- Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103311911
感想・レビュー・書評
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人生の節目と「食」を絡めた7つの短編集。全体的に切なさが漂います。さらりと読めて、グッとくるシーンも確かにあったのだけれども、全体的に物足りなかった。豚バラご飯、お味噌汁のお話が良かったです。
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運命の料理とそれにまつわる想いを描いた7つの物語。
本当に自分の舌で味わっているように感じるくらい、料理の描写が巧い。その料理と物語とが絡み合うことで登場人物たちのエピソードを印象深いものにしていた。恋人と店で食事している時にプロポーズした、という話でも、亡くなった父がよく通っていた店で必ず注文していたぶたばら飯を恋人と食べて、父の遺言通りこの店の味が分かる人であると認めた上で結婚相手に決めた、と「ぶたばら飯」が物語の鍵を握る料理になっている。物語に出てきた料理は登場人物にとって思い入れのある大切なものであり、料理の描写の細かさはそのまま登場人物たちの料理への思いの深さにつながっていると感じた。
7つの物語全てが、まるでできたての料理に立ち上る湯気のように温かな雰囲気に包まれていて、ほっこりした気分になれた。 -
食を人生の節目にからめた短編集。さらりと一時間弱で読めた。
それぞれのお話の鍵となる料理は、どれも目に見えいい匂いがするような細やかな描写。食べることを大事にしてる作者の思い入れを感じる。
物語として沁みたのは半々。おみそ汁の父娘…というより、母親の匂いが漂う父娘の別れには思わず涙。
豚の愛人@パリの話は、比喩なの?ファンタジーなの?と思いながら最後まで読んでもはまらず。メニューが非日常的なのも大きいかな。 -
食にまつわる小川さんらしい短編集。痴呆のおばあちゃんが食べたがっていたかき氷の話やプロポーズのきっかけになったぶたばら飯の話、亡くなったお母さんに教え込まれた毎日作っていたみそ汁を嫁入りの日にお父さんに最後作る話など。人それぞれ思い入れのある食べ物があるだろうけど、ここでは優しく体に染みこむよう描かれている。それてしても、小川さんの食にたいする愛情のようなものと知識って凄いと思う。
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食と結びついたお話にせつなさと温かさがプラスされて、じんわりと心に沁みました。
お料理って、何かしら思い出とつながっているんだなって改めて感じました。 -
あっという間に読み終わり。食べ物にまつわる短編集。お味噌汁のお話がどうにも「はなちゃんのみそ汁」と重なって…。
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ポルクの晩餐が異質で面白かった
男の人がポルクだけ殺して売り飛ばすという展開を予想していたら全くそんなことはなく、この本全体に漂ってるハッピーな感じは保たれていた
自分の汚い発想が恥ずかしくなった -
『あつあつを召し上がれ』とか言っておきながら
1つ目の話がかき氷なのが笑った。
かき氷・ハートコロリット・ポルクは
個人的に微妙な感じがしたけれど他は良かった。
ぶたばらのこれから幸せそうな予感や
松茸の最後のあたりのなんとも言い難い感じや
こーちゃんのすてきな父娘関係や
きりたんぽの笑って終わるところや。
すべてがなんだかほんわりやさしい。
ほんわり。
そう、まるで湯気が見えてきそうなんだ。 -
『食』にまつわる短編集。
作者が本当に食事を、それも高級というのではなく丁寧につくられたものを大切にしていることが伝わってくる。
描かれる食事はどれも香りや湯気まで感じられてとてもおいしそうだ。
人生の様々な場面での食事。
幸せな時ばかりではないけれど、食べることができればまた前に進んでいける。
毎日毎日食事の支度をして、休日お昼を食べたとたん「今日の夕飯何?」なんて聞かれるとムッとしたりすることもあるけれど、こんな本を読むと「さて、また頑張るか」と思えたりする。
時においしいお店での外食も幸せだしね。