- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784104669042
感想・レビュー・書評
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22:表題作「妻の超然」でケラケラ笑ってたんですが、次第に笑ってられなくなりました。筆致は変わらないのに、表面の薄膜をそっとはがすように、核心に迫ってゆく。だからこそ、読み始めたときの軽い気持ちとの差に気づいて薄ら寒くなるのかもしれません。「超然ではなく怠慢だ」という一言は刺さりました……。
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タイトルが良い。文体もすごく好きなやつでした。
「超然」ってすごくどっしりとしていて格好いい、私も超然とした妻みたいなところがあるかもな〜なんて思って読んでいたのに、本文に「怠慢というのではないか」という一文をみつけて突然ヒヤッとしました。
夫の浮気にも動じないというのは怠慢になってしまうのか。結局は無関心てことなんだろうなぁ。
でも夫婦とは言えど、毎日毎日何年も何年も顔突き合わせていたら無関心にもなるよね。
このあともまた文麿は新しい彼女をつくり、理津子はまたそれを見て見ぬ振りするのかな。
希望はあるけど諦念も感じてしまう終わり方だった。
下戸の超然もおもしろかったです。失礼だけど、下戸の人ってどんなモチベーションで飲み会に参加してるんだろうと不思議だったので、なんだか本当にこういう超然とした姿にしっくりきました。
自分が飲みたい気分のときに相手が一滴も飲めず、広生みたいにむしろ酒飲みを否定するような態度でいられたら辛い。
変わろうと思わない、改めようと思わない、それはやはり怠慢なのかもしれない。 -
好きだ。こういうの。
特に『作家の超然』が好きだ。
時にハッとさせられたり、幻惑されたりしながら流れていく文章。脳の普段使わないような場所が心地いい。 -
どうしてこの本を買ったのだったかな?誰かに紹介されたのだろうけど、思っていた内容とは異なりました。最初の話はなんとなく納得感あり。我が家にもこういうところは多い。でも私は物理的な浮気はしていません。次の話は男が"そこまでかぁ?"という感じ。今はこういうのが多いのかも。私も酒飲みは大嫌い。だけどそこまでじゃない。飲みたい気分も良く分かる。最後の話はタイトルからしたら期待できたのに全然でした。超然ってなんだ?
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2016.4.14
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初読みの作家さん。
表題作『妻の超然』と『下戸の超然』が面白かった。
『作家の超然』は、イマイチ理解できず、残念でした。
妻…は、分かるなという感じ。
妻歴何年もたつと、この気持ちには、心当たりあるのではないかと思いました。
下戸…も同じ。
最近はずっと、酔っ払い嫌い気味なところがあるので、気持ち分かるんです。
男女で立場が違うのでしょうが、飲まない人が集まるとホッとする感じ、うんうん、というところです。 -
2015/07/01 読了
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読んだことない気がする、と
思い手に取ってみたものの、
一度読んだことがありました。
しかしながら再読完了。
きっと20代前半で読んでいたのですが、
その頃は、滑稽だなあ、リアリティがないなあと
思っていたのです。
若さゆえに知らなかった感覚。
それが今や手に取るように共感する。
面白さが前回より増していました。
読み直してよかった。
絲山さん、久しぶりに読みましたが
素晴らしいです。 -
やっぱり人と関わるし感情も溢れちゃう。