アホの壁 (新潮新書 350)

著者 :
  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784106103506

感想・レビュー・書評

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  •  往年の「乱調人間大研究」を薄味にしたような読み心地。
     焦点的自殺の実例紹介で、肌に粟を生じた。
     フロイト的過ち(フロイディアン・スリップ)は身を以て味わった。会えば確実にイヤな思いをするであろう友人宅へ向かう際、反対方向の電車に乗ったり、乗り越したり……。
     著者のフロイトへの傾倒ぶりがうかがえる。

  • タイトル買いです。
    好みが分かれようなぁ。
    私はこの作家さんは嫌いじゃないから、
    アリだと思うのです。

  • 安定の筒井節でした。

  • 某元首相ではないが、「自分のことを客観的に見れる」力というは人を知性的に見せるなあ、と思う。
    アホの壁というは一人一人の中にあって、常にアホ側にいては大変だが、往々にしてそっちに転んでしまうことが誰しもある。だから「国を背負ってるのに何だ!その服装は!」と怒っている自分がテレビの前でフリースの上下で寝そべっていることに、ほんの少しでいいから自覚的であるべきなのだ。本当は。
    そうはいっても常にそつなく、きちんと全方位的にこなすなんてのは人間業じゃない。小刻みにアホをはさんで生きることも大切と説く。アホはゆとりでもあるのだ。
    それにしても最初のほうに出てくる「ベルト締めんかいな!」のおばはんは最高だ。ここだけでも立ち読みしてください。

  • 人間は考えるアホである。科学的根拠があるわけではないが、それが逆に納得させられます。

  • 本屋でタイトルを見た時に、「バカの壁」のパクリ本かなと思った。しかし、パクリ本ではなかった。著者は何故人間はアホな行為をするのかを鋭く分析している。

    私も本書の例に出てくるようなアホな行為をする。会話の途中に、会話の内容と関係の無い不必要な知識を披露したりする。これはタダのアホだ。

    しかし、何故そのような行為をしてしまうか。著者によると、このような行為は脳による潜在的バイアスによるとのこと。以前の良かった記憶は、現在その記憶を良いと思っていると過ぎない。だから、良いと思っている感覚のままアホなことを喋ってしまうという。

    私は、たまに友人に本で読んだ知識や、ネットで得た情報を分析した結果を友人に思いっきり喋ってしまうことがある。なるほど判断のバイアスか。なるほど。

  • 二番煎じを公言するユーモアと、
    それに反する意外にも真面目な内容がいい加減(ダブルミーニング)。

    コミュニケーションの壁について書かれた
    「バカの壁」に対し、
    本書は良識とアホの壁について書かれている。

    第二章にある
    「アホな怪我は焦点的自殺」という項を読んで、
    自分が小さい頃、二度交通事故にあったことを思い出した。

    そうして、
    あれは実は、
    忙しくて構ってくれなかった親に対する、
    無意識の復讐だったのではないかという気がした。

    怪我をすることで、
    親に罪悪感を植え付けて、
    自分を構わなかったことを悔みやがれ、
    みたいな、歪んだ主張があったのかな、と。

    実際、
    交通事故に遭う直前は、
    「あぁ、こりゃこのままだと事故るな~」
    とか何か確信めいた予感があった。

    とはいえ、
    この記憶が出てきたのは、
    焦点的自殺について考えてた時だったので、
    捏造であることは否定できないけれど。


    他にも、
    様々なアホの事例が登場するので、
    誰しもひとつは思い当たるアホがあると思う。

    裏表紙の作者の顔もいい味出ていて好き。
    かなりオススメ。

  • 筒井康隆の新書。
    養老孟司の『バカの壁』はのオマージュだが、『バカの壁』は、人と人とのコミュニケーションひ阻害する壁について論じたのに対し、本書では筒井がその体験と俗流科学で、人それぞれにある良識とアホの間の壁とは何か、なぜ人は直ぐに壁を乗り越えてアホの側に行ってしまうのかを論ずる。
    アホな行為、原因、対処法を次々と切り分け切り捨てるのが痛快な一冊。
    アホの壁を乗り越えてしまうのは誰にでもあることだか、気をつけたい。

  • バカの壁ならぬ、アホの壁。筒井康隆が考察する「アホについて」のあれこれ。人はなぜアホな戦争をするのか? そして最後はアホを肯定する! 面白かった。己のアホさにもちょっと気がつく一冊。一読推奨。

  • アホ大好きの身としては、これをテーマに筒井康隆が書いてくれて期待が相当高かった。
    経験的に述べられたものなので、『バカの壁』とは全く異なる様相であるが、相当好み。

著者プロフィール

小説家

「2017年 『現代作家アーカイヴ2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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