とうへんぼくで、ばかったれ

著者 :
  • 新潮社
3.29
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本棚登録 : 333
感想 : 67
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  • Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103323419

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。

    妙にあっさりとした文体なので、
    普通だったらちょっとぞわっとするような気もする。

    吉田が可愛く思えたよ。
    がんばれーって応援したくなる。
    そして榎又お前さーって説教したくなるような。
    こういう物語で主人公を応援したい気持になることが稀なので、
    その感覚は面白くて、おぉ、わりと入り込んじゃってるなって思った。

    深刻になりすぎない文体なのに、
    もやもやしたり悲しかったり投げ出したくなったりする。
    その感覚がちゃんと伝わってきて不思議だった。
    ぐいぐいに押しつけるようなものではなくて、
    そういったマイナスの気持ちにそっと寄り添われているような感じ。

  • 内容紹介を読んで、私が好きなタイプの作品臭が漂っていましたが、まさにストライクゾーンでした。
    吉田(ヒロイン)は好きになったエノマタさんを付けまわし、挙句の果てには上京して偶然を装い、交際をスタートさせる。
    これはまださわりの部分。
    後半はえっ? と思うような展開でした。
    今時の20代女子と40代男子がリアルに描かれており、ラストはうん、確かにこんな感じかもなあ、と思った。
    あと、吉田の友人前田との会話が面白かった。

  • ちょっと変な、でも、よく考えたら、どこにでもいそうな女の子とおじさんの話。著者は読者を先へ先へと引っ張って、どんどん読ませるのがうまい。どの作品でもそうだ。あっけなく全部読み切ってふと閉じた表紙のタイトルが、しみじみしみる。楽しめた一冊。

  • いやあ、なかなか面白かったですよ。身につまされるというか。
    女って本当に現実主義者なのだなぁ、と(笑)。妄想している時も、単にロマンティックな空想ではなく、現実のデータに基づいて検証しているからね(笑)。

  • ありがちなお話かな。

    しかしながら、
    すいすい読めました。

    登場人物のキャラクターが
    なかなか良いと思うので、
    ドラマ向きなのかなぁと、
    なんとなく思いました。

  • 【42歳枯れ草系男性と23歳ストーカー系女子の恋】って感じ。草食系なら草食ってても生き物だけどもはや植物しかもからっからに枯れてるみたいな。もうさ〜吉田ちゃんの乙女心が切なくてさぁ〜行動はストーカー的でもさ〜。でもエノマタさんみたいな男性って今ゴロゴロしてるんだろうな。これじゃ結婚しない人が増えるわけだよ。

  • こんなだったっけ?朝倉かすみ
    直視できないイタサ加減の登場人物はいなくて、
    みんな節度ある個性を持って暮らしてる。
    そいで主人公の好きになった男。この男が全く煮え切らない。
    好きになった相手が、こんな風に「あなた次第たですよ、この恋は」みたいな柳に風な人だったら
    やり場のない感情は、やがて諦めに変換してくしかないっしょ
    なるほど 「とうへんぼくでばかったれ」やわ!!
    でも、もしかしたらまだこの先があるのかしら…なんてほのかな希望の終わり方ではないですかしら?

  • おもしろかった。42歳独身男性のエノマタさんにひとめ惚れし、エノマタさんが上京すると聞き付け自分もいっしょに上京してしまう、とか、エノマタさんの生活情報を洗い出すためにエノマタさんの周辺をうろつく、とか。普通に考えたらストーカーだし怖いもの以外のなにものでないのだけど、この作者の文章だとなんとなくゆるーっとした感じになる。
    吉田が追いつづけていたエノマタさんと、吉田が感じることのできるようになった生身のエノマタさんのギャップの生々しさがすさまじい。だれしも自分の知らないひとに対して、そのひとというイメージを勝手に作り上げてしまうことはよくあるけども。生身に触れてしまうと、気持ちがいい方向にも悪い方向にも向かってしまうよね。
    吉田が自分のことを客観視しているのもおもしろい。よくよく考えたら、自分はおかしいのだということがわかっていながらとまらない欲求。人間だれしもそんなのありますよね。
    吉田と前田の関係性もよかったし、吉田とりえぽんの関係性もあるなあと思ってしまう。身につまされることがたくさんあったけども、普通はなんかいやな感じがするのにこの作品ではなんだかさわやかな気分になった。

    (220P)

  • 連絡短編です。登場人物はみなどこかしら「へもい」感じがあります。
    でも圧巻はやはりタイトルにもなった「とうへんぼくでばかったれ」なあの人でしょうね。でもこんな男性、今はうじゃうじゃいるんじゃないでしょうか。

    さすがに好きな人を追いかけるために引越しまでするストーカーは稀かとは思いますが、好きになった人をよく知らないうちは、どこかしらこんな要素はみなさんおもちなのではないでしょうか。と私はここに出て来るストーカーさんを不気味には思えなかったのですが、少数派でしょうかね?

  • もっとトキメク感があってもいいはずなのに、そんな気分にはならず、不思議なテンポが可笑しい。
    片思い期間の長いあこがれの人って、ちょっと違うな、ってところが目についたら瞬間冷めそう。苦いなあ。

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著者プロフィール

1960 年生まれ。北海道出身。04 年「肝、焼ける」で第72 回小説現代新人賞、09 年「田村はまだか」で第30 回吉川英治文学新人賞、19 年「平場の月」で第35 回山本周五郎賞受賞。

「2021年 『ぼくは朝日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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