か、と言うよりも、人を殺してしまったらその後人間はどうなるのか、と言う内容に近い。本人がどう反省や後悔を深めていったのかと、刑務所内の他の殺人者がどう感じているかについて書かれてる。
・人を殺すような人間には何かが欠けてたり異なったりするだろう、と言うのが一般のイメージだけど、それをはるかに超えた殺人者達の姿には驚くばかり。
・刑務所の矯正機関としてのシステムに不安を感じる内容でもあった。
(八王子図書館にて借る)