しんせかい

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 859
感想 : 140
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  • Amazon.co.jp ・本 (163ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103503613

感想・レビュー・書評

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  • 面白くないという人も多いけど、個人的には嫌いではない。
    しかし、脚本ならいくら言葉が少なくてもセットや音響や照明や役者の演技で物語を深めることができるけど、これは。純文学は書かれていないところを読み取るのが重要だとわかってはいるけど、もうちょっと書き込んでもいいんじゃないかと思わずにはいられない。
    これに比べれば『火花』なんか、同じ実体験ものではあるがかなりちゃんと書いてあったなあと思う。
    かなりあちこち端折って書いてあるけど、当時の倉本聡のドラマの人気は相当なもので、ものすごい倍率を勝ち抜いて入塾できたわけだから、せめてオーディションの様子くらいは書いても良かったんじゃないか。
    まあ、こういう作風なのだろうから、これほど世間に知られた場所での体験でなければこんな風には思わないのだから、適した材料で書けば、もっと魅力が際立つのかも。賞も売れるかどうかは大いに関係するから、この材料なら倉本ドラマを見ていた人は買うだろうという計算が働いたのではないか。
    会話のテンポは面白いと思う。
    しかし、大御所の作家って、こういうアカデミックな教育を受けずに書いた人の文章には弱いよね。批判できないというか。そこは、つまらないと思う。

  • 第156回芥川賞受賞作。
    山下澄人さんの本初めて読んだけどこんな風な作品なんだ、予想してたよりずっと面白かった。淡々と進む中で言葉のリズムが良いからか読みやすい。
    自身の富良野塾での実体験をもとに描かれているようで、深い。最後に装丁の題字が倉本聰と書かれていてジーンとした。そっか、この時は倉本聰さんの字なのか。
    何度もなんども候補になってやっとの受賞、おめでたいですね。選評を読むとかなりの賛否両論でもめてたっぽいけど笑。
    個人的には他の作品も読んでみたくなった。

  • 面白いか面白くないかと言われれば、つまらないんだけど、なぜか読み進めてしまう不思議な小説。主人公の心情が全くと言っていいほど描かれず、読んでいてこいつは人として大丈夫なのか、と心配になるような不思議な不安感に襲われる。それを、どこか突き放すようでいて愛のある様子で見守る天との文通の雰囲気がいい。その彼女が最後、結婚したと報告するハガキが来る場面、まったく主人公の心情が描かれないのになにかストンっと落ちるような、そんな気分になった。

  • 言葉遣いのリズム感は好きなんだけど、物語としては「卑怯」だと思う。倉本聰の私塾の2期生だったという自身の経歴を描いたということを「売り」にして、読者にもそういう風に想起させる様な描き方をしてて、でも最後の最後であの「どんでん返し」をしてしまうのは、巧い気もするけど、曖昧にして逃げた風にも思えてしまって、卑怯に感じてしまった。

  • 独特の文体を芸術的とみるか、奇をてらい過ぎているとみるかで、印象は随分違う。私は、一文がとめどなくつながっていたり、ぶちっと切れたりするところに、リズムを感じていた。
     そのほかに、人々の台詞のあとで「といってみた」、「というから」などと、いちいち説明しているところが少々うざく感じながらも、面白かった。
     主人公に関しては、流れに身を任せているようで、実は確固とした自分を持っていると思った。
     こちらの方が流されるように最後まで漂っていた。

  • ファー!って感じ
    題字倉本聰が書いたんかい

  • 芥川賞受賞作。

    倉本聰さんの富良野塾の2期生。その富良野塾での1年目を書いたのが、「しんせかい」なのかな。

    そして、その試験に行く前日を描いたのが、後半の「あの晩、実際に自殺をしたのかどうか」なのかな。


    農家の手伝いや、丸太小屋を作ったり…集団の北の国からの世界で、やっていることは面白そうです。

    ただ、ちょっと読みにくいです。
    何を表現したいのかもわかりません…。



    ブクログ内で、小説読了206冊。

  • 桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
    https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1174946

  • 昭和を代表するあのテレビドラマを書いた、あの有名な脚本家のすぐそばで生活するというのがどういうことか、とてもよくわかった。

    あの押し付けがましい「反文明的」世界観にニュートラルな立場を取り、尊敬でも軽蔑でもない、珍しいものを見るような視線が印象的。

    しかし、よく2年間も耐えたなあ…

  • ▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
    https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/288958

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著者プロフィール

1966年、兵庫県生まれ。富良野塾二期生。96年より劇団FICTIONを主宰。2012年『緑のさる』で野間文芸新人賞を、17年『しんせかい』で芥川賞を受賞。その他の著書に『ギッちょん』『砂漠ダンス』『コルバトントリ』『ルンタ』『鳥の会議』『壁抜けの谷』『ほしのこ』がある。

「2020年 『小鳥、来る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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