針がとぶ Goodbye Porkpie Hat

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 695
感想 : 77
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  • Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784104491025

感想・レビュー・書評

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  • 針が飛ぶ。まさしくレコードの針が飛ぶように、ある一つの話から数章を抜き出して時系列を狂わせる、というような試みだったか。なんにしたって面白い、でも著者の文章をたとえメモ書きだっていいからぜんぶ読みたい私には何だかお預けを食らった気分でもある。
    いつか残りも出してくれないかなぁ。“うしなわれた物語”みたいに。
    パスパルトゥが良い。香辛料の話とか、他作品とのつながりも多かったような。

  • 吉田さんの本は,読んでいて必ず映像が思い浮かんでくる。

    この本では,レコードの針が飛んだ瞬間。ふっと電気も消える。こういうイメージに心がつかまれます。

    この本は短編がリンクしているという形態で,「針がとぶ」の伯母さんの若いころが「月と6月と観覧車」。伯母さんがなぜ手にメモをしていたのかの由来が明らかになる。そして伯母さんの姪であるユイの父親の故郷「どこからも遠い町」であるロングスリーヴスに,伯母さんの若き頃の恋人,文四郎がたどりつく「パスパルトゥ」。文四郎の描いた絵に触発され,クロークルームに1枚だけ取り残されるコートの話を思いつく小説家の話「路地裏の小さな猿」。そのクロークルームのお話「金曜日の本」。伯母さんの日記「少しだけ海が見えるところ」,そして姪のユイがパスパルトゥらしき人に出会う「最後から二番目の晩餐」。

    こう書いてみるととても無粋だ。いろんなことが抜け落ちているような気がする。でも「すべてを望んではならない」。百科事典にも刻むべきだ。

  • 空想をかき立てられる本。落ち着く文章。

  • 文庫になったら手元に持っていたい。

    その絵を見たい。

  • 7/26 読了。
    読むうちにパチパチとボタンをはめるように話が繋がっていく連作短編集。吉田篤弘作品の中ではなかなか好きだった。

  • クラフトエヴィングの本は久しぶり
    やっぱり好きだなぁと思った

    ボレロやつむじ風食堂ともリンクしてて二ヤリとした
    バリカンと猫のあたりは特に
    この微妙な繋がりがたまらない

  • 途中で読み終えるのが嫌になったほど気に入った本。また読みたい。というか手元に置いておきたい。そのうちちゃんと買います。

  • 短編連作集。「針がとぶ」伯母の残したレコードは。「金曜日の本」クロークルームに残された1枚のコートと、マスト・ビー。「月と6月と観覧車」月面と名づけられた遊園地の駐車場とコクテンと名づけられた黒い猫。掌にメモするバリカンとの6月。「パスパルトゥ」ロング・スリーヴス半島での文四郎と道化ズボンの雑貨屋の日々。「少しだけ海の見えるところ」由利子伯母さんの日記。「路地裏の小さな猿」ショート・スリーヴ半島で路地裏の小さな猿を思う。「最後から二番目の晩餐」ユイの旅。
    「どうも腑に落ちなかった。すっきりと物語が終わった感じがしない。それが作者の狙いなのか?だとしたら、じつに巧く出来ている。」まさにそんなお話。

  • 本の好みは人それぞれで、ある人のおススメ=ある人は気に入らない。ということはあるのだけれど。
    ワタシは好き♪やはり胸をはって「吉田篤弘さんが好き」と言えるなあ。(こないだ読んだのは、ワタシ的にはハズレでしたが)
    短編連作。やさしくて静かでさみしくて・・・。ひっそりと、つながっている。
    キレイだけどそれだけじゃない。

    もっと他の著作も読んでみたいです。

  • 透明感のある世界。きれいな世界。詩的な世界。遠い世界。
    深みがないという批評があるのが、どうも気になってしまう。
    きれいなもの→うすっぺらい。というステレオタイプ。

    たしかに生々しさはない。けど、そんなものは満腹になるほど、日常にあふれてるわけで。これはこれで、やっぱりいいんだと思う。

    残された日記。旅する人々。忘れられたコート。響きあうショートストーリー。

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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