号泣する準備はできていた

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (252ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784103808060

感想・レビュー・書評

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  • 12話の短編集。
    タイトルが素敵すぎます。
    ただ、このタイトルから期待した内容とは違っていました。
    号泣するような感情的なものかと思いきや、穏やかに流れ、”雰囲気”で読ませる感じ。
    文体はやはりキレイです。江國さんらしい。普段感じていても言葉にすることが難しい感情が上手く表現されている感じがします。

    内容は残らないけれど、穏やかな雰囲気が残る作品でした。

  • 短大も慣れてきた2年目の、あんなに興奮した20歳もいってみればそんなにすごい事なかったなと思う、新しい彼氏も長く続きそうだなという、ちょっぴりけだるくて幸でも不幸でもなくてでも別に元気でもないというめんどくさーい状態を、マックスで120倍にしてくれるだっる~い本。

    3年半たった今も、題名見ただけで『うぇぇ・・』っと思ってしまった位パワフルな、だるさ全開の本。

    心に入ってくる事がないので、ひたすら久しぶりに読む日本語活字を読みました。

    こういう一人悶々とした気持ちをわざわざ字で書き表さないでほしい。
    特に女の『揺れ動く気持ち』なんてのは、5秒後には何の意味もなさない訳だし。

  • 恋愛短編集。日常の中の恋愛における、いろんな場面が切り出されている。全体的に哀愁がただよっているが、穏やかな気持ちにもなれた。恋愛の隣には、いつもこっそり哀しさがいるみたい。

  • 号泣する準備はできていた。
    これの続きがあれば、「だけど泣くことができなかった」だと思う。

    人間は寂しがりで、不安がっていて、弱い。
    なのに強がりで見栄っ張りだ。

    常にバリアー(言い方ださいけどw)を張って生きている。
    それはきっと他人に対して見栄を張るためでもあり、自分に対しても見栄をはるためじゃないかな。
    私はもっと強い。
    私はもっと幸せだ。
    そう思いたい。

    こんな状態だから、号泣する準備はできている。
    ふとした拍子に泣き出したくなる。
    だけどバリアーが邪魔をして、泣けない。

    もっと素直に生きたら人生楽しいだろうし、幸せなんだろう。
    まぁでもそれは難しいよね!笑

  • やっと自分が江國香織に追いついた感じ。
    今まで、苦手だったのは、将来の自分を既に描かれていたからか。

  • 前々から、このタイトルは全く好きではありませんでした。
    「号泣する準備ができている」って、どんなことでしょう。
    「泣く構えがある」というのならわかりますが、あられもなく大泣きする用意をしているとは、その行為に反して、あまりにも冷静な意識が動いていませんか。
    肩肘を張りすぎたタイトルに思えます。

    中身を読まない限りは、タイトルばかりぐるぐる気になるだろうと思ったので、読了しました。
    短編集でした。彼女の作品は、今までも短編を読むことが多いです。
    言葉の使い方が好きな作家ですが、話によってはぎょっとする設定もあったりするのに、どれも淡々としており、生きている荒々しさがどこかへ行ってしまっている印象を受けました。

    真っ白な病室の中で、沈黙を守っているような冷え冷えとした感覚です。
    本の表紙が白を基調としているので、その雰囲気が加わっているのかもしれませんが。
    主人公は3,40代の女性がメインということもあり、置かれた状況が違っても、内面の似たりよったり感がありました。

    一話目の「前進、もしくは前進のように思われるもの」では、結局猫を捨てたのか、そうでないのか、ハッキリしないまま終わったため、心配から来る不満を最後の作品までひきずってしまいました。

    女性同士の同性愛の話「熱帯夜」は、共通枠の中でかき混ぜられる不倫の話とは違い、手探り状態で考えながら書かれているようなところが、登場人物たちの遠慮がちな関係とちょうどうまく合って、新鮮さがあり、読みやすかったです。

    起承転結の結がなんとも曖昧で、もやもやした現状維持のまま終わるというラストがほとんどのようでした。
    つまり、ヒロインたちは、誰も幸せをつかみ取れていないのです。
    もっとひどいことに、不幸すらつかみ取れていません。
    決定も行動もせず、宙ぶらりんのままです。
    現実は、物語のようにわかりやすい軌跡を描くものではなく、はっきりしない結末が一番リアルなのかもしれませんが、そこが私には消化不良で不満足でした。

    好きな作家なのですが、ここまでネガティブな感想を書くのは初めてです。
    最近、もっとハッキリ、生き生きとした他の作家の文章を読むことが多かったため、それらと比較していないとは言えません。
    ただ、曖昧に消えながらサラサラ流れゆく感情をすくい上げる表現は、彼女ならではの力だと思います。

  • 12の短編集。恋愛のさ中にいても、ふいに喪失感がしのび込む感情や、けじめをつけたはずの相手を、ふと焦がれるように思い出す皮膚感覚など、文章にするのが巧いです。
    フランソワーズ・サガンを読んだ時のような‥

  • 【あらすじ】
    私はたぶん泣きだすべきだったのだ。身も心もみちたりていた恋が終わり、淋しさのあまりねじ切れてしまいそうだったのだから――。濃密な恋がそこなわれていく悲しみを描く表題作のほか、17歳のほろ苦い初デートの思い出を綴った「じゃこじゃこのビスケット」など全12篇。号泣するほどの悲しみが不意におとずれても、きっと大丈夫、切り抜けられる……。そう囁いてくれる直木賞受賞短篇集。


    「齟齬はおそらくもっと前から生じていたのだ。いくつもの口論と、そのあとの和解。物事は何一つ解決されない。かなしいのは口論ではなく和解だと、いまでは知ってしまった。」

    「自由とは、それ以上失うもののない孤独な状態のことだ。」

    「私は変化に上手く対応できない。隆志も私も変化しているのに、どちらも変化を望んでいない、ということの方が重要に思える。」

    「人間が恐ろしいものだと知っていた。たとえ肉親でも、自分以外の人間の心の中は深い闇だとちゃんと知っていたのだ。」


    【個人的な感想】
    江國香織さんの本は初めて読んだ。
    1つの短編の中に2つの物語?が入っていて1つの短編を読み終わる頃に、「あれ?なんの話だったっけ?」となるものが多く、慣れるまでに時間がかかりそう。
    でも、刺さる言葉は多かった。

  • いろんな人のお話。
    これからも、つづいていく、ちょっと切ないお話たちでした。

  • ▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
    https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/109896

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著者プロフィール

1964年、東京都生まれ。1987年「草之丞の話」で毎日新聞主催「小さな童話」大賞を受賞。2002年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、2004年『号泣する準備はできていた』で直木賞、2010年「真昼なのに昏い部屋」で中央公論文芸賞、2012年「犬とハモニカ」で川端康成文学賞、2015年に「ヤモリ、カエル、シジミチョウ」で谷崎潤一郎賞を受賞。

「2023年 『去年の雪』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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