- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784106106347
作品紹介・あらすじ
行間からビートが鳴り響く、革命的ポップ・ミュージック論! ポップで前衛的な曲、奇抜なヴィジュアル……すべては天才による“紫の革命”だった――。彼を師と仰ぐ著者が同じ音楽家ならではの視点で、その栄光の旅路を追う。
感想・レビュー・書評
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著者のプリンス愛に溢れた一冊。
個人的にもプリンスは大好きで、今までいったライブで一番良かったと思っている。
それだけに2016年の突然の訃報は衝撃だった。
著者である西寺郷太氏も、この本が発売された数ヶ月後に衝撃の訃報を耳にするとは思わなかっただろうな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
NONA REEVESのフロントマンであり、かつ作曲家・プロデューサーとしても活躍するポップス職人の西寺郷太が、80年代アメリカ音楽に関する愛情と優れた批評眼をもとに書き下ろしたプリンスの生涯とその音楽性についての論考。
基本はクロノロジカルにデビュー時から2015年(この本が出た翌年、プリンスは死去するため、実質的にはほぼラストアルバムまで)を振り返っていくスタイル。プリンスはとにかく多作であり、80年代の作品を愛好する自身にとっても(特に極彩色に溢れるポップ絵巻、『Around The World in a Day 』がマイベスト)、90年代以降の作品はちゃんと聞けていないものが多く、解説と共にSpotifyで聴くと発見ばかり。
自身が音楽家でもある著者の分析は非常に面白い箇所が多いのだが、中でもBPMに関する指摘は非常に興味深い。
一般的に70年代のディスコミュージック、ディスコファンクと呼ばれる曲は、BPM 110-120前後(このくらいのBPMだと気持ちよくノレる感じ)であるが、プリンスにとっての大ヒットアルバムである『Purple Rain』ではBPM135くらいから最も高速な曲では190台と、高速化を遂げる。高速化される曲はロック的なダイナミズムを持ち、アリーナなどの大会場でもわかりやすく盛り上がれることから、これが大ヒットを生んだ1つの音楽的背景ではないか、というのが本書での指摘である。
この流れでもっと興味深いのは、日本においては特にBPM 110-120の曲はヒットしにくい、という指摘である。それは例えば、
・AKB48のヒット曲の多くのBPMが150-180台のかなりの高速であること(唯一の例外としてBPMが122の「恋するフォーチュンクッキー」が言及されているが)
・アメリカではどちらも爆発的ヒットしたものの日本でもヒットしたファレル・ウィリアムズの「Happy」がBPM160であったのに対して、日本ではそこまでのヒットに及ばなかったマーク・ロンソンとブルーノ・マーズの「Uptown Funk」がBPM 116の典型的なディスコファンクであったこと
などを証左として挙げているが、この指摘は感覚的に非常にうなづけるところがあった。
しばらくこれを片手に殿下の豊富な音楽世界に浸りたいと思う。 -
プリンスのCDを買ったのはベスト盤1枚きりで、それも気に入らなくて人にあげてしまいました。
その頃はハードロック、ヘヴィメタル、70年代ロックに夢中だったので、きらびやかで人工的な音に馴染めなかったんですよね。今聞けばとんでもなくハイレベルな事が分かるのですが、風貌含めて受け入れ難かったのは確か。
2016年に亡くなったのでもう5年前ですが、そのニュースを見た時も特別衝撃は受けなかったです。
ところがこのサブスク時代に色々聴けるようになって、気まぐれに聞いたパープルレインのアルバムで一気に引き込まれました。初期の音源を色々聴いて沼にどんどん嵌っていき、現代方面に向かって聴いていますが、時代時代で色々なスタイルありますが、どれもこれもじっくり聴くに値するものばかりで攻略には当分掛かりそうです。
そうすると当然どんな人物だったのか気になるところです。そこで発見したのがこの本でした。
亡くなるほんのすぐ前に書かれた本なので、なんというか運命的なものを感じます。
プリンスは変わり者で俺様で天才だという事がよく分かりましたが、割と知っていたというか、みんなそういう印象ですよね。そういう意味でブレない人なんですね。面白かったです。 -
2021/2/24購入
2021/4/21読了 -
プリンス最高
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今までほとんど聴いたことがなかったのだが、プリンスが亡くなった際に興味を持ち、デビューから全盛期と言われる頃までの音源を聴いた。 その流れでこの本を手に取りました。
プリンスの生い立ちから現在までを、読みやすい文章と自分の思い出を絡めて書いた本です。 著者は小学校4年生くらいからプリンスを聴いていたらしく、その早熟さに驚いた。 どんな小学生なんでしょうか。
プリンスや音楽への愛情が感じられる、いい作品でした。 3時間くらいで読了できます。 -
自分が洋楽ドップリだった高校大学時代。「1999」〜「グラフィティーブリッジ」辺りまではカセットテープが伸びるほど聴きました。特に「parade」は曲数も構成も私にとって完璧。
でも、流石に殿下の全キャリアにはついて行けず、久しく追うこともありませんでした。
殿下が鬼籍に入り、ラジオ「アト6」で西寺氏の熱いプリンス論を聴き、この本を参考にCDラックのプリンスの棚を補間し始めました。 -
プリンス入門書。
プリンスは後期の数枚しか聴いたことのないにわかなので、ネットの知識も良いけど書籍でも吸収したいと思い読了。
そもそも新書のサイズで語るには足りないアーティスト。多作家としても有名なのは知ってましたが、ここまでとは、と。公式のでも年に1作以上出しているので、40数枚。ブート盤合わせたら何枚なのだろうと、畏怖の念を抱きつつ、リアルタイムで追ってた人はさぞかし忙しくも幸福な時間だったのだろうと想像しました。
常に時代の先に行っていたというのは、楽曲の権利に対する主張や楽曲の発表方なども、まさにという感じです。ネットにあがろうものなら即削除、また著者の西寺氏も現役のミュージシャンのため、海賊盤に対しての論著は意図的に控えられています。
現代のミュージシャンは、なんだかんだでSNSなどを通じて身近というか、見える存在ではあります。それが運営の管理のもとだったり、アーティスト自身のものにせよ。セルフプロデュース的な側面を有しつつも、オープンな関係がファンとの間に構築されているように思えます。健全ではあるけれど、どこか物足りなさを感じるのは昭和生まれの悪い癖なのかもしれませんが、プリンスは逆ですね。謎を作り、語りすぎず、語るときはコントロール下に置き、自身を神格化してきた。グラミーでのスピーチの若干盛りすぎじゃないかっていうような考察、歌詞の対訳のくだり、『We Are The World』研究しかり、誰もがそれぞれのプリンス像を持っているのかもしれません。
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筆者の好みも反映されているが それはあたりまえ うっすらプリンスの全体像をつかむことが出来 コンパクト
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プリンスが亡くなった後、この本の著者である
西寺郷太さんがラジオに出演されていて
プリンスのこれまでの功績等を語っていた。
その際に紹介されていた『プリンス論』
いつか読みたいと思っていた本を読了。
もちろんプリンスの存在は知っていたけれど
世代的にも音楽的にも全く触れることなく
この世から彼がいなくなってしまった。
はじめて存在に触れた時には、確かに異質で
奇妙にも感じたが、同時に興味もあった。
僅かながらにも彼と同じ時代を生きたことを誇りに思い、
またもう少し早く魅力に気付きたかったと思う。
ワーカホリックであった彼の音楽は山のように
宝のように、彼がいない今も生き続けている。
まだ著者の言いたいことが理解できない部分も多い。
これから少しずつ、本書と共にプリンスの足跡を辿りたい。