- Amazon.co.jp ・本 (771ページ)
- / ISBN・EAN: 9784120040900
感想・レビュー・書評
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怪談再構成シリーズ3、番町更屋敷の話。長い。話がなかなか展開しなくて途中飽きる。
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いやー流石の厚さ。ちょっと手にとるのを躊躇するも、
久々にいってみるか、京極ワールド!と思い手にとる。
しっかし、ホント、厚い。
私は寝る前にベッドで寝っ転がりながら読むのが好きなんだが、京極さんのは絶対にそれはできない。
腕が疲れるし、もしできたとしても、眠たくなって
ひょいと手から落ちたときにかんっぜんに凶器になる。
つーわけで、テーブルの上でがっつり読む。
そして読み始めると、止まんないだわなあ、これが。
厚いわりに、メインの登場人物ごとに、細かく区切りが
ついていくので、長々しい感じがせず、どんどん読んでいける。それに、よくみると1ページの文字数はそれほどでもないのかも。なんといっても、この、語り口。
いやあ、相変わらず、立て板に水のごとく。
なんか、こう描かれている心情は気持ち悪い、とゆーか、どうも落ち着かない、とゆーか、うーん、なんといえばいいのか分かんないが、だが、その語り口は、非常に気持ちいいんだよなあ。さすが、上手いっ。とゆーわけで一気読みでした。
で、作品内容ですが、番町皿屋敷、ですね。
あの、有名な。いーちまい、にーまい、とゆーやつ。
その怪談の奥になにがあったのか、世間に広がるいくつもの”お話”、その中のいろんな要素を全て入れ込んで、
全く違うお話が語られていく様は、ほんっと気持ちがいいほど。
しっかし、あれだけの地獄絵図になってしまったのは、
やっぱ主膳だろ、と思う。お前が出張ってこなければ、
それなりに、1つの虚を抱えつつも、青山家は
やっていけたのではないか?うーん、それともやがてはくる破滅だったのか?
まあ、最悪のキャスティングだったのは確か。
そして、肝心の最悪の結末の部分はどうも霧がかっている。結局あれから菊はどうなったのだ?
あのあとなにがどうなったら、菊を播磨が斬ることになるのだ??
まあ、吉羅はよい、それはきっと主膳の仕業だろう、と想像はつく、が、菊は?
どーも、座りがわるい、が、それがまた、魅力だともいえる。なにもかも、すっきりしっかり理解できないからこその、この、地獄絵図か。
いやーにしても、やっぱ京極ワールド、おもしろすぎだわ。ちょいと、つかれるが、やっぱ好きだー。
あ、それから、一番気になったのは、又一のことば。
人は関わった人の数だけ己が増える。
けだし、名言である。 -
京極夏彦氏の作品久しぶりに読みました。この作品には妖怪、お化けは出てきそうで実はでてきません。出てくるのは、欲が突っ張っている訳ではなく、過不足ない家で育ったにも関わらずに、なにか足りない、全部あるのに足りないと思ってしまい、その気持ちを収めたくてすべてに興味をなくしつつある家を継いだ武士、彼の親が存命時からその家に仕えてきた忠義心のみで生きているようなまじめ一筋の男、主人公がぐれていた頃、町中で暴れていた頃に知り合ったごろつき、主人公に輿入れの話がある名家の娘などなど一癖ある引っ立ちが、家宝をめぐって引き起こすドタバタを描いた作品。無い物ねだりをする人間という生き物が引き起こす不毛な争い、今の時代にもあるだろうなあ。江戸時代から既に消費をすることで世の中を動かす形になってたんだろうなあ。
ウルグアイの大統領のスピーチを思い出した。
欲が世の中を動かす時代は危ういというお話でした。 -
辞書並みの分厚さに一瞬怯んだが、文字大きめ&行間広め&余白広め(笑)意外と時間かからずに読めた。
京極夏彦氏の解釈だと番町皿屋敷もこんな話になるのねといった感じかな。
又市さんの登場も嬉しい(笑) -
〝番町皿屋敷〟をモチーフにした小説です。とはいっても、オドロオドロシイ怪談などではありません。物語の大半は、登場人物それぞれの心理描写で語り進められます。
ここに登場する誰もが、心の中の何かが欠けていると感じています。虚無的で退廃的、厭世的で自暴自棄、自虐的であるのは、なぜ自分はこの世に存在するのか?生きることの意味とはいったい何なのか?ということの答えを、無意識に求めてしまっているからではないでしょうか。生きて、暮らしているだけで満ち足りていると思っている菊でさえ、何かが欠落してしまっているような気がします。自分を莫迦で愚鈍で、取るに足りない者だと思い込んでいるのも、実はそういったことから目をそらしているだけなのかもしれません。
生きることの意味など、いくら考えてもわかるはずはありません。それは人知を超えたものだからです。たとえ答えを見つけられたとしても、所詮それは自分の思いつきでしかないのです。生きて、暮らしているだけで満ち足りている。莫迦だ、愚鈍だといわれても、余計なことは考えず、心底そう思えるなら、そんな幸せなことはないのですが・・・。 -
『嗤う伊右衛門』は四谷怪談のお岩さんのお話でしたが、今回は『皿屋敷』のお菊さんのお話です。
夜な夜な井戸から現れて、一枚、二枚、三枚…一枚足りない…という、アレです。
伊右衛門同様、通説を取り入れつつ上手い具合にオリジナルに仕立てられています。
欠乏感を常に感じている皿屋敷の主人の播磨。先を考えすぎるが故に”何も考えない”娘・菊。
他にも様々な思惑を持った、もしくは思惑を欠いた人間が絡み、縺れ、朽ちて逝く。
その中心には常闇の井戸。そして皿———
京極作品の面白さはその独特の文体と言葉の重ね方だと思っているのですが、今回もどうして中々。
京極作品ではお馴染みの小股潜りの又市さんも出て来ます。
個人的に伊右衛門はギリギリハッピーエンドだと思っているのですが、今回は…バッドエンドだと思うな…
誰も幸せにならず、なれず、なりきれず。ただ物語が残った。
凄惨なお話ですが、それでも不思議と絶望だけではないのは京極マジックかもしれません。
本自体はやったら分厚いですが、改行が巧みなので一度読み出したら止まりませんよー。面白かったです! -
やっぱり文章上手。
読みやすかった。
悲しい話やったけど、陰惨な感じが日本の怪談って感じでよかった。 -
発売後すぐに買った本なのに。
なんでこんなに読むの伸ばしたんだろう。ほぼ4年前だよ!
でも読み始めたら一気読みだった。
こんなに厚い本なのに、すごく読みやすいんだよなぁー。
京極さんマジック。
いつも何かが欠けている気がする青山家当主、青山播磨。
自他共に莫迦と思っている空を見るのが好きな娘、お菊。
褒められたい一心の青山家側用人、十太夫。
部屋住みの遠山主膳と青山家の中間、權六。
お菊の幼なじみ、米搗きの三平。
手に入る欲しい物は必ず手に入れる播磨の嫁候補、吉羅。
6章ごとにこの順で主観が入れ替わり、話が進行していく。
番町皿屋敷。
面白かった!けど、お菊がいい子で最後がちょっと切なかった。