- Amazon.co.jp ・本 (399ページ)
- / ISBN・EAN: 9784103750147
作品紹介・あらすじ
小説史に類を見ない、息を呑む大仕掛け。そこまでやるか、ミヤベ魔術! それは亡者たちの声? それとも心の扉が軋む音? 正体不明の悪意が怪しい囁きと化して、かけがえのない人々を蝕み始めていた。目鼻を持たぬ仮面に怯え続ける青年は、恐怖の果てにひとりの少年をつくった。悪が幾重にも憑依した一族の救世主に、この少年はなりうるのか――。21世紀最強のサイコ&ミステリー、ここに降臨!
感想・レビュー・書評
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宮部みゆきさんの時代物。上巻はゆっくり。下巻に入ってからのスピード感が宮部さんらしくて、惹き込まれる。面白かったです。
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徳川六代将軍の頃。
北見藩では、青年藩主・重興が、突然隠居を強いられ、主君押込にあい、座敷牢に閉じ込められた。
時に、重興は、違う人格になると言う。
元江戸家老・石部織部
各務多紀
多紀の従兄弟田島半十郎
らが、その謎を解き明かすために、奔走するが、
16年前の凶事の封印は解けるのか?
最終章まで読んで、題名の意味がわかった。
面白くて、ページを捲る手が止まらなかった。
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2023.10.19 読了
ほとんど 何書いてもネタバレになりそうなので
書けませんが、
とりあえず ハッピーエンドで 良かった!
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下野北見藩の北見重興は、主君押し込みにあい隠居させられる。各務多紀は、とある事情から重興に仕えることになる。主君押し込みの背景にあるものとは。
上下巻2冊もテンポよく謎が解き明かされていき、どんどん読み進められた。
とある事情から、人が変わったような態度になる重興。話を聞き関係を深めていくことで、解決していこうとする五香院の人々の描写がよい。それぞれの心情が伝わってくる。
好きなのは、次のように会話の間などにサッと情景を入れるところだ。美しい情景描写が、緊張感や静粛さを表している。
「大殿は、我らが名君であらせられた」
城南の一番筋にある石野家の屋敷の奥、坪庭に面した一間。雪見障子には秋の陽がさしかけているが、物音ひとつしない。
言ってしまえば現代の問題を時代を変えて取り上げているのだが、時代小説としてのおもしろさの中で書き込まれていくのはどうやはりすごいと思う。
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読み応えたっぷり、続きが気になって気になって、一気読みした。
現代にも通ずる多重人格、幼児虐待、殺人を何とも思わないサイコパス。
設定を江戸時代に置くことでより謎や不思議が深まり、久しぶりの宮部ワールドを堪能した。
主従関係も温かく、イヤミスじゃないところがすごくいい。
ボロボロに傷ついた繁興が医師と付き添う人々によって少しずつ自分を取り戻し、明るくなっていく様子は清々しい。
ハッピーエンドなのも良かった。 -
面白い、読みやすい、美しい、温かい、と言ったところか。残酷なストーリーではあるけれど、それだけにならないのは全ての人が誰かを常に想っているから。
最後の最後、由衣と多紀のシーンでは涙を拭いながら読んだほど、ストーリーに入り込んでいた。
素晴らしい。
五香苑チーム解散は惜しいけど、みんなに幸あれ。