ビタミンF

著者 :
  • 新潮社
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感想 : 220
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104075034

感想・レビュー・書評

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  • 初重松氏作品です。気になっていたんですけど、古本屋でなにやら探してみるという最近始めた趣味で発見致しました。


    この「ビタミンF」は家族、特に父親に視点をあてた短編集です。内容はどれも家族と父親の難しさが書かれていて色々考えさせられました・・・。


    例えば「ゲンコツ」ではある一家の父親が若い世代に対してどうしようもない感情を抱き、ふとしたきっかけでその感情を整理することになる話です。この話では現代の不良少年の特性(「若気の至りとか言いますが、あの年代ではしょうがない、なんてことは無いと思いますね。少なくとも私はそんな不満の解消の仕方はしなかった、ただのガキです、あのような行動は(怒)」と毎回このような少年らが出ると思います)に対する父親の立場(息子が不良少年であるわけではない)がとてもリアルです。


    また「セッちゃん」はどんな家族にでも起こりえる危機を扱っています。父親として娘を分かっているつもりであったけど、そうではなかった、その衝撃の大きさと対応の難しさがとても伝わってきます・・・。「かさぶたまぶた」からも子供を理解する難しさや子供の繊細さが伝わってきます。


    他「はずれくじ」「パンドラ」「なぎさホテルにて」「母帰る」が収められています。ビタミンなんだけど結構悲しい短編が多かったです。「なぎさホテルにて」くらいだろうか、男のおかしさを含めているのは。

  • 色んな家族(父親)短編集。
    円満な家庭、普通の家族、
    その中で起こる、よくあるさざ波。
    子供が万引きした。子供が嫌われてる。子供に彼氏ができた。
    親のやるせなさアルアル。
    あまりにありふれすぎて、書かれていなかった一般的な家庭の小話。
    家族ものとか人間の日常には、着目点やテーマがたくさんあるんだね。

    オヤジ狩りに怯える父親。
    子供と仲は悪くないけれど、どう接したらいいか分からず気まずい父親。
    昔の恋人を美化して幻想を抱き、思い出のホテルに泊まって
    妻の名前をコソコソと昔の恋人の名前で登録する父親。

    女は子供をうんだら母になれるけれど、
    男は、父親の役を演じるんだなーと。
    男くさいアホさがたくさん詰まってて、
    それが人情よのうと妙に納得する。

    この作者さん上手に人を描くなあ。

  • 直木賞受賞作。
    タイトルでビタミンFって?と想いつつと見ました。
    7編からの短編集。
    Family.Father.Friend.Fight.Fragile.Fortune・・と「F」で始まるさまざまな言葉を、ここの作品のキーワードとして埋め込まれたお話しでした。
    どのお話も40歳前後の家庭的でどこにでもあるような平和そうな暮らしが何とも親しみやすく読ませて頂きました。
    重松さんの本は、初めてですがもっと色々読んでみたくなりました。

  • Fragileの「F」だと思う

  • いつもの重松節でいくつかの家族の物語が綴られる短編集です。

    どれもさらさらと読める反面ぐっと心に残るものは少なかったですが、またそれもよし、と言う感じです。
    そんな中私は、自分がいじめにあっている内容を毎日両親に「転校生の〇〇ちゃんがね」と置き換えて天真爛漫に話す少女のお話が印象に残りました。

    よく、幸せな話はどれも似通っているが不幸は100の家庭に100種類の不幸がある、と聞きますがいじめもそうだと思いました。
    いじめる子もいじめられる子も100人いれば100通りの理由やきっかけがあります。

  • 自分が社会人になり、父親になるにあたって、
    大学生である今の時期に読んでおいて良かったなと思えた。

    父親という「役割」は、
    大変であると同時に、孤独なものなんだね。

  • 家族。生きていくうえで、離れることの出来ないもの。専門学校の先生は「のっぴきならない関係」と言った。大人になるにつれて、その意味をまた改めて理解しつつある。ここには、不満はそりゃあるが、愛くるしい家族の風景があった。

  • 図書館より。
    四十前後の男性が主人公となる短編集。

    どの短編もこの世代の男性にありそうな家族との距離感や悩みがとてもリアルで、内面の描き方もとてもうまいです。多分10年後、20年後に読むともっとこの小説の良さが味わえるのかな、と思います。

    印象的なのは『はずれくじ』主人公が子供時代の父親との日常を回想する場面があるのですが、自分にも思い当たるところが多くなんだか見透かされてしまった感じがしました。

    『セッちゃん』も確かにこういう子っていたなあ、と共感出来ると共に、少し切なかった作品でした。

    第124回直木賞

  • まだよくわからぬかも・・・。

  • もう親の方に感情移入する歳になってしまったんだな~、と。
    母帰るが良かった。

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著者プロフィール

重松清
1963年岡山県生まれ。早稲田大学教育学部卒業。91年『ビフォア・ラン』でデビュー。99年『ナイフ』で坪田譲治文学賞、『エイジ』で山本周五郎賞、2001年『ビタミンF』で直木三十五賞、10年『十字架』で吉川英治文学賞を受賞。著書に『流星ワゴン』『疾走』『その日のまえに』『カシオペアの丘で』『とんび』『ステップ』『きみ去りしのち』『峠うどん物語』など多数。

「2023年 『カモナマイハウス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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