- Amazon.co.jp ・本 (220ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103323419
感想・レビュー・書評
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「夫婦一年生」を読みきれず、苦手意識のある朝倉作品。
でも、おもしろかった。
吉田と前田の会話シーンが、どうしても西加奈子さんの「炎上する君」の二人と重なってしまった(笑)
登場人物がみんないい味。エノマタさんだけがふにゃふにゃしててイライラさせられるー(笑)
この先どうなるのかが、おもしろい作品。 -
23歳の女の子が40男に一目惚れし、彼を追いかけて札幌から東京へ・・・。
彼女の行動力は、とにかく凄まじい。
けど、自分のことをちゃんと解っていての行動だから、安心して読むことが出来た(笑)
それに引き換え、エノマタさんの『とうへんぼくで、ばかったれ』ぶりが鼻に付く。(でも、そこが彼の魅力でもあるのかな?)
人間って、皆どこかいびつに出来ていて、だからこそ面白いのかもしれないと思った。 -
札幌のデパートに勤務する吉田、23歳生娘は中年の男性に一目ぼれ。あとはまっしぐらにすすみ、張り込み、尾行と地道な活動で情報収集をし、やがて男を追いかけ上京。ストーカーと思われる行動だけど、”会いたい””知りたい””欲しい”で胸がいっぱいになり、どうにか彼に気づいてもらえるように努力する。
上記のような要約を読んで、読み始めたかけど、終わりは・・・期待はずれな感じ。こんな男性いるな~・・・と思うような話。 -
舞台の一つが札幌で,これはお馴染み・・・もう一つは学習院下で,別の意味でお馴染み~札幌の広告代理店が倒産し,伝手で東京に出てきたエノマタタツヤは教育文化センターに勤めているが,職場ではセクシーさを感じないと小母ちゃんから弄られる42歳だ。短大を出てデパートに契約社員として勤めていた吉田は,ポスター撮影の一員となり,代理店から来たエノマタに一目惚れした。東京に出たことを聞いて,23歳で東京に暮らし始め,ストーカーを始めた。アルバイトに入ったルノアールで思いがけず再会し,図書を借りる口実で喫茶室に忘れていった三色ボールペンを返すことから交際が始まり,部屋に泊まるようにもなったが,吉田は手に入れてしまうと飽きてしまう質だと気が付いた。上京から2年,親との約束が近づくとあっさり別れがやってきた~もてない男と,もてない女の,別々の話かと思ったら,女がストーキングして男を手にした途端に飽きちゃったという話でした。まあ,そういう基準で動く人間もいるのだろう。稼ぎが悪くて結婚に踏み切れない男もいるにはいるのだろうね
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偶然を装って好きだと思ったエノマタさんの周辺をストーカーする吉田。
そのあたりの一途さ。
念願かなって近づけたけれど、静かに終わりを迎えた。
吉田のことを冷静に受け止めるのは友人の前田。彼女はりえぽんに「一方的な依存は友情ではないよ」ときっぱり。この2人の関係がとてもいい。 -
吉田、エノマタさん。
前田、りえぽん、みっちゃん、枇杷介。
面白い。
一意専心タイプの自分は好きな人の靴下のローテーションすら知りたい吉田の勢いがリアルで。
美しい常識の持ち主・前田の意外な不倫に驚き。
そして、エノマタさん。
「とうへんぼく」を辞書で調べたら、
[偏屈な人や一風変わった人、気の利かない人のことで、そういった人を嘲う言葉である。]
厄介な人だよな、
好きになったら辛いよなって、
んもう、見てらんない
って吉田を応援しつつ読み進めた。
わからなかったのは、
中央バスで見慣れぬ風景の中、何処に行ったかって事。
もうひとあばれって?
朝倉かすみさんに色々伺いたくなる作品だった。 -
40代独身男エノマタさんに恋をした、23歳生娘吉田の恋の大冒険。ちょっとした出会いから恋に落ち、追っかけて上京してストーカー行為を繰り返した挙句になんとか気づいてもらえた!のはよかったんだけど…。恋をめぐる吉田とその友人たちのやりとりには、かつて自分も経験した思いもあって興味深く、そしてエノマタの恋に対する鈍感さも微笑ましく、両者に共感し…ちゃまずいんじゃないか?とつっこみつつ、楽しく読んだ。
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何で、こういう題名なんかが、読み終わってから、わかった。
そらぞらしくない小説だ。 -
本当に些細な縁から中年男エノマタさんに勝手にほれ込んで、エノマタを追って状況までしてしまった吉田が、半ばストーカー行為をしながら不器用に不恰好に男との距離を詰めていく物語だ。
・・・・と書くと不気味だったりあるいは一途だったりする恋愛小説、というイメージなのだけれど、朝倉かすみに調理されるとなんともへんてこで不可思議で意味深いような話になるからおもしろい。
物語の筋よりは、それを彩る瑣末な事柄、たとえば「チョーダイチョーダイ」と貪欲なハムスター、「負けるとわかっているからってやらないのは弱虫」と大胆な果敢さを見せる吉田の無鉄砲、ささやかな幸せよりも何か違うものをと足掻く愚かさ、そういうものがふと胸に落ちて心に残る。